たぬきのお菓子屋さん🦝②南瓜プリン【童話】
たんたんたぬきのお菓子屋さん。
お母さんが毎朝早くからお菓子を焼いて、お父さんがお店で売って、私とお兄ちゃんも時々お手伝いをしているの。
最近は、街なかのイチョウの葉っぱが黄色く染まって、お店のある商店街のすぐ横にある公園も、すっかり黄色くなっちゃった。
お父さんとお母さんが、イチョウの木の葉っぱに似せたお菓子を作りたいねってお話ししてたの。
そしたらお兄ちゃんが、「バナナは?バナナのお菓子は?」って。
バナナは黄色っていうより白だと思う。
それにふにゃっと柔らかすぎて何だかうまく出来なさそう。
朝1番のお客さんは、隣町からやって来たシカのおじさん。
「わあ、この南瓜のプリン綺麗だな。まるで、通りにいっぱい落ちてるイチョウの葉みたいに鮮やかな黄色だね」
「ありがとうございます。季節のお勧めお菓子です」と、お父さん。
「あれ?だけど南瓜を収穫するのは、夏のはずでは?」
「はい。収穫するのは夏ですが、そのまま寝かせて、じっくり熟成させて、今頃からホクホクして美味しくなるんです」
「なるほど。それでは、いただこう」
おじさんは、丸くて大きな南瓜のプリン1個を買って帰っていった。
「ほらほら、トルタもチョコも。お客さんのいないうちに、午前のおやつ食べちゃいなさい」
工房からお母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。
「おやつは何かな。バナナのお菓子かな」
お兄ちゃんったら、まだ言ってる。
自分がバナナ好きなだけでしょ。
まったく、子どもなんたから。
さあ、どうぞ。
召し上がれ。
おしまい
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