たった3秒の会話音声でメンタルヘルスをチェックする「Care Cube(ケアキューブ)」とは?
▼Care Cubeとは
「Care Cube(ケアキューブ)」は、マイクとカメラのついた顔認証AIデバイスに、リスク計測テクノロジーズ(以下「RimTech」)が開発した音声解析エンジン「Motivel(モチベル)」を搭載したものです。
「Care Cube」は、メンタルヘルスチェック対象者の顔を認識すると、声をかけます。わずか3秒間の会話をするだけで音声を解析し、心の健康状態をチェックします。測定結果はWebアプリにグラフ形式で表示されます。また、毎日のメンタルヘルスチェックを続けることで、「Care Cube」はストレスによる問題を約2週間前に予測することが可能になります。
▼開発の背景
現代は「ストレス社会」とも呼ばれ、日本におけるうつ病患者の数は急速に増加しています。現在、約127万人がうつ病を抱えていると推定されており、この数は過去20年間で約4倍に増加しました。また、うつ病による日本の社会的損失額は約3兆円に上り、統合失調症や不安障害を含めると、その損失額は約8兆円にも達すると推定されています。メンタルヘルスチェックは個人の問題にとどまらず、職場や社会全体においても重要な課題となっています。
現在、「労働安全衛生法」に基づき、企業は従業員に対してメンタルヘルスチェックを義務付けていますが、従来のアンケート形式では、精神的ストレスを抱えていても早期発見が難しいことがあります。例えば、従業員が「大丈夫です」と虚偽の回答をしたり、本人がストレスに気づいていないケースも少なくありません。
▼これまでの歩み
PLEN RoboticsとRimTechは、2021年に業務提携して以来、開発を進めてきました。同年、神奈川県の新型コロナウイルス対策ロボット実装事業の一環として、湘南鎌倉総合病院にて医療従事者向けサービスプロトタイプの概念実証を行いました。さらに2022年には、神奈川県新型コロナ対策ロボット開発支援事業の一環で、小田原市の鴨宮ケアセンターにてアップデートされた機能の実証実験を実施し、改良を重ねてきました。そして、この度「Care Cube」としてを完成させました!2024年には、音声解析技術を活用して睡眠不足リスクを測定する機能や、アルコールチェック機能を新たに実装しました。現在、これらの機能は実証中であり、ユーザーの健康管理と安全向上を目指しています。
▶Care Cubeの奇跡
2022年、PLEN Roboticsは「PoC Ground Tokyo」という創業・成長支援プログラムにおいて、注目のスタートアップの一つとして選出されました。このプログラムを通じて、企業の成長を支援され、さらなる技術革新とビジネスの拡大に向けた基盤を築きました。(詳細はこちらからご覧ください。)
「Care Cube」は、顔認証、顔認識、音声認識の3つの先進技術を駆使しています。PLEN Roboticsは、2023年10月31日に開催された「NGAS-Accelerator Program 2023」で優勝を果たし、66社から選ばれた6社の中で約4カ月間の事業検証を経て成果を発表しました。また、富山県の3箇所で実証実験を行い、出退勤時間の打刻と残業の自動計算機能を追加しました。(詳細はこちらからご覧ください。)
▼わずか3秒の会話音声でいいの?
これまで、心の状態の可視化にはさまざまなアプローチが取られてきましたが、通常は数十秒かかることが一般的です。しかし、「Care Cube」は音声データの特徴量を把握するために開発された独自のアルゴリズムを採用しており、わずか3秒の音声データで計測を行うことができます!
▼声を変えれば、測定結果を変えられる?
人の声がどのように生まれるかご存知ですか?
声は、声帯が震えることによって発せられます。声帯の筋肉は不随意筋と呼ばれ、意識的にコントロールすることはできません。
この特性を利用し、声帯の震え、つまり声の周波数の変動パターンから、喜び・悲しみ・怒り・恐れ・嫌悪・驚き・落ち着き・平常の8つの感情指標を数値化しました。このような音声解析から得られるデータは、主観的な影響を受けず、客観的な情報となります。そのため、本人が気付いていない日々のメンタル状態を把握することが可能です。
さらに、音声解析は会話の内容や言語に依存しないため、日本語が話せない外国人や赤ちゃん、コミュニケーションが難しい高齢者の心の健康状態を測定することもできます。
▼エッジAI端末xMotivelで出来ること
「Care Cube」は、エッジAI端末と音声解析エンジン「Motivel」から構成されています。顔を近づけると自動的にプログラムが起動するため、スマートフォンやパソコンのアプリと比べて誰でも簡単に操作できるのが特徴です。
また、一般的なIT機器に搭載されるマイクとは異なり、単一指向性マイクを備えているため、騒音の多い環境でも音声データを正確に取得することが可能です。
▼うつ病や認知症を事前予測する!?
「Care Cube」が取得したデータは日々蓄積され、グラフとして可視化されます。単一の計測にとどまらず、長期的な分析を行うことで、認知症やうつ病など、ストレスに起因する問題を発症するおおよそ2週間前に予測することが可能になります!
▼日本のエッセンシャルワーカーをサポート!
毎朝、仕事が始まる前に「Care Cube」でメンタル管理を行うことで、自分では気づかない心の不調に気づくことができます!
医師や看護師といった医療従事者はもちろん、工事現場の作業員やオフィスワーカー、レストランのシェフなどにとっても、ストレス度チェックは非常に有益です。
さらに、「Care Cube」は声帯の震えを活用しているため、言語コミュニケーションに依存せずに分析を行うことができます。そのため、日本語が話せない外国人や赤ちゃん、コミュニケーションが難しい高齢者のストレスレベルを測定することも可能です。
「Care Cube」は今後も改良を重ね、オンラインセラピーやカウンセリングサービスとの連携を図り、ヘルスチェックからヘルスケアサポートまでをシームレスに提供することを目指しています!
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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