※本文中の引用文は記載のあるもの以外は、
『シルバーバーチの霊訓(一)』潮文社刊
アン・ドゥーリー編
近藤千雄訳
よりの引用です。
J.S.Mウォード(ワード)が著し、浅野和三郎が訳した『Gone West(邦題:死後の世界)』という本があります。
その後半部分。陸軍士官と呼ばれる人物が地獄のどん底まで落ちて、そこから霊界まで這い上がってくる物語があります。
浅野氏の軽妙な翻訳で活劇調に描かれているので物語としても面白いのですが、様々な知識を得てから読めばその内容の重大な真実性に気がつくようになります。
陸軍士官は地獄のどん底で王として君臨するほどの意志の強い人物である為、霊界に入ってからもメキメキと頭角を表して指導的立場に就く事になります。
また、オーエンの『ベールの彼方の生活』でも一度どん底まで落ちてから這い上がって来た霊に対して、高級霊は『自分に欠けているものを持っている…』と察する場面が描かれています。
全ては経験です。
どのような間違いを犯したにしても、どれほど遠回りをしたにしても、私たちはいつかは必ず神のみもとに帰るのです。
今現在が苦しくても、永遠の尺度から見れば必ずその経験が役に立つ時が来ます。ですから、私たちは今置かれている場所で最善を尽くして生きなければならないのです。
私たちはどれだけ頑張った所で誰かを変える事は出来ません。何故なら、相手には自由意志が備わっているからです。自由意志は神から与えられた誰にも侵せない法則です。
ナザレのイエスは、人には我が身をもって手本を示す事をなさいました。言葉ではなく、立派な行いをしている事を誰かが見れば、それを見た本人がその人を見習うようになる、という訳です。
私たちは日常において、誰かを無理やりに変えようとしがちです。しかし、それでは決して良い結果は得られません。人を変えたければ、まず自分が変わらなければいけないのです。そして、相手が理解してくれる事を待つという忍耐も必要です。人間が変わるというのは、一朝一夕でできる事ではありません。長い時間と努力が必要なのです。
真理を知って感動して、それを大切な人にも伝えたいと思うのが人情というものですが、これは絶対に受け入れられない人には受け入れられません。真理は自らが求めない限りは手に入りません。
ですから私たちができる事は、いつでも自らを真理としておくという事です。
自らの想い、言葉、行ないを正して常に人のために、を心がけて生きる姿が真理そのものなのです。
生きていれば大変な事、嫌な事が現れて来ます。しかし、真理を知ればそのような困難も自らの糧として進んでいく事ができるようになります。
そのような姿を見てはじめて、人は自らを正そうという気持ちが芽生えるのです。それは自分のためにもなりますし、私たちが接する全ての人のためにもなることです。
そのような生き方こそ、真理を学んだ者の取るべき道だと思うのですが、いかがでしょうか。
今日はここまでとします。
人が成長するのには時間がかかるものですが、しかし自分は全く成長していないと思っていても、着実に私たちは育っているのです。そうなる事が、摂理だからです。
Capella✝️