パートナーセールスに再現性はあるか

皆さんこんにちは! Leaner Technologiesの木村です!
今年もパートナーサクセス様のアドベントカレンダーに参加させていただきます!
昨年に続き貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

毎日パートナーセールスに携わる方々の素敵な記事がリリースされる中ではありますが、私からは「パートナーセールスに再現性はあるか」というテーマで書かせていただきます。

私自身の経験や各社の皆様とお話する中で感じた押さえるべきポイントを整理しつつ、再現性を持たせて成果を出すことができるのか、という観点で検証していければと思います。


自己紹介

株式会社Leaner Technologiesにて「調達のスタンダードを刷新し続ける」というミッション実現に向けて、購買プラットフォーム「Leaner購買」の事業開発を担当しております。
私自身の役割としては、担当事業の拡大であり、パートナーセールスはそれを達成するための強力な手段の一つとして取り組ませていただいております。

ちなみに、昨年アドベントカレンダーに参加させていただいたタイミングではSansan株式会社に所属しており、パートナーセールスに必要な考え方について記事を書かせていただきました。

所属企業が変わっても、変わらずパートナービジネスに携わらせていただいている私だからこそ、再現性について考えることができるのかなとも思いますので、少しでも皆様のお役に立つような情報が発信できればという気持ちで書いていきます!

押さえるべきポイント

再現性を語る前に、そもそもどのような状況であれば協業が促進され、成果が出るのでしょうか。

パートナーセールスは、事業拡大を目的に他社と協力し、その過程もしくは結果そのものが、両社にとってwin-winの関係性になることが本質だと考えております。

そう考えると、パートナー様と自社の両社にとってメリットが明確になっていることが重要です。しかし、メリットが明確なことと推進できるかどうかは全く別物です。パートナー様には本業があるため十分にリソースをお借りできないかもしれませんし、取り扱いサービスが多く自社製品が埋もれてしまうかもしれません。

色々な要素が複雑に絡み合う中で、協業によって成果を出すためには、大きく分けて5個の押さえるべきポイントが存在すると考えています。
以下にそのポイントを列挙していきます。

why 協業

一言で言うと協業の目的が明確であるか、という点です。
自社製品を取り扱っていただくことでパートナー様の事業に貢献することができるのか、自社にとっては事業戦略上の課題を解決することができるのかをしっかりと考え抜く必要があります。
例えば、パートナー様にとっては特定のサービスを販売することで自社製品の販売機会に繋がる、自社にとっては営業リソースをお借りすることができる、など具体的な協業の目的の一例です。

両社にとって不足している点を補い合うという考え方が一般的ですが、本当に補うことができるのか検証が不十分だったり、明確に擦り合わせを行わずにふわっと進めてしまっているケースなど散見されます。
成果が出るまでに時間のかかるパートナーセールスにおいて、羅針盤になる部分なのでしっかりと目線合わせを行いましょう。

why 自社製品

協業の目的が整理できたとしてもまだまだ不十分です。
前述した通り、多くの場合パートナー様にとって協業先は自社だけではない可能性が高いです。また、そもそも本業がある中で取り組むことになるので、100%の力を注いでいただけるわけではありません。

「自社製品を取り扱っていただく」以外の選択肢に対して優位性を明確にできなければ、最悪の場合、パートナー契約は締結したけど何も起こらなかった、という結果にもなりかねません。

ターゲット層の親和性

こちらは各社しっかりと考えている印象があります。
自社製品を届けたいお客様の業界や企業規模、提案先の部署、役職、などを整理し、パートナー様の持つ顧客層と比較したときに、重なる部分が大きいパートナー様と協業することができれば、必然的に大きな成果を期待できるのではないでしょうか。

組織としての推進

協業の目的が両社目線合わせできており、優先して取り組むべき理由も明確になって、攻めるべきターゲットの親和性も高い、このような状況でも必ずしも成果に繋がらないのがパートナーセールスです。

経営陣やマネジメント層の方々も巻き込み、会社対会社の取り組みであることをしっかりと握った上で、可能であれば目標設計にまで関われるくらい公式な取り組みに昇華したいところです。

また、現場のご担当者の方に自社製品を第一想起してもらうことも重要です。論理的にはメリットが大きくても売るのがとても大変だったら敬遠してしまいますよね。
まずは普段の営業活動をよく観察し、パートナー様に適切なコンテンツで支援していくことが重要です。

自社の体制

最後は自社の支援体制です。
前述した通り、自社が協業の恩恵を得るためには、それなりの支援をすることが必要になります。そしてこの支援は片手間で実現するには困難なレベルだと考えています。
SaaS業界においては直販を中心に事業を拡大してきた企業も多く、これまでの経緯から社内の協力を得づらいという話もよく聞きます。
成果が出るまでに時間がかかるという点と、できれば直販組織と対立構造にしないことがスムーズに販路を拡大する上では重要だと考えます。

全てが揃ったら必ず成功するか

パートナーセールスを推進するに際し、押さえるべきポイントを挙げさせていただきました。
では、このポイントを全て押さえることができたら成果が出るか、現状の個人的な見解としては「成果は出る」と考えています。

ただ、このポイントを網羅することが非常に難しいというのが、パートナーセールスの難しい部分だと感じています。ポイントを押さえることが困難な理由として、大きく分けて2つあると考えています。

1つ目は考慮すべき要素やパターンが多い点です。
自社の状態やプロダクトの属性、マーケットの状況、パートナー企業の特性など考慮すべき点が多く、またそのパターンの数も多岐に渡ります。そのため、How起点で再現性を出そうとすると当選確率の低いくじ引き状態になってしまいます。

二つ目は直販と比較してステークホルダーの数が急激に増えるという点です。
お客様に到達する前にパートナー様の心を動かさなければならず、最低でもチーム単位、大がかりな協業であれば部署や事業部レベルの組織をマネジメントしていかなければなりません。
自社の社員と比較して目標の持ち方やモチベーション、知識レベルなどが揃っていない中で行動を促していくことが難しいのは想像に難くないかと思います。

自社商品の売上という言葉を使わずに考える

つまり、本記事のテーマに対して結論を述べるとすると、「全体像に対してはフレームが形成されつつあるが、一つ一つのポイントを押さえることが難しい」という意見になります。

これがパートナーセールス界隈でよく耳にする、パートナーセールスは職人芸(あるいは属人性が高い)という話の正体だと考えております。
しかし、「再現性はあるけど難しいです。」という結論で終わってしまうと何も残らないので、最後に私自身が意識することで、比較的うまくいった考え方を共有して終われればと思います。

それは、「お客様やパートナー様の理解を深め、自社が何を提供することができるのか、その報酬として何が欲しいのか、を売上という言葉を使わずに常に考えること」です。

例えば、直近だとインボイス制度や電子帳簿保存法などマーケットに大きな動きがあり、パートナー様にとってもとりあえずラインナップに入れておけば売れる、という状況などが存在します。
しかし、取扱いのメリットが「製品自体の売上」のみになってしまうと、表層的な取り組みになってしまい、残るのはどれだけ手数料を払うかの議論のみです。

一方で、協業の目的が売上以外の部分に存在するとしたら、一過性の取り組みではなく両社にとって事業を拡大する上での戦略と位置付けられます。
例えば、クラウド録画サービスを提供するセーフィー様がカメラメーカーや通信会社と協業を推進している事例などは好例だと思います。

短期的な数字のみで手数料の議論で良いかもしれませんが、長期的な事業拡大を実現するために是非参考にしていただければと思います。

最後に

これまでの経験を踏まえ、パートナーセールスをどのように進めたら成果が出るのか、について普段考えていることを文字に起こしてみました。
私自身、正解に行き着いたという感覚は一切ないので、同じようなテーマで考えている方がいらっしゃれば、是非お話させてください!

引き続きパートナーセールスアドベントカレンダーをお楽しみください!

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