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バレエ感想「ダイヤモンド・セレブレーション」東京バレエ団


東京バレエ団60周年祝祭ガラ「ダイヤモンド・セレブレーション」を見に行きました。秋元康臣さんを見たくてチケットを購入しましたが、全体的にとっても見応えがあり、気になるダンサーも増え、東京バレエ団の今後の公演を見に行くのが楽しみになりました。60周年おめでとうございます🎉

第1幕:エチュード(ランダー振付)

エチュードは来年新国立劇場バレエ団でも上演が決定していますが、日本のバレエ団では東京バレエ団がずっと上演してきた作品です。
沢山のダンサーが出演する中、唯一女性でティアラをつけて踊る秋山瑛さんが素敵でした。秋山さんといえばジュリエットのような可愛い役のイメージが強いですが、今回は真っ赤な口紅をつけていたこともあり、強い女性という印象を受けました。小柄なダンサーですがテクニックが抜群なので、まるで日本版コジョカルのようです。元々人気の高いダンサーですが、ブノワ賞にもノミネートされるなど知名度がどんどん上がってきており、今後どんな舞台を見せてくださるのか本当に楽しみです。

他にも南江祐生さんも印象に残りました。最初は右手前にいて、佇まいがキリッとしていて「素敵なダンサーがいるな」と思いました。ちなみにコーダでは左側のソリスト(宮川新大さん)のすぐ後ろで踊っており、そのポジションは以前マリインスキー2のオープニングガラでザンダー・パリッシュがいた場所で、ここに置かれる人は将来プリンシパルになると私は思い込んでいます😂
南江さんを見るのは今日で2回目ですが、ポールドブラや首の向きなど、ふとした動きが優雅で毎回ずっと目で追ってしまいます。以前田北志のぶ先生のガラで初めて南江さんを見た時もそのエレガントな様子が素敵だと思いましたが、今回沢山のダンサーの中にいても目を引く空気感があり、今後が楽しみだと思いました。

第2幕:スプリング・アンド・フォール(ノイマイヤー振付)、バクチIII(ベジャール振付)、ドリーム・タイム(キリアン振付)

ジョン・ノイマイヤー振付の「スプリング・アンド・フォール」は3月まで東京バレエ団でプリンシパルとして活躍された秋元康臣さんが現役プリンシパルの沖香菜子さんと一緒に踊られましたが、なんとまぁ美男美女🥰
秋元さんはどの動きも柔らかく、ポールドブラが美しいです。沖さんは少女みたいで可愛かったです。

柄本弾さんと伝田陽美さんの「バクチIII」は真っ赤な衣装とインドっぽい音楽や振り付けが印象的で、とても面白い作品でした。10分以上あったはずですが、テンポが良くてあっという間に終わってしまいました。伝田さんが公演前インタビューで「ヨガっぽいポーズが見どころ」と仰っており、どんなポーズを取るのかと思っていましたが、素人がトライしたら一瞬で骨折しそうなアクロバティックなポーズばかりで、もはやヨガというよりスポーツのようでした😂

キリアン振付の「ドリーム・タイム」は沖香菜子さん、金子仁美さん、三雲友里加さん、宮川新大さん、岡崎隼也さんが踊られましたが、私がキリアン作品への理解が乏しいことと無音の時間が長いこともあり、最初の方はドリームタイムに連れていかれそうに…😴
ですが岡崎隼也さんが出てきた時の意思の強そうな眼差しが印象的で引き込まれました。このダンサーは何か明確な意図を持って踊っていると感じたのです。正直この作品についてはよく分かりませんでしたが、岡崎さんの力強い視線は印象に残りました。

第3幕:ボレロ(ベジャール振付)

第1幕で上演された「エチュード」は登場人物も多く祝祭感も満載なため、なぜ「エチュード」をラストにしなかったんだろうと思っていましたが、最後の「ボレロ」の盛り上がりを見て納得しました。
ここ20年東京バレエ団を名実ともに引っ張ってきたのは間違いなく上野水香さんであり、今も彼女が東京バレエ団で一番のスーパースターと実感しました。上野さんの人気と知名度があったからこそ東京バレエ団はコロナ禍も乗り越えて公演を行い続けることが出来、ここまで人気のバレエ団であり続けられたということを考えれば、大トリを彼女に任せるのは当たり前だと思いました。

東京バレエ団の「ボレロ」は通常録音音源が使われることが多いですが、今回は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団による生演奏でした。踊りの盛り上がりと音楽の熱気がマッチして、とても良かったです。

「ボレロ」のメロディーを踊った上野水香さんはとても美しいのですが、ものすごく正直にいうと46歳という年齢のせいか体力的に厳しそうだなと感じました。 でも手前右側で踊っていた岡崎隼也さんがずっと力強くリズムを刻み、動きだけでなく視線も力強くて、地鳴りするようなエネルギーを上野さんにずっと送り続けて彼女の体力的に足りない部分を補完していたように見えました。
上野水香さんの体力が持たないことを批判したいのではなく、46歳の彼女はもう若さとは別の境地におり、観客が彼女に求めているのは若さを超えたものなので若さの表現を彼女に要求する気はありません。若さについてはもっと若い人が表現すれば良いと思っています。 ですがベジャールのボレロは音楽も振り付けも情熱的なので若さ溢れる熱いエネルギーもステージから感じさせてほしくて、そこを今日一番観客に伝えていたのは岡崎隼也さんだと思いました。

ボレロは40名の男性がステージにいるからそれだけでも圧巻で、他のダンサーも本当によく頑張っていました。 だけど岡崎隼也さんの眼差しは意志というのか使命感を持っているような力強さがあって他とは一線を画していたと感じました。ボレロと共に命を燃やし切るような、ここで死ぬことを覚悟しているかのような凄みがあってとても印象に残りました。

岡崎さんは実はお名前だけ知っていて、以前東京バレエ団「ジゼル」オーストラリア公演の現地レビューを読んだとき、招待公演だからかどれもお客様扱いで評論家は全体的にそつなく褒めていると感じました。そんな中、ある評論家が岡崎さんのヒラリオンのキャラクター性にについて書いていて、数あるレビューの中で初めてレビュワーの意志を感じた一文だったので印象に残っていました(しかもそのレビュワー、最初岡崎さんの名前をOkEzakiって書いてて、何これって思った記憶があります😂)

今回もボレロは40名も男がいるので誰が誰だか分からなかったのですが、その前の「ドリーム・タイム」で印象的だった男性と同じ顔だったので、「あぁこれがレビューに書かれていた岡崎さんか!」と。「ドリーム・タイム」や「ボレロ」など物語のないバレエでもこれだけ強烈なんだから、演劇性がある踊りではもっと強烈なんだろうなと思いました。私は東バの「ジゼル」は見たことがないのですが、次は岡崎さんが演劇的な踊りをする舞台もぜひ見てみたいと思いました。

余談:藤ヶ谷太輔さんが見に来ていたらしい!

なんとKis-My-Ft2(キスマイ)の藤ヶ谷太輔さんが見に来られていたみたいです。昔「美男ですね」という韓国ドラマがめちゃくちゃ流行って、それの日本版に出ていたのが藤ヶ谷さんです。どの座席にいらしたかは存じ上げませんが、テレビの中のスーパースターと同じ空間にいたとはテンション上がります🥰
ぜひ沢山の方にバレエを見に来ていただきたいですし、バレエファンが今後もっと増えて行きますように💕


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