母が教えてくれたこと
沢山の喜びと悲しみの日々を終え、ようやく自由になれた母が、いま僕の前で目覚めることのない深い眠りについている。
二千二十一年十月二日
午後一時三十八分
母 清子 永眠
享年 九十八歳
父が他界してちょうど十年目の日だった。
三万五千七百七十日という、途方もなく永く、しかしあっけないほど短い人生を最期まで清く正しく美しく生き抜いた女性だった。
人を憎むことも
卑下することも
蔑むこともせず
ただひたすらに人の善を信じ
人の悪すら愛し続けた母は
多くの人に人生を惜しみなく差し出した
母が生まれてきた理由
母が九十八年間生きてくれた理由
母が旅立っていった理由
その理由(わけ)を僕はこの先、時間をかけてゆっくり紐解いてゆく
「ありがとう」と
「ごめんなさい」を
母へ。
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