バレエ感想①新国立劇場バレエ「くるみ割り人形」2022
吉田都さんがインタビューで「日本人のバレエ団がいわゆる「ロシアバレエ」をそのままのかたちで上演するのは、やはり難しいと考えています。ロシアのダンサーの、あの身体と踊りがあってこそ成立している」 と語っているように、海外のバレエ団、特にロシア圏のバレエダンサーのラインや雰囲気はそれはそれは美しく、日本のダンサーには見られない神秘的な雰囲気を感じます。よって海外のバレエ団の今まで来日公演には行きつつも、日本のバレエ団はあまり興味がありませんでした。
そんな私が新国立劇場バレエ団の舞台を見にいくようになり、良いチケットを入手するために年会費を払ってまでアトレ会員になったきっかけは、モスクワ音楽劇場バレエでソリストとして活躍されていた直塚美穂さんが入団されたからです。
直塚さんを初めて見たのは、2021年のロシアバレエガラです。当時は名前も知らず「日本人が出るんだ・・・」くらいにしか思っていませんでしたが、幕が開いて衝撃を受けました。ミハイロフスキーやダンチェンコに入団を認められるほどのスタイルの美しさと柔軟性はもちろん、ポールドブラがとても優雅で、回転もテクニックも強いと言う今までの日本人にはあまりない、バレリーナの完成系のような出たち。
上のハイライト動画で最初のローズアダージオを踊っているのが直塚さんですが、アチチュードや全てのパも綺麗で、なんと言ってもポールドブラがふんわりしていて、上品で本当にロシアバレエのお姫様でした。日本人バレエダンサーを見てここまで衝撃を受けたのは初めてでしたし、ハッキリ言って他のロシア人よりも上手くて、ついに日本からもこんなに美しくて世界レベルの舞を魅せるダンサーが出てきたかと誇らしかったですし、奮発して良い席を購入して本当に良かったと心の底から思いました。
現在は戦争というやむを得ない事情で、ロシアから日本に帰国し新国立劇場でファーストアーティストとして活躍する直塚美穂さんに関しては、あと1000文字以上感想書けますが、本題からそれるのでまたの機会に。(なんでプリンシパル入団じゃないの?レベル違いすぎるじゃん。おかしいでしょ。身内贔屓とか日本的な忖度いらん。観客は上手い人見たいんじゃ。観客のこと考えて。 byいち納税者)
で、本題ですが新国立劇場のくるみ割り人形はなんと5回見に行きました。直塚さんが、雪の精と花のワルツに出ており、なんとしても直塚さんが日本にいるうちにあの美しいバレエを見ておきたいという思いと、チャイコフスキーの音楽が大好きなので生オーケストラの美しさに浸るべく、節約しまくって見に行きました。
感想、やっぱり直塚さんは美しかった!!!雪の精の時はちょっとしたポールドブラや首の傾きすらもエレガントで、1人だけ際立っており、全てのパが本当に優雅で美しい。。。花のワルツに関しては、リフトの時に足を開ききれなかったり、回転が足りなかったり、早い動きに若干遅れるメンバーがいる中でも、直塚さんだけは余裕で全てのパをこなしており、パドドゥを組んでいる男性も踊りやすそうなのが印象的でした。もっと見たかったです。
正直、直塚さんが抜きん出ており、他はあまり印象に残らなかったのですが、音楽を学んでいた知り合いは指揮者がアレクセイ・バクランさんの公演と冨田実里さんの時の公演で、全くオーケストラが違うということに驚いていました。
同じ振り付けと音楽なんだから、オーケストラも同じと思っていたのですが、そういえば冨田さんの指揮ではオーケストラも品行方正、控え目、よく言えば日本人的な前に出なそうな謙虚な感じで、バクランさんの時は喜びいっぱいで爆発寸前のように各楽器ができる限り、最大限弾けた音色を出していたようにも思います。指揮者が違うだけでかなり変わるんだなぁと驚きました。
あと良かったのは、ロシアの踊り。小ネズミと小さい兵隊さんたちがすっごく可愛かったです。