コベニちゃんの悪魔と嘘と天使

＊『チェンソーマン』11巻までのネタバレ含むので注意！

コベニちゃんが大好きな人、コベニちゃんのイメージを壊されたくない人は読まないでね。

でも最後までちゃんと読んでくれるならコベニちゃんファンにも読んで欲しいかもしれない(どっちだ)

前回はこちら

https://note.com/care03mi_turalna/n/nd6ddf007c202

主要キャラがバタバタと死んでいくなかコベニちゃんが生き残れたのは、「コベニちゃんの“嘘”と“秘密の悪魔の能力”」によって

「誰にも支配されなかったから」

あるいは

「完璧な屍(しかばね)を演じていたから」

だと書かせていただいた。

今回はその“コベニちゃんの嘘の能力”について整理していきたい。

プロフィールの嘘(？)

1、家族構成について

最初に違和感を持ったのは家族構成について。
コベニちゃんが所属する4課で新人歓迎会と称して飲み会が行われた。
このとき4課の先輩が「コベニちゃんは9人姉妹なんだよ」と言っている。

「9人姉妹」

実は新人歓迎会の前にコベニちゃんには兄がいることが判明している。
4課が永遠の悪魔にホテルに閉じ込められてしまったときの事。このときバディの荒井が混乱状態に陥ってしまったコベニちゃんに
「兄を大学に行かせたいんだろう」と励まし、コベニちゃんは
「親が優秀な兄だけは大学に行かせたいからって私を働かせたんです」と泣きながら言っている。

「優秀な兄」

9人姉妹なのに兄がいるとはどういうことだろうか？

兄+9人姉妹で10人兄妹だとも言えるかもしれないが、「9人姉妹」という表現は兄が完全に排除されているようで不自然に感じる。


まぁ、本当に女の子だけで9人なら「9人姉妹」なので、「9人姉妹が嘘だ」とは言えない。
そしてデビルハンターになった理由からして兄が居ることは確実だと思われる。

大学に行かせたいということは兄は今高校生なのではないか？

兄が浪人しているとしても家庭の経済状況(100円のアイスクリームすら一回しか買ってもらったことがなかった)事を考えると(↓画像10巻86話より)

兄が収入ゼロの浪人生活を送るのは無理ではないだろうか。

2、コベニちゃんの年齢について

100円のアイスすら買えないほど極貧であれば“兄が浪人生”という可能性は薄い。なので兄は高校に通っていると仮定して話を進める(高校に通っているかすら怪しいが)

例えば、コベニちゃんの兄がもうすぐ大学に行く年頃17歳～18歳頃だとしたらコベニちゃんの年齢は少なくとも18歳以下ということになる。

さらに飲みの席で着てきた服は「姉のお下がり」である。
コベニちゃんが兄を含む兄妹の中で何番目なのかはわからないが、物語のポジション的に「三番目(パワーちゃんと同じ)」なので仮に兄が一番年上で18歳だとしたら姉が17歳以下、コベニちゃんは16歳以下の年齢ということになる。

(「三番目(パワーちゃんと同じ)」というのは、
一番上がアキ、二番目がデンジ、三番目がパワーちゃんという兄妹関係が同じという意味合いで。
それから11巻でデンジを復活させたのはパワーちゃんとコベニちゃんだったので「パワーちゃん=コベニちゃん」という構図になると思われる、パワーちゃんとコベニちゃんはポジションが同じ)

パワーちゃんがデンジの“妹”として描かれていることを考慮するとコベニちゃんがデンジより年下であっても全く不思議ではない。

そしてデンジがコベニちゃんのことを「小さい女」と言っているのもかなり引っ掛かるし、
7巻の巻末ではパワーちゃんに「糞チビ女」と呼ばれている(酷い)

もちろん自分より年上でも華奢な人は居る。
しかし“小さい”とは「骨の成長が未熟で小さい」と捉えることも出来る。
デンジがコベニちゃんのことを“小さい”と感じたのは「年齢の割には小さい」と感じたからではないだろうか。

「コベニちゃん16歳(デンジ)以下説」も大いにあり得る。

実際、中学生と高校生の骨の成長、体格の差は大きい。
そう思うと姉のお下がりの服も“ぶかぶか”に見えてくる。

(3巻20話。服、大きい？)

コベニちゃんが年齢を偽る理由として考えられるのは
年齢によって職業選択が出来なくなるのを避けるためではないだろうか。
コベニちゃんを働かせたい両親が「年齢を偽れ」と強要しているのかもしれない。
デビルハンターにも年齢制限があると思われる。

少し話は逸れるが、
アキがデンジと出会った時、アキは既に煙草を吸っている。アキはデンジの「三年先輩」とマキマさんが言っている。


そしてアキが姫野先輩とバディを組んだときは
アキはまだ煙草が吸えない未成年だったことを考慮すると、この3年のうちに20歳を過ぎたことになる。
アキは師匠っぽい人に「少しは使えるように育てた」と言われていたので現場に出る前に“修行期間”があったと想像できる。
多分デビルハンターとして現場に出られるのは18歳以上ではないだろうか。
チェンソーマンでのデビルハンターとはリアルで言う「警察官」に似ている。
公安の人たちは拳銃を使う時にいちいち許可が必要であるとか、(↓5巻46話)

チェンソーマンの中での法律もリアルの日本と同じっぽい雰囲気を醸し出しているし、
拳銃を使える年齢(警察官が何歳で拳銃所持を許されるのかは不明だが)でないとデビルハンターにはなれないのではないだろうか。
デンジは16歳だがマキマさんによって特別にデビルハンターになっている。
飲みの席で4課の全員がデンジの年齢を聞いて驚いていたのは本来“16歳ではデビルハンターにはなれないから”かもしれない。
この時コベニちゃんも驚いていたが、その理由が「自分より若いから」驚いたのか、「自分より年上だから」驚いたのかは定かではない。

3、コベニちゃんは酒を飲んだか？

飲み会が終わり、店の外でコベニちゃんは「人のお金で飲むお酒が一番美味しいですね」と言う。

コベニちゃんファンに聞きたいんだけど、この台詞どう思う？？？

ぼくは11巻まで読み終えて２巡目にこれを見たとき「なんかコベニちゃんっぽくないな…」と思ってしまった。

コベニちゃんの「おいしい」といえばこれよ…。

(7巻56話より)

口にアイスがついてることも気にせず目をキラキラさせて「ちょうおいしい」と言うコベニちゃん、可愛いね！！！

これが彼女の本来の姿なんじゃないだろうか。

これを見ちゃうと「人のお金で飲むお酒が一番美味しいですね」って言ってるコベニちゃんが“大人ぶってる”ような気がしてしまうんだよね。

そもそも飲みの席でコベニちゃんが酒を飲んでいる”描写”は無い。
だけどコベニちゃんはお酒は美味しいと言っているから、読者はコベニちゃんは酒を飲んだと認識する。

しかしアイスクリームすら小学校の誕生日にしか買ってもらったことがないコベニちゃんが酒の味を知っているのか？

「人のお金で飲むお酒が一番」ということは「自分で払ったお酒」の味も知っていることになるぞ？？？
コベニちゃんが今まで何度か奢ってもらったことがあるとは思えないし、
そもそも飲み会のときに食べてるご飯で「こんな美味しいもの初めて食べました」と言ってるので奢ってもらったの初めてなんじゃ…？

コベニちゃんが「人のお金で飲むお酒が一番美味しい」と言ったのは自分が「20才」だという嘘を補強するための嘘にしか思えないのだが？？？

あの、いちゃもんつけてるわけではないよ、決して…。
これらの矛盾は作者のうっかりミスではなく、

「嘘の悪魔」としてのコベニちゃんを意図的に描いている、とぼくは思っている。

4、まとめ(？)

コベニちゃんが嘘をつく理由は“親の強制”、“大人だと偽らないと稼げないため(生きていくため)”ではないか、

というのが今回の結論である。

それから「10人兄妹」と言わずに「9人姉妹」だと言っているのは、
兄の存在がバレるとコベニちゃん自身の年齢詐称がバレてしまう恐れがあるため、兄の存在を秘密にしているのではないだろうか。

たぶんコベニちゃんは“バディ”には心を許していて、バディにだけは本当のことを話したりしているのかもしれない。
あるいは16歳以下だとしたら、まだまだ嘘をつくのが上手くないのかも。

それから他のチェンソーマンの天使に関する考察記事でもよく書かれているが、「天使の階級」は「9階級」である。

だから「9人姉妹」は天使の階級を現し、コベニちゃんもそのうちの一人であることを暗示しているんだろうと思う。
(10巻83話)

マキマが支配した悪魔たちは8人。あと1人欠けている。


あと、まだまだ考察中なのだが、

マキマが支配できるのは“悪魔(大人)だけ”なのではないかということだ。

悪魔とは“堕天した天使”のこと。

たぶんコベニちゃんはまだ堕天“していない”からマキマは支配出来なかったのかもしれない。
コベニちゃんは本物の天使なのかもしれない。

前回「嘘の悪魔」って書いたけど「嘘の天使」に訂正しようかな…。

完璧なマキマさんが9階級のうち1人だけ揃えられなかったのはそういう原因かもしれないなぁと思った。またおいおい考察していきたい。

話を戻すけど、「9人姉妹」が「天使の9階級」なら「兄」とは「神(God)」の事だ。9人姉妹と兄を分けたのはたぶんそういう意味合いも含まれている。
堕天しかけたデンジ(神)を救い上げたのがコベニちゃんだったからね。うん、コベニちゃん凄いぞ。

次は現場でのコベニちゃんについて書く予定。