シェア
京都市立芸術大学の作品展は新しいキャンパスに移ってから二回目になる。ピカピカだったキャンパスは、いくらかエージングされたように見えた。京都芸術大学で松下みどりと合流し、作品展を見て回る。 立花光さんの『無人配達』は、現代社会における人々の非接触性と匿名性を巧みな空間演出で表現した作品である。広々とした展示空間に適度な間隔で配置された台座群は、儀式が行われるかのような厳かさを醸し出している。その上に配置された段ボール箱は、並べられた台座の厳かさと対照的であり、滑稽に感じられる
京都市立芸術大学の作品展、平石はるなさんの作品が圧巻だった。 大きな画面にピンクの花と鳥、手前にいるのはオカメインコとセキセイインコだろうか。インコと花が同化し密度のある画面下部から視線を上げていくと空に抜ける。青と緑のセキセイインコが相まって飛び、青いインコの背景の雲によって視線の誘導がなされていく。 何かの名画を参照しているだろうと思ったが、何だろうか。かなり昔に見たジョルジュ・ロシュグロスの《花の騎士》を連想したが、果たしてそうだろうか。アトリビュートで読み解こうと
京都市立芸術大学の卒展は上下の移動が多い。7階まで上り、ひとつずつ階を下りてみていく。エレベーターはあるけれど、一基のみなので混雑する。しっかり階段を使えるようにしたい。 和田花苑さんの作品を鑑賞する。 紙本著色の大きな縦位置の画面、深く沈みこむような藍色、翠色も見えるよう。見る角度を変えることで、様々な色が現れる。周囲を取り囲む一段と濃い藍色は、むしろ黒と言った方がいいのかもしれない。 月の無い深夜の公園で、木立の中で空を見上げたような感覚、右上の画面に明るさが差してい
京都市立芸術大学の卒業・修了制作展は、卒業、修了年次ではない学生、院生の作品も展示されている。この試みはとてもいいと思う。 橘葉月さんは、大学院の一回生とあった。 新しいキャンパスのアトリエ、その高い天井に届かんとするかのような大きな作品が鑑賞者を見下ろす。 サイズの表記は無かったので定かではないが、4mほどの高さがあるだろうか。大きな足から見上げていき、顔に視線が移っていく。遠近感がバグるような視線の移動、強い線の輪郭の内側はキャンバスの地のままのようである。背景は描か