バレエ感想⑦ハンブルグバレエ団「ジョン・ノイマイヤーの世界」
ここ5年の中で一番感動したかもしれない舞台です。ただただ感動。泣きました。このガラは抜粋中心とはいえ、ノイマイヤーの世界、ダンスへの愛を表現しています。
もはやガラというよりも、これ自体が全幕公演のようでした。2016年の来日時とは演目も細かく変更されており、素晴らしかったです。
ー1幕ー
まさかのノイマイヤー本人登場!!!!!
ナレーターになんとご本人登壇。2016年は全部レコーディングでした。クリストファー・エヴァンス扮するノイマイヤーだけでなく、ご本人もちょこちょこステージに出てきて、男性陣にリフトでぐるんと一回転されるなど、アクロバティックな動きもこなしており、びっくり。なんて元気な84歳だ・・・。
キャンディード序曲
さわりの部分でダンサー総出演!衣装がチグハグだし、なんかコジョカルに似た人がいるなぁと思ったら、コジョカルもラウデールもみんなステージにいて、最初びっくりしました。衣装がサテンのミニドレスなのですが、色や背中が見えるデザインがとても可愛く、ダンサーの魅力を引き出していました。菅井円加さんの身体能力の高さがよく分かりました。
アイガットリズム
以前シネマで見た「ヌレエフガラ」でゼンツァーノの花祭りを踊っていたイダ・プレストリウスがとにかく可愛すぎます。タキシードとシルクハットを小粋に着こなしており、弾けたリズムに乗ったダンスはキレキレでした。途中コールドが大量に出てきたり、色合いとか映像効果とか、フレッド・アステアの映画の演出みたいで、ワクワクしました。
くるみ割り人形
アリーナ・コジョカルは母親役から少女役、そして娼婦役もこなす一世一代の演技派。トウシューズを履いた瞬間は、初めて立った小鹿のような足。パドドゥは喜びいっぱいのバレエ少女という感じで、見てるだけで鳥肌が立ちました。幸せいっぱいのキラキラのアリーナが見れて、チケット買って本当に良かったです。
ルイーズ役を踊ったアンナ・ラヴデールは悪くないけど、コジョカルの後だと正直霞みました。またこのバレエはロパートキナが得意とする「パブロワとチェケッティ」としても有名であり、Youtubeに流れている映像を100万回見た後だと、ラウデールのラインの甘さや重さが気になりました。ただ、ルイーズとドロッセルマイヤーだけでなく、エヴァンス扮するノイマイヤーも一緒に踊ると言う今回のガラならではのバージョンでして、これはこれで面白かったです。
ラウデールが真ん中で踊っている最中、なんと右手にコジョカル、王子、エヴァンス、ノイマイヤーが座ると言うサプライズ。存在感が凄すぎて、右側にばかり目がいってしまう😂 この演目を1番楽しみにきたのに、ノイマイヤーばかり見てて頭に入らなかったです😂
シルヴィア
菅井円加ちゃんがとにかく力強くて可愛かったです。ダイアナ役もアジア系の方で、沢山のアジア系バレエダンサーが活躍していて嬉しくなります。アミンタとシルヴィアの出会いのパドドゥはなんだか甘酸っぱくて全幕で見たくな離ました。そろそろ恋に落ちるかってところで今回はおしまい。最初の緑の衣装も木みたいで可愛かったですし、もう少し見たかったと思います(まさか、これが販売戦略か?)
アンナ・カレーニナ
以前ボリショイ劇場でザハーロワやスミルノワが演じていて話題になっていた演目を生で見れて感動しました。エドウィン・レヴァツォフとアンナ・ラウデールのカップルは長身金髪のザ・バレエダンサーという感じで、モデルさんみたいな美男美女夫婦です。
キティの衣装がロングではなく、ミニドレスだったり、ボリショイ版とは違いはあるけれどSNSで見ていたアンナ・カレーニナの世界が目の前にあって嬉しかったです。セットのドアをうまく使っていたり、途中タバコをふかして匂いが客席に届いたり、抜粋ながら、五感で楽しみました。
椿姫
美しすぎる。以前のノイマイヤーガラでも一番大好きでしたが、アリーナ・コジョカルの無重力感、アレクサンドル・トルーシュのおぼっちゃま感がとてもよく伝わってきました。アリーナの激しい息遣いは、肺病という設定を伝えるためわざと出していたのでしょうか?
というか、なぜ「椿姫」を新国立のニューイヤーバレエでやってくれなかったのでしょうか😭「ドン・ファン」も素敵でしたが、設定がよく分からず、絶対椿姫の方が良かったと思います。
クリスマスオラトリオ
とにかく見ていて楽しく、1幕の最後を飾るに相応しい演目でした!赤の衣装が素敵で、躍動感が凄かったです。1幕はとてもハッピーな気持ちで終わりました。
ー2幕ー
明るく、華やかな演目が多かった1幕に比べ、2幕は重厚な演目が目立ちました。
ニジンスキー
芸術家であるニジンスキーが戦争などにより、精神を壊していく様子を描いた演目です。迫力がすごく、狂気というよりも恐怖でした。凄まじい迫力でした。怖すぎて、心の芯から狂ってしまう様子がすごかったです。
ゴーストライト
コロナ禍でも新作を作らないとと言うコメント。シルヴィア・アッツォーニら登場人物が着ているレオタードはおそらくYumikoのレオタード。ゲイ?のパドドゥもあったりして、時代が変化してきたことを感じました。
モーリスのために
涙腺弱い私はこの演目で号泣です。とにかく泣ける。モーリス・ベジャールとジョン・ノイマイヤーは長年の友人でこの演目はベジャールの70歳記念に作られたもの。2人の絆の繋がりだけでなく、巨匠2人が紡いできた信頼・愛、そしてベジャールがあの世に行ってしまったように、いつかノイマイヤーも旅立ってしまう・・・。そんなことを考えて号泣していました。
ちなみに以前は確かアレクサンドル・リアブコ、イヴァン・ウルヴァンによって演じられた演目ですが、今回はリアブコ、レヴァツォフによるウクライナ人コンビによって演じられました。当初はウルヴァンがキャストされてましたが、いつの間にかレヴァツォフに変更になっていました。ウルヴァン見たかったけど、しょうがないですね。とにかく素晴らしかった。
マーラー交響曲第3番
これも泣きました。プリマの菅井円加さんがとても俊敏で素敵でした。ツアー公演だから人数の関係でしょうがないのかもしれませんが、プレストリウスやラウデールもコールドやっててびっくり。絶対日本でしか見られないキャストだろうなと思いました。最後にノイマイヤーがステージの中央に立ち、ステージを横切る菅井円加さんを見送るという鳥肌ものの演出。日本人としてとても誇らしかったです。
コーダ
コーダは全員で細かなステップを刻み、ノイマイヤーはなんと全員に持ち上げられながら2回転!カーテンコールはいつまでも鳴り止まず、最高の舞台でした。久々に号泣した、心動かされる舞台でした。
菅井円加さんのトークショー
最終日のみ菅井円加さんのトークショーがありましたが、7割型司会者が話していました。司会者の経歴説明、感想、要りません。興味ありません。菅井さんのお話しするノイマイヤー版「眠れる森の美女」や「白鳥の湖」の話、ノイマイヤーとのエピソード満載でとても興味深かったです。が、なぜ司会者が菅井さんの話を何度も遮るのでしょうか?次は別の方に司会をお願いしたいです。