カタカナ語によくある2通りの表記について
※この記事は、検証作業を(ほとんど)すっ飛ばして書いています。
などと、わざわざお断りするまでもないようなもんですが、ざっと読み返してみたところ若干の似非アカデミック臭が気になったので念のため。
ピザとピッツァ(註1)/フォカッチャとフォッカチオ(註2)/マグワイアさんとマクガイヤーさん(註3)……。
他言語の音声をカタカナで正確に表記しようとしても、陀羅尼的というか、やっぱり限界がある_これは何も日本語に限らず。例えば韓国人の場合、日本人が《バーガーキング》で《ハンバーガー》を食べるように、《ボゴキン》で《ヘンボコ》を食べたりする_。という前提で、新しいカタカナ語はどうやって作られるのか/どう変わっていくのか/なぜダブルスタンダード化しがちなのか。
いわゆるアルファベットを使う表音文字言語圏(≒文化圏)から何かがやってくる際、事物や人の名前は、まず無理矢理のローマ字読みでカタカナに落とし込まれる。その際、たぶん、上記「/」右側のように表記されがち。
少し経って、指される現物(人含めて)がお馴染みのものとなり、原語の音声が耳から入ってくる機会が増えると、たぶん、上記「/」左側のようなのが現れ、標準表記が置き換わったりダブルスタンダード化しがちだ。
ついでに言うと、次に、正統感・本格感を出すためにあえて再び《無理矢理ローマ字読み》回帰の動きがあったりする。カタカナ語のニュアンスで《オーセンティック》なイメージを求めてのことではないかと見ている。このへん、《語感》の問題が絡んでくるから極めて厄介なんで、書きはじめてしまったことを若干後悔しつつ、『広告批評の別冊(4)土屋耕一全仕事』_マドラ出版1984年_に、ご本人のコメントが掲載されていたので、以下にp137より引用しお茶を濁すことにする。資生堂の広告コピーの仕事において、コピーチェックの際、先輩から言われた言葉または後輩に言った言葉らしい。どれがどうなのか、私には明確に判別できない部分もあるのですが。
……で、その頃の宣伝文化部の人たちというのは、めいめいがゆるぎない美意識をもっていた。「ブラジャー」などと書くと、この「ジャー」は汚いから「ジエァ」にしなさいなどと書き直された。いまでも、あそこは「メイクアップ」である。メイキャップでは、品がないだろう。「レモンティー」ではなく、「ティ」と書け、と言う。挨拶文に「いかがお過しですか」と書いたら、お客様に失礼だと言って叱られた。
註1:「西洋のお好み焼き」の名は
初めてピザまたはピッツァを食べたのは、記憶が間違っていなければ三宮のニューミュンヘンで、当時私は小学生。メニュー表の文字が読めたから既に幼稚園児ではなかったろうし、子どもが使うもんじゃないとペッパーソース(タバスコ)を取り上げられたから、まだ中学生にはなってなかったと思う。
父親が「西洋のお好み焼き」と説明してくれたそれは、メニュー表上では確か《ピッツア》と表記されていたが、ホール係の方は、オーダーを復唱する際《ピザ》と発音。ちょっと面白いと思った。
ということで私のイタ飯デビューは、ドイツミュンヘン大使館跡の飲食店。小学生時代から多文化共生を実践していたのだなと感慨深いものがある。
改めて、Google翻訳でイタリア語/英語/日本語の音声を比較してみたところ、イタリア語は割とピザ気味、英語はピッツァ気味。
イタリア語
英語
註2:いつ食べたか、どこで食べたか
イタリアのパンの話。たぶん《フォカッチャ》が標準で《フォッカチオ》は無理矢理ローマ字読みの古い言い方だろう。という認識だったが、なぜか再び《フォッカチオ》派が増えているようで。何でだろうと思っていたら、サイゼリヤのメニュー表に《フォッカチオ》の表記を発見。ちなみに、小さいのをミニ《フォッカ》と略すとこなんか極めて日本的。
私の想像では、《フォッカチオ》派は大雑把に以下の通り二分される。
1)何十年も食べ続けている人:
特に、初めて食べたときの印象は強烈だった筈で、おいしい!これ何てパン?/フォッカチオです。てなやりとりがあったかどうか知りませんが、そんな人たちにとって《オーセンティック》な語感を持つ表記/発音なんだと思う。
2)サイゼリヤで比較的最近初めて食べた人:
そんな人たちにとっては、別段《オーセンティック》でも何でもないと思われる。
註3:70年代の日米プロ野球と90年代のホームランキングなど
マグワイアと言えば、マンチェスターユナイテッドでプレイするサッカー選手ですが、マグワイア/マクガイヤーという2つの表記の変遷を検証するには、日本で現在のように人気スポーツになってから比較的歴史の浅いサッカーは不向きと思われ……。野球の場合は検索するといろいろ出てくる。
McGwireを無理矢理ローマ字読みすると後者的、英語圏の人らの発音は前者的だ。
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