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ぼた餅を2月に作ってしまった件

春のお彼岸のぼた餅と
秋のお彼岸のおはぎ。

我が家ではもう長いこと
欠かさず必ず作ってきた。

3合か3.5合の米を炊き
小豆を煮て粒餡を作り、
どーんと 25〜30個くらい作るのだ。
春分の日または秋分の日だから
大抵は休日なわけで、
汁物と簡単なおかずも用意したら、
その大量のぼた餅を
家族で、お昼ご飯に食べる。

これを話すと
驚かれる(引かれる?)事も少なくないが、
元々私の実家の母が
お彼岸には決まってそうしていたから、
そういうものだと思い、それに倣っていた。

それに、2人の子供達も
いつもは甘い物をさほど好まない夫でさえ
ぼた餅はわりとよく食べてくれたから、
それだけの数を作っても
その日のうちに大体きれいに無くなった。
毎回大量に作るのを
止める理由は、特に無かった。

進学で家を出て、一人暮らしをしている息子のことを、
義母が「就職したら北海道に戻るといいね」「就職先はこっちだといいよね」と言う。

まだ大学1年なんだけどなって思うのと同時に
違う違う、どこにいたっていい。
本人が選んで決めた道なら、
どこだって何だって私は構わない。
今だって離れているけど、本人が自分で決めたこと。そこで本人なりに元気で頑張っているならそれで良い。寂しくなんかない。
その時は、そう思った。

去年の秋。
息子が家を出てから初めての、おはぎの日。

私は どうにも
やる気が出なかった。
息子がいないのに
いつも通りの大量生産をしても
食べきれる筈はない。
じゃあ何個作る?米は何合?
考えているうち どうにも面倒になり、
結局、作らなかった。

自分で思っていた以上に私は
寂しかったのかもしれない。

だけど、やっぱりこれじゃあいけない。
次の春のお彼岸は
少しだけ数を減らして作ろう。
必ず作ろう。

そう思っていたら
何故か、本当に何故か無意識に
1か月も早くフライングしてしまった。

オンライン授業で
この1年ほぼ在宅の、大学3年の娘に
「遂に認知症みたい。
 1か月も早く ぼた餅作っちゃったよ。」
と話したら、
めちゃくちゃ笑ってくれた。
めちゃくちゃ明るく朗らかに。

そう私は
ちっとも寂しくなんかなかった。

笑ってくれて食べてくれる家族が、
まだこんなに近くにいるのだから。



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律子
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