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ネムラの森

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30年にわたって書き続けている短編ファンタジー小説「ネムラの森」。シュウとクロルそしてフェアローゼが深く不思議な森の中で繰り広げる壮大なドラマです。その一部を少しづつご紹介してい…
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2020年6月の記事一覧

この世界のはじまりの終わり

まだこの星に 何もなかった世界のはじまりに 鳥と蝶と虫が現れ 荒れた地にタネを敷き詰めた   敷き詰め終えると 四つの季節が天の風に乗って現れ 光と水をタネに注ぎ 森を七色に染めた それから幾億年もの月日が経ち タネは木に草に花に姿を変えた その日から 森は世界のはじまりになった そしてある日 灰色の服をまとった人間が現れ 木の一切を切り倒し 草の一切を刈り上げ 花の一切をむしり取り 森をコンクリートで覆い隠した すると森は あっという間に灰色の街に姿を変えた