328 レースのカーテンのように流れ落ちる奥久慈・袋田の滝
ことしは日本三名瀑をすべて訪ねたという話をして、夏に訪ねた那智の滝をご紹介しました。今日は10月なかばに初めて訪ねた茨城県の袋田の滝を紹介したいと思います。
やってきたのは水郡線の袋田駅。ここからバスに乗って10分ほどで「滝本」というバス停に向かいます。歩いても40分ほどで行けるんですが上り坂なんでなかなかしんどそうです。
滝本バス停でから滝までは歩いて10から15分ほど。茨城県の北部、山沿いは山も少し秋色に色づき始めていました。滝は今写っている滝川を登って行った先にあります。
お土産店などのある場所を抜けると一気に山の中に突入していきます。滝に向かう山道を歩いていくと、先ほどのバス停周辺の穏やかな滝川とは様相の異なるごつごつとした岩の間を流れ落ちる清流が眼下に現れます。
その滝川を渡る吊り橋が現れました。勢いよく落ちる水の音が耳に届くようになってきました。いよいよこの橋から袋田の滝を望めるようになります。
見えました!岩肌を滑るように落ちる姿が美しい袋田の滝。その水しぶきが虹を描きます。写真でしか見たことがなく、もう少し規模が小さいものを想像していたんですが、思いのほか規模が大きくて驚きです。
左上にあるのが滝を正面から見ることができる第一観瀑台。あちらまで行ってみることにしましょう。
おおぉ…
一人旅なのに思わず声に出してしまいました。本当に目の前、真正面に滝を望むことができます。ミスト化した水しぶきも浴びることができて爽快です。
袋田の滝は「四度の滝」とも呼ばれています。「滝つぼに落ちるまでに四度岩肌を流れ落ちるから」という説とかつてここを訪れた西行(さいぎょう)が「この滝の美しさを知るには四季に一度ずつ来なければならない」といったという説がありますが、両方とも正解なのではないかと思います。
特に秋は紅葉が美しいですし、冬は滝が凍る氷瀑が見られることもあって四季折々違った姿を楽しむことができるといいます。
300円を支払い、エレベーターで登ると第2観瀑台に到着、ここではさらに上段から滝を望むことができます。那智の滝も華厳の滝も一気に流れ落ちるダイナミックさが魅力でしたが、こちらは86メートルの幅の岩肌を滑るように落ちてくる姿が特徴。レースのカーテンを引いたような印象です。
初めて訪ねた袋田の滝。想像以上に規模が大きく、間近にその美しさを眺めることができて感動しました。でもこの滝の本当の美しさを知るためには春夏秋冬四度ここを訪ねなければならないようです。ここは近くに袋田温泉、大子温泉も沸く温泉の地でもあります。違う季節も訪れてまた違った表情の滝を楽しみに来たいと思いました。