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1年を振り返る:バレエファンの会社員は正直でありたい

noteにバレエの話を書くようになって、約1年が経った。文章も写真も自分で全て準備し、チケットも定価で購入し、迅速に感想を書くと言うことを心がけていたので、最近ではすっかり公演に行くたびに感想を書くと言うことが習慣化してきた。

さて、オペラファンや演劇ファンからは言われ続けてきたことだと思うが、日本バレエ界には批評文化が全く根付いておらず、ネットに上がってくるのはほとんどが大絶賛のみである。もちろん大絶賛しかしようがない素晴らしい舞台であったのならそれでも良いけれど、実際にそんな舞台はほとんどないだろう。
そして日本バレエ界のもう一つの大きな課題は観客が家族、友達、お教室の関係者など身内ばかりと言うことである。何が言いたいかというとバレエ界の発言内容は、結局ほとんど身内が内輪で大絶賛しているという構図から抜け出せきれていないのが現状ということだ。

私自身はバレエダンサーの知り合いが1人もいない一匹狼のガチバレエファンであるが、うっかり批判めいたことを書こうものならネットで色々言われてめんどくさいことになると知っている(実際に色々言われた)。
なのでどうでも良いと思ったダンサーや舞台については時間を割くだけ無駄だし、トラブルに巻き込まれたら面倒くさいので、何も言わず、良いと思ったことについてだけ絶賛することを繰り返していた。

ところが最近驚くべきことに、私の文章を読んで「ダンサーの〇〇さんの舞台見に行きたくなった」とか「○○公演行きたくなってチケット買った」という声をいただく事が増えた。1ファンが好き勝手書きまくっている感想によってバレエに関心を寄せてくれる人が増えることを心から嬉しく思う。そして1人でも私の感想に関心を寄せ、信頼してくれている人がいるなら、私はそれに誠実に答えたいと思った。
バレエファンの会社員として、バレエを心から愛する1人のファンとして、自分が感じたことは正直に伝えられる人間でありたい。良いと思ったら大絶賛するけれど、良くないと思ったらそれを正直に言える誠実な人間でありたいと思った。

とは言え、良いと思わなかったものをいちいち文章にしていたら時間がなくなるので、どうでもいいと思ったものについては今後もスルーする。だが、一度良いと思って大絶賛したけど、再度見たら全然良くないと思ったことについては素直にそれを書く様にしようと思った。

例えば、Kバレエトウキョウのシネマと新国立劇場バレエ団の公演について、今回つまらなかったと言うことを思い切って正直に書いてみた。批判したいと言うよりも、以前大絶賛した内容について、今はそうと思えないと言うことをきちんと書くべきかと思ったのである。

大炎上するかと予想していたが、予想に反して「私もつまらないと思った」「ファンだけど、こう言う意見もあって良いと思う」など、意外と今まで声を上げずに黙っていた層からの声が上がり、反響も大きくて驚いた。中には「ここまで批判されてると、逆に見に行きたくなる」なんて声もあり、かえって宣伝となってしまったみたいで、これには笑ってしまった😂 
バレエは視覚的な芸術でもあるので、批判と悪口の境目が難しいが、きちんと理由を付けて批判すると言うことは色々な考えに触れるきっかけにもなると思った。

もちろん、かなり神経を使うし、基本的にどうでも良いことに時間を割きたくない。しかし私の文章を読んでくださり、それによってバレエに興味を持ってくださる方が1人でもいるなら、少なくとも以前大絶賛してその後に考えが変わった場合はきちんとその思いを書き、誠意を示していきたいと思った。

バレエファンの会社員は素直に正直に自分の考えを言える存在でありたい。
バレエ感想を書き始めたこの1年を振り返ってみて、強くそう思った。



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