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共同代表が経営の苦悩を全社に本音で語る!カンリーの「チーム経営」と「バリュー体現」とは?【6周年パーティーレポート】

こんにちは!カンリーで人事を担当している管野(@Tanaka201507)です。

2024年8月9日に開催した、カンリーの6周年パーティーのイベントレポート第二弾として、今回は「カルチャーセッション」の内容をみなさんにご紹介します!


カルチャーセッションについて

カルチャーセッションには、株式会社ユーザベース 代表取締役CEOであり、カンリーの社外取締役も務めていただいている稲垣氏をお招きし、カンリーの共同代表である辰巳・秋山(本セッションのファシリテーター)とトークセッションをしていただきました。

カンリーとユーザベース社の共通点の一つは、チーム経営体制であることです。
カルチャーセッションでは、6期に起こったチーム経営を行う上での辰巳・秋山の葛藤と、それをどう乗り換えるべきか、ご自身のチーム経営のご経験を踏まえて指南してくださった稲垣氏のエピソードを、まさにカンリーが掲げるバリューの1つ「正直であれ」を体現し、参加者に向けて赤裸々にお話していただきました。

辰巳も秋山も常に「会社のトップ(代表取締役社長)はバリューである。代表取締役Co-CEOという役職は、バリュー(代表取締役社長)から任命されたバリュー体現者としての役割である。バリューが憲法で、辰巳と秋山は首相みたいな関係。そのため、辰巳と秋山は一番バリューを体現し続ける存在でなければいけない。それができない場合、政権交代(代表交代)は当然である。だから覚悟を持ってバリュー体現に努めている」と口にし、全社にバリューを浸透させるために、常に誰よりもバリューを体現し続けています。

そんな代表同士が、バリューを体現しきれなかったことで起きてしまった事態。毎日一緒に働いているメンバーでも知り得なかった苦悩のエピソードが語り始められました。

これまでの経営体制と、6期にチャレンジしたこと

秋山:
カンリーは5期目まで特に経営テーマを掲げることなく、辰巳と秋山がとにかくがむしゃらにカンリーを立ち上げてきました。
共同代表としてチーム経営を行うことで、二人のパワーをうまく発揮できる場面も多くありましたが、業務上の重複も多く、二人のパワーの使い方について改善の余地を感じることもありました。

そこで、6期目に初めて「両利きの経営」という経営テーマを掲げました。
辰巳は「既存事業の深化」、秋山は「新規事業の探索」に注力するという役割分担をし、挑戦をすることにしました。

経営テーマを掲げたときの目論見としては、各々が馬力を5ずつ発揮し、それを掛け合わせて合計で25の力を生み出せるのではないかと考えていました。しかし、実際は5+5が10にしかならず、背中を合わせて信頼し合いながら共に戦うことができない時期もありました。

このような代表の失敗談を全社に赤裸々に共有する会社は多くはないかもしれません。しかし、カンリーの代表取締役Co-CEOという役割は、バリューの一番の体現者であることです。そこで、バリューに掲げる「正直であれ」を体現し、代表の失敗や葛藤もオープンにすることで、カルチャーの理解や浸透、そして皆さんの学びに繋げることができたらと思い、今回お話しすることにしました。

チーム経営の苦悩

秋山:
1つ目のテーマは「チーム経営の苦悩」です。
まずは、ユーザベース社で長年チーム経営を実践されてきた稲垣さんに、チーム経営の苦悩について、そしてカンリーのチーム経営を見守ってきたご感想を赤裸々にお伺いしたいと思います。

稲垣氏:
改めまして、稲垣です。よろしくお願いします。
最近、僕もユーザベースの歴史を振り返る機会がありました。最初は品川の小さな8畳のマンションで、梅田、新野、稲垣の3人で事業をスタートしました。当時の写真を見返すと、笑顔の写真もありますが、実際は全然楽しいものではありませんでした。
事業がうまく回らず、喧嘩も多く、お金もなく、飲みにも行けないという厳しい状況でした。昔のことは美化されがちですが、実際は今の方がずっと楽しいと感じています。

この話をしたいのは、フェーズや状況が変わる中で、いかにチームの構造を進化させるかが重要だからです。
過去の良さも今の良さもありますが、どちらか一方しか選べないのではなく、両方取りたいですよね。そのためには、現状維持という選択肢はあり得ません。常にチームの構成や会社の形を進化させ続けなければならないというのが、一番のポイントです。

カンリーの経営においても、最初はプロダクトが1つだけでしたが、企業としての体力がついたことで、複数のプロダクトを展開するようになりました。
その中で、チームの構造をどう最適化するかが課題になってきます。
新規事業が良いのか、既存事業が良いのか、ユーザベースで言えばグローバルか、BtoBか、BtoCかといった選択肢の中で、誰かが何かを我慢しながら進めている状態は不健全です。しかし、全てを同時に進めることは難しい。
では、どうすればチームの力を最大化できるのか、これがカギだと思います。

僕たちも16年間、様々な形で試行錯誤しながら進化を続けてきました。
カンリーのお二人にも、そうした壁があったのではないかと思います。
今回の件については、僕も少し怒っていた部分があるので、後ほど詳しくお話ししますが、まずはお二人の率直な意見を聞くのが良いと思います。

辰巳:
まず、5期目と6期目の大きな違いは初めて予算を分けたことです。
秋山が新規事業(カンリーAI面接カンリーワークなどHR領域のプロダクト)の探索を担当し、私は既存事業(カンリー店舗集客)の深化を見ていくことになりました。それぞれの役割が明確に分かれることになり、予算も分けられ、各自が責任を持って達成する必要性が生まれました

お互いがしっかりとコミットしないと、不健全な状況になるという考えのもと、私の使命としてはカンリー店舗集客の最大化を目指し、秋山は新規事業の拡大を目指していました。
初めての経験だったこともあり、ここに非常に難しい局面がありました。
お互いに分業し、それぞれの予算を追う中で、今まで「あうんの呼吸」でやってきた関係が少しずつズレていきました
秋山と私は長くルームシェアをしていて、今でも兄弟以上の繋がりを感じているのですが、今回はお互いの状況や景色が分からない場面が多く、以前なら1つ言えば10理解していたことが、1つ言っても全然伝わらないと感じることもありました。秋山も同じように感じていたのではないかと思います。

もう一つ大きな問題として、私がカンリー福利厚生(フクリー)という新しい事業に取り組み始めたこともあります。
カンリー店舗集客を育てるというメインミッションの中で、新しく福利厚生事業を始めたことが、秋山には「カンリー店舗集客でまだまだやるべきことがあるのに、どうして他に手を広げるのか?」「福利厚生事業は新規事業だから、探索の一部として自分が担うべきではないのか?」と見えていたようです。
しかし、私はカンリー店舗集客を成長させるには福利厚生事業との連携が必要だと感じていました。こうした認識のズレが徐々に広がり、問題が大きくなっていったのだと思います。

秋山:
福利厚生以外の新規事業をいくつも同時進行で進めていたので、社員の皆さんも「これで大丈夫なのか?」と思われたかもしれません。
正直にお話しすると、稲垣さんからも何度もフィードバックをいただいていました。それは、カンリー店舗集客というプロダクトが私たちの基幹であり、まだまだ磨く余地があるからこそ、そこから逃げてはいけないというものでした。
しかし、私はどこかで「カンリー店舗集客は辰巳に任せた」という気持ちがあり、辰巳にフィードバックをしきれずに遠慮してしまった瞬間がありました。その部分を稲垣さんから厳しく指摘されたと感じています。

稲垣氏:
チームで役割を分担するということは、それ自体は良いことです。複数名で同じ仕事をするのは非効率ですし、それぞれの才能を活かし合い、背中を預けて信頼し合うのは素晴らしいことです。
しかし、状況がわからなくなったり「何か違うな」と感じたりしたときに、お互いに意見を言えない、あるいは牽制できない状態になると問題です。

2人がいがみ合っているわけではなく、信頼しているからこそ口を出さないという構図になっているのだと思いますが、それが行き過ぎると良くありません。チームである意味がなくなってしまうからです。チームである以上、集合知が蓄積されるような形で意見を交わし、協力し合うことが重要です。

例えば、エンジニアがエンジニアリングだけをやれば良いわけではありません。ビジネスサイドやコーポレートチームなどと協力し合うことで、そこにしかない価値が生まれます。もしそれができないなら、外注すれば良いだけです。

僕には、その構造が崩れているように見えて違和感がありました。
そのとき、2人から提案された問題に対して僕が「なぜそうしたいのか?」と聞くと、明確な回答はなく、話を深く聞けば聞くほど、それは2人の関係性に帰着する問題で、特に秋山くんがつらそうに見えました。

「2人で話し合ったのか?」と聞いたところ、話してはいるものの、核心には触れていない様子で、正直に言えば、お互いにどこか諦めているように感じました。
僕自身、人の可能性を信じることを信条としていますが、一番大切なのは対話を諦めないことです。対話を続けた上で別の道を選ぶことはあり得ますが、明らかに対話不足の中で分業が進んでいる状況では問題です。

カンリー店舗集客は、カンリーにとって最も重要な基幹事業であり、皆で守り、育てるべきものであるにもかかわらず、代表の2人が背中を預け合うばかりで協力し合っていないというのが、僕が怒った理由です。

さらに、僕のところに来た時点で2人の関係性がかなり壊れている状況だったので「何のために僕(社外取締役)がいるんだ、もっと早く相談してくれれば良かったのに」と感じ、怒りました。
僕が一番嫌なのは、何か致命的な状況になってから相談されることです。
もっと早い段階で「こんな兆しがある」「迷っている」と言ってくれれば良いのに、それがなく、最終的に壊滅的な状況で相談されました。
そのとき、僕は2人に本気でメッセージを送り「このまま進むなら僕は社外取締役を辞める。僕が信じるチームでないなら僕はやらない」と伝えました。そこから2人が真剣に考えてくれるようになったと思います。

秋山:
稲垣さんから「社外取締役を降りる」と言われて初めて、これが非常に大きな事態であることを感じ、私たちはそこから緊急会議を何度も開いて修復に取り組みました。

辰巳:
当時、私自身は本当に目の前のことに必死でした。秋山が信頼してカンリーの基幹事業を自分に任せてくれたという思いがあり、全力でコミットしなければならないと感じていました。
しかし、目の前の数値目標を達成しなければならないというプレッシャーも非常に強く、結果的に焦りが生まれてしまったのだと思います。
特に、カンリー店舗集客のリニューアルや機能追加を進める中で、これをしっかり固めないと、カンリー全体が成り立たなくなるのではないかという不安がありました。

振り返ると、そのときに秋山に助けを求めたり「きついんだよ」と素直に打ち明けるべきだったと思います。
しかし、任されたからには自分がやり遂げなければならないというプライドがあり、そのプライドが邪魔をして助けを求めることができませんでした
自分ですべてを抱え込んでしまい、秋山からの言葉に対しても「なぜそんなことを言うんだ」という反応をしてしまった
のです。
それが秋山にも伝わり、さらに溝が深まっていったのだと思います。

その結果、まるで子どもの喧嘩のように見えるかもしれませんが、組織の崩壊というのはこういった些細なところから始まるのだと痛感しました。

また、稲垣さんに対しても、私たち2人の間でプライドがありました。
それは、稲垣さんに弱みを見せたくないというプライドです。何か問題が生じたら、経営チームとして3人で相談し合うべきだったのに、稲垣さんに遠慮してしまい、頼ることをためらってしまったのです。私たちが喧嘩している姿を見せるのが恥ずかしかったようにも思います。
最終的に、事態が悪化したタイミングで、稲垣さんに助けを求める形になってしまったことを、今振り返ると反省しています。

秋山:
稲垣さんがおっしゃった「可能性を諦めてはいけない」という言葉が心に響きましたが、当時の私たちを振り返ると、正直なところ、諦めかけていた時期があったのも事実です。
この1年は、経営を始めてからの6年間の中でも、私自身にとって最も厳しい1年の一つだったと感じています。辰巳も同じように感じていたのではないかと思います。

私たちはこれまで5年間、2人で本当に戦ってきました。カンリーの事業を進める中で、コロナを乗り越えたり、様々な困難に立ち向かってきました。
しかし、この1年は管掌領域を完全に分け、PL(損益計算書)も分け、意思決定もそれぞれ独立して行うという形をとっていました。
その結果、私たちはお互いに想像以上の責任を背負い込み、孤立してしまった部分がありました。これは、チーム経営として救われてきた一方で、自分たちで孤立する道を選んでしまった結果だと思います。
今はチーム経営をアップデートできるタイミングに来ていますが、当時を振り返ると、正直、チームとは言えない時期もありました。

ユーザベース社からの学び

秋山:
この機会に、ユーザベースさんの状況についてもお聞きしたいです。
稲垣さんのお話を伺うと、ユーザベースさんもチーム経営を行う中でぶつかり合った時期があったかと思います。その中で、最も苦悩したポイントや、どうやってその時期を乗り越えてきたのかについて、何か学びがあればお聞かせいただきたいです。

稲垣氏:
創業期の話は色々ありますが、当時も、ひたすら対話することが重要だということに尽きていました。
もし今、皆さんの中で誰かに対して違和感を感じていたり、本当は言いたいことがあるのに言えていないという状況があるならば、とにかく相手を信じて対話することが大切です。

ただし、それを無理に原理主義的に行う必要はありません。
周りの人に相談しても良いし、社外の人に頼っても良いと思います。
ただ、最終的には直接話さなければ、根本的な解決にはならないということです。何かを隠して耐えるというのは、誰にとっても幸せではないし、会社にとってもベストパフォーマンスが出せません。ですから、愚痴をこぼしてもいいので、最終的には話し合いを行うことが重要です。

僕がこれまでの経験から言えるのは、ハードシップのときこそ本当に人格が問われるということです。困難な時期ほど、その人の本性が現れます。
そうしたときに、互いに信頼し合い、どうやって支え合えるかが大切です。苦しいときに手を差し伸べられないのは間違っていると思います。

ユーザベースでも、創業者の2人が退任するという決断をしました。その際、最終的に僕は彼らの功績を称え、彼らが決めた道を尊重し、支えることを選びました。いろいろな判断の中で、個人の幸せと会社の前進をどう両立させるかが経営の難しさであり、カギだと思います。

今回のカンリーに関しても、もし本当に秋山さんと辰巳さんが離れるのが最善であるなら、それは仕方のないことかもしれません。
しかし、僕から見ると、明らかにそうではないように見えました。2人はまだ話し合いが不十分だったように思えたし、対話を続けることで、もっと良い結果を生み出せると信じていました。

ユーザベースでは、梅田や新野という優れた経営者が去りましたが、新たなチーム経営の形ができています。これも進化の一つだと思います。会社は健全な新陳代謝を繰り返しながら、常に進化し続けることが重要です。

僕が今回伝えたかったのは、常に最善の形を追求し、1人1人が幸せで責任を果たしながら、会社を前に進めることができるかどうか
それが良い進化を続けられるかどうかのポイントです。何かを捨てるのではなく、すべてを取りながら進化していく。それが今回、カンリーの2人に対して伝えたかった一番のメッセージです。

共同代表・辰巳の景色

秋山:
ありがとうございます。ユーザベースさんでも大きな葛藤があったということは、僕たちも励みになる部分です。

カンリー側の視点として、今回の事象の背景について個人としての葛藤やつらさ、悩みなどを辰巳に伺いたいと思っています。
率直にどのようなことがあったのでしょうか?また、その経験からどのような学びを得て、何を感じたのか、ぜひ教えてください。

辰巳:
僕も稲垣さんに「社外取締役を辞めます」と言われるまでは、ずっと秋山を攻撃し続けていました。秋山もおそらく僕を攻撃し続けていたと思います。そのときは本当に、自分のせいだとは1ミリも思っていませんでした。

皆さんも経験があるかもしれませんが、喧嘩が激化すると、誰かを責めたくなりますよね。たとえば「あの部署が悪い」「この人が悪い」とか、自分が正しいと思いたくなるものです。僕も同じような状況でした。

しかし、稲垣さんの言葉を受けて「ハッ」と気づいたんです。
今まで秋山に向けていた矢印を自分に向け直しました。カンリーでは「自責」というバリューを掲げているのに、それを忘れていたんですね。
僕は秋山を変えようとしていましたが、まずは自分を変える必要があると気づいたんです。

それから内省を始め、秋山がお世話になっていたコーチの方を紹介してもらい、コーチングなどを受けて深く自分を見つめ直しました。そうすると、プライベートの問題が仕事に影響していることに気づきました。

僕はよく面接で「原体験」を聞くことがありますが、自分自身の過去も振り返ってみました。そして、幼少期の母親との関係が、秋山との対立に似ていることが分かったんです。
母親は僕をとても愛してくれているのですが、幼少期にはかなり厳しく叱られることが多く、そのときの僕は防御反応として「母親が悪いんだ」と壁を作ってしまい、対話を放棄してしまっていたんです。
プライベートでも、仕事が忙しいことを理由に対話を放棄してしまったことがありました。そして、大切な人ほど言いたいことが言えなくなり、関係が悪化するのを避けるために黙ってしまうということがありました。

しかし、母親との関係もそうですし、秋山とも絶対に別れたくないと思っていました。それに気づいたとき、自責に立って自分の思いを言語化し、稲垣さんや秋山に伝えました。その結果、状況は一変し、相手のことをより考えられるようになりました。これが僕の景色です。

共同代表・秋山の景色

秋山:
今の辰巳の話も含め、今回の件を踏まえて、お互いのことを、かなり深い部分まで正直に話しましたね。
私の景色と反省もお伝えします。(今回は秋山がファシリテーターということで、秋山の原体験と学びについては割愛)

カンリーの基幹事業を辰巳に委ねるという意思決定をするまでに3ヶ月ほど悩みました。本当は、僕もカンリー店舗集客はまだまだ成長できると確信していたため、本当はもっと自身で手掛けたかったんです。
辰巳にカンリーの基幹事業を託したというのは、よく言えば「信頼して任せた」ということですが、悪く言えば、ある意味で自分が少し逃げてしまった部分もあったのかもしれません。まだ解決すべき課題が多く残っている中で、十分にサポートできていなかったのは反省点です。辰巳に託すという決断自体は正しかったと思いますが、丸投げに近いような形で線を引くのは間違いでした。

本来であれば、ただ指摘をするのではなく、一緒に協力し合いながら、カンリーの基幹事業を支えていくべきだったと反省しています。
ただ、同じタイミングで僕自身は新規事業の探索のためにPLを背負い、ゼロからイチを生み出すという責任を感じていたので、カンリーのマーケティング領域を含めて事業運営を両立させることは非常に大変でした。
正直なところ、ギリギリの戦いでしたし、悩んだ時期もたくさんありました。その中で、このような葛藤や悩みも含めた感情を、もっと稲垣さんやチームに伝えるべきだったと強く感じています。

学びと想い

秋山:
最後に、このセッションを通じて皆さんに共有したかったポイントは、常に背中を預けて戦っている僕たちでさえも、(普段から毎週一緒にジムに行ってバチバチやっておりますが)ときには「正直である」ことができず、悩みや葛藤を抱え込んでしまう瞬間があったということです。
皆さんもそれぞれ頑張って戦っている中で、悩むことや苦しむことがあると思いますが、僕たちもこの1年間、同じように戦いながら悩んできました。

しかし、それでもこうして稲垣さんや、ここにいる皆さんのおかげで、今、前向きなセッションができていることに感謝しています。やはり、何か問題があったときには、ネガティブなことほど早く共有することが重要だと改めて感じました。
僕たちはチームで経営を行っているのですから、今後も辰巳と一緒にカンリーの基幹事業であるマーケティング領域のサービスを育てていく必要がありますし、HR事業もしっかり協力し合いながら育てていく必要があります。

最後に、稲垣さんから、カンリーの今後への期待やメッセージがあれば、ぜひお願いいたします。

稲垣氏:
こうした話がオープンに共有されていること自体、カンリーの強さを物語っていると思います。これは非常に素晴らしいことで、強がって共有できない状態では決してよくありません。
会社にとって最も大切な資産は「コンテキスト」、つまりストーリーです。このストーリーがどう変化し、改善され、チャンスに転じたかが、皆さんにとっても勇気の源になると思います。

そして、皆さんが日々業務に取り組む中で、ふと「あのときの話を思い出したな」と感じられる瞬間があるだけで、状況は大きく変わることもあります。
だからこそ、こうした会社の歴史がオープンに共有され、未来に繋がっていることは素晴らしいことだと思います。こうしたことはこの2人に限った話ではないはずです。きっと他のメンバーにも、素晴らしいストーリーがあると思います。

少し専門的な言葉を使えば「ポジティブデビアンス」という概念がありますが、組織の中には、意識されていないけれども大きな改善を成し遂げたり、困難を乗り越えたりしている人がいるものです。
本人たちは気づいていないことが多いですが、そうした成功の種を見つけて発信することで、さらに多くのストーリーが共有され、他のチームでも「こんな風にしてみよう」「あの事例を参考にしよう」という動きが生まれてくると思います。
これだけ大きなチームで、こうした素晴らしい場があるからこそ、そうしたポジティブな動きをエンカレッジできるのだと思います。

今日、2人の話を聞いて、ぜひ皆さんのチーム内でも良いエピソードが自然発生的にどんどん生まれて、カンリーの強いコンテキストがさらに発展していくような形になると素晴らしいと思います。
こうした視点を持って、カンリーの中で新たなストーリーがどんどん生まれていくと、私も社外取締役として大変やりがいを感じます。

辰巳:
最後に二つ、皆さんにお伝えしたいことがあります。
まず一つ目は、自分の矢印を外に向けず、内に向けてみるということです。
業務が忙しいとどうしても対話する時間が取れず、相手を責めたくなってしまうことは当然起きるかもしれません。でも、もし今、自分の矢印が外に向いていると感じたら、一度内に向けてみてください。
自分が何か原因になっていることはないかを振り返ると、景色が変わるかもしれません。僕もそうだったように「自分が悪かったかもしれない」と思える瞬間が訪れると思います。ぜひ皆さんもこの考え方を試してみていただきたいです。

二つ目は、悩んだり苦しんだりしているときこそ、誰かに相談することが大切だということです。
これは当たり前のことかもしれませんが、僕と秋山の二人だけでは正直、会社は崩壊していたかもしれません。でも、稲垣さんがいてくれたからこそ、最終的にチーム経営が成り立ったんです。稲垣さんが取締役としてガバナンスを支えてくれたことには、本当に感謝しています。

皆さんにも同じようなことがあるかもしれません。上司でも、仲のいい同僚でも、誰かにアラートを出して、対話をお願いすることは大切です。自分で直接話せない場合は、誰かに助けてもらうのも一つの手です。
何かあれば、遠慮なく僕にも秋山にも相談してください。カンリーにはセクショナリズムなんて存在しませんから、気兼ねなく相談してもらえると嬉しいです。

秋山:
これから辰巳と私で、マーケティング領域とHR領域の両分野に一緒に取り組んでいきます。お互いに背中を合わせながら、経営メンバーともしっかり手を取り合い、共に戦っていきたいと思います。6期の経験を踏まえ、これからさらに強化されるチーム経営に、ぜひ期待していただきたいです。

今日は非常に赤裸々なセッションを行いましたが、私たちも稲垣さんも、ときには苦しみながらも悩んできたことをお話しさせていただきました。
こうして本音でぶつかり合えることは、本当に幸せなことだと改めて感じています。

そして、今日ここにいる1人1人にも本当に感謝しています。いつも、カンリー、そして、辰巳と秋山を支えてくれてありがとうございます。
よく「大人の青春をしよう」と採用の場でも言っていますが、これからもぶつかり合いながら、一緒に戦っていければと思っています。

さいごに

いかがでしたでしょうか?
私は周年パーティーの当日も、カルチャーセッションでの赤裸々なエピソードを聞いて思わず涙してしまったのですが、この記事を書きながら、また少しうるっとしてしまいました。

稲垣さんがおっしゃっていた「会社にとって最も大切な資産は"コンテキスト(ストーリー)"である」というように、こうして6周年パーティーの1コンテンツである「カルチャーセッション」を記事化し公開することで、またひとつカンリーの重要な資産を築くことができました。
この記事を通じて、カンリーが行っているチーム経営や、共同代表が率先してバリュー体現をする姿、そしてカンリーのカルチャーが少しでも皆さんに伝わると嬉しいです。

稲垣さん、お忙しい中、カルチャーセッションへのご登壇をご快諾いただき、貴重なお話をありがとうございました!

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