美容はつらいよ
『男はつらいよ』を文字ったタイトルになってしまった。
観たことないけど。
綺麗になるはずの『美容』に何故、『つらい』という苦痛が伴うのか。
美しさは何かと引き換えなのか。
行きつけの美容クリニックへと足を運んだ時のこと。
私が通っているクリニックはオフィステナントビルに入っていて、EVに乗り込もうとしたら、二十代前半と思しき女性2人組と一緒になった。
見るからに韓国ファッションをしたキャッキャとはしゃぐ彼女たちを見て、美容院かまつげサロンにでも行くのかと思いきや、同じフロアで降り、なんと同じ美容クリニックに入っていくではないか。
今どきの若い子は、友達と気軽なノリで美容クリニックに行くのか。
最近やたらと無意識のうちに『今どきの若い子』なんて口走ってしまう。
自分としては気持ちは若いまま何も変わっていないつもりなのに、どうやら経験を重ねているらしい。年齢には抗えない。
何はともあれ、時代ってすげえ。
私が二十代前半の頃は、美容皮膚科さえ知らず、美容に対する情報はごくごく一部に限られていたような気がする。
あったとしても、脱毛サロンくらいか。
学生の頃、流行っていた全身脱毛を勧められるがままに契約して、何回も何回も通っていたような。
光脱毛だったから結局、何回も通ったところで完全に毛が消滅することなく、最終的には医療脱毛に切り替えたっけな。
今だったら、安さに釣られて光脱毛なんて不毛な時間を割かずに、高くても医療脱毛一択だろと思うものの、当時はそんな情報は出回っていなかったから仕方がない。
え、私の周りだけか?
でもみんな光脱毛に通ってたよな。
美容は沼
なんだかんだ若い頃から自分に課金することは好きで、スカルプで魔女のように長くデコ電みたいな爪にしてみたり、金髪にしてエクステをつけてみたり、まつエクでファービーみたいにバッサバサな目元にしてみたり。
(ファービーって懐かしくない?)
平成のごてごてに盛ってなんぼのGAL文化から、いつの間にか緩やかな盛りに移り変わり、ジェルネイルやまつパーに変わったとしても、自分への投資は終わらなかった。
あれはいつだったか、コロナが流行りだした頃だったか。
ソーシャルディスタンスと叫ばれ、気軽に人と会えなくなり、今までのように自分をデコっている場合ではなくなった。
もはや記憶も曖昧だが、コロナ流行当時は店も休業していたような。
大人しく家に引きこもり、ふと気がついた。
10年以上ずっとスカルプやジェルを付け替え続けていた爪はペラッペラで赤子のような薄さになり、まつ毛も何となく元気がないし、髪の毛も痛みまくっている。
自分をデコって楽しんでいたはずなのに、実は痛めつけていた・・?
そして、自分の年齢を考えた時に、アンチエイジングの言葉が頭をよぎる。
ひえーーーー!恐ろしい!!!!
だけど、どうしたら・・・と路頭に迷っていたら然るべき出会いがあった。
これは以前のコラムでも書いたので割愛。
(読んでない人は読んでくだされ)
美容医療とは、一度施術を受けると最後。
美容は沼なのである。
一歩でも足を踏み入れると、ズボズボと沼にハマっていく。
それに、次から次へと新しい施術や機械が世に放たれる。
噂を聞きつけては、試してみる。
もちろん肌質は十人十色なので、自分に合うかどうかはわからない。
文字の如く、トライアンドエラーを繰り返す。
正直、色々な施術をしまくった時期は、何が効果をもたらしたのか不明なほど。
そんな時代を経て、最近は美容欲が少し落ち着いてきた。
落ち着いた、というよりも自分に見合う施術と、適切なタイミングがわかるようになってきた気がする。
メンタルと連動する美容
1年以上前に入れた額のヒアルロン酸がそろそろ消えてるなと思い、光の速さで予約を入れた。
この時何故だか忘れたけど、普段だったらお願いしない全顔カウンセリングを一緒にしてもらった。
この選択は、正解だったのか。
なぜ自ら依頼したのかさえ思い出せない。
ドクターは黄金比率を基にアドバイスしてくるので、今まで自分で特に気にしていなかった部位についても悪気なくコメントしてくるわけである。
今まで全く気にしていなかったのに、言われてみるとめちゃくちゃ気になってくる不思議。
気になり出すと止まらない。(これ名前忘れたけど心理学であるよな)
そして、「あーじゃあ、ついでにそれも。」と口が滑ってしまうわけである。
「じゃあケーキもセットで。」みたいな軽いノリで言っているものの、一箇所追加する度に数万円がポーンと飛ぶ美容の恐ろしさたるや。
金銭感覚も完全に狂う。
そうは言っても、アドバイスしてもらって入れた箇所の満足度が1番高かった。
やっぱり餅はもちや。プロの意見って超大事。
注入前にブロック麻酔をするのだが、ドクターに声をかけられながら、
「はーい、じゃあ少しチクっとしますよー。」と、ぶすっと刺されて、
「少ししたら感覚がなくなってくると思・・・」
「あ、もうなんか効いてます。」もはや言い終わる前から被せ気味に答える。
ドクターも引くほどの効き目。
待ち時間なんて一切不要なほど、毎回、麻酔の効きが良い。理由はわからない。
そして、もはや痛点ないんじゃ・・・?ってくらい痛みにばか強い。
誰かに催眠術にかけられたりしたら、秒速でかかる自信しかない。
知らんけど。
特に痛がることもなく、ありとあらゆる施術を終え、帰路につく。
ただ、ここからが地獄の始まりだった。
帰宅してゆっくりしていると数時間後、頭痛がしてきた。
だんだん痛みが強くなり、遂には今までの人生で感じたことのない激しい頭痛となり、頭痛というかもはや注入した部位であるオデコが痛い。
「え、もしや、、失敗・・・?」
痛みに悶えながら、ロキソニンを飲み、無理矢理眠りにつく。
翌朝になり頭痛は治ったものの、起床して鏡を見ると、左目の上が赤紫色に内出血していた。
やっベーなと思いつつ、痛みはなく、この日はたまたま出社日でもあったので、とりあえず右目に紫色のアイシャドウをつけて内出血している左目と帳尻を合わせてみる。(やべー女)
あとはメガネをかけて出社して、誰にもバレずに済んだ。
※怖くて誰も声をかけれなかった可能性ありなむ。
問題は次の日からで、起きたら内出血の色がドス黒くなっていて、なんと言っても目周りと鼻筋の骨がわからないほど浮腫みまくって、ぼっこし腫れていた。
ぎょえ〜〜〜〜〜〜〜な、なぜ・・・?
こ、こ、怖い・・・・
ヒアルロン酸を注入するにあたっては、血流障害、失明、壊死といったリスクが伴うことは知っていたものの、注入箇所と別の部位に現れるなんてことは聞いたこともなかったので、ネットで検索をする。
と注意書きと共に症例の写真を見て、自分と全く同じように不細工に腫れ上がった目元の女性を見て、少しだけ安心して、とりあえず様子を見ることにした。
※良い子は処置した医師に速やかに連絡しましょう。
結論を言うと、確か一週間弱くらいで元通りになったものの、このダウンタイム期間は、今まで経験したことがないほどメンタルの起伏が激しかった。
鏡を見て、
「まるでMattじゃん!ウケる〜!こんな面白い顔になるか!?ギャハハ」
と謎のハイテンションになったかと思えば、
数時間後に再び鏡を見ては、
「やばい・・・この不細工に腫れ上がった目元が一生続くんじゃ・・・鬱。」
こんな状態が繰り返され、超絶メンヘラ女が爆誕した。
SNSには美容医療や美容整形に対する情報が溢れ、年代問わず気軽に手を出しやすくなり、どんどん綺麗になっていく女の子達のキラキラした様子が映し出されているが、その裏には想像を絶する苦痛が伴っている。
たかだか一週間のダウンタイムでこんなにメンタルやられたのに、メスを入れるような美容整形ともなると数ヶ月にわたるダウンタイムを乗り越える必要がある。想像するだけで吐き気がする。
今回の件は、私自身に警鐘を鳴らしてくれた。
美しさを手に入れるって大変。
何事もやりすぎはよくない。
ほどほどが1番とはよく言ったものである。
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