「小児慢性特定疾病医療費助成制度」について受給者がつらつらと。〜制度を知って申請するまで〜
「小児慢性特定疾病医療費助成制度」について、実際に今受給者している者(受給者の保護者です)が、つらつらと制度を知った経緯や受給申請をした経過を記録していこうと思います。
そもそも、なぜかこの「小児慢性特定疾病医療費助成制度」(以下「小慢」と省略させてください)の記事がnoteに全然上がってないんですよね、、、
私がこの記事を書きはじめた時期は、なぜか有料記事しか上がっておらず、「金の勉強をするなら金を払えってか、、、」とひどく落胆していたので、今回はこれからこの制度を利用するかもすることになるかもしれない人々に向けて、ゼロから頑張って書き連ねていこうと思います。(もちろん無料で!)
1、制度の概要
どうして私がこの制度を知ったか
このコロナ禍が始まって早5年(小慢の制度を知った時はコロナ禍3年ぐらいだったでしょうか、、、)コロナにも罹らず、新型インフルエンザが猛威を振るった10年程前も兄弟の中で唯一感染せず、至って健康優良児だった私が、なぜこの制度を知ることになったのか。
「病気のある子を妊娠したから」です。第一子!めでたい!と喜んでいたのも妊娠6ヶ月頃まで。産科の妊娠20週頃行っていた胎児スクリーニングで、「胎児の心臓に病気があるかも?」と分かりました。後日、産院の中でも一番エコーが得意だというベテランそうな先生に見てもらった結果、「疑い」とついた心疾患がいくつか見つかりました。「うちの病院では産めない(NICUを持たないノーマル産科だった)から、新生児の心疾患に強い病院をいくつか紹介するよ」とベテランそうな先生が言ってくださり、その中に県外の私の地元にあるこども病院があったので、そこへ受診することに決め紹介状を書いてもらいました。
とりあえずまず絶望。その後は妊婦あるあるだと思いますが、昼夜問わず四六時中検索魔。マンガ「コウノトリ」を読んでいたので、心室中隔欠損だけは知っていました。「確かマンガとドラマの中では特に治療も必要なく、生まれた後に自然と塞がっていたはず・・・」と思いながらさらに調べていくと、私の胎児の場合は「穴がデカすぎて、もはや穴ではなく元々壁も何もなかったに近い」という状態だと分かりました。絶望2回目。その他の病気は聞いたこともなかったので、全く読んだこともない医療論文を読んでみたりもしました。(もちろん読むことすら難解でした)
しかし、名前の上がった病気について調べていくうちに知ることになるのです。「小児慢性特定疾病医療費助成制度」なるものを・・・!
下調べの段階でどこまで制度を把握できたか
病名がついてから、紹介状を書いてもらった県外のこども病院を受診できるまでに2週間ほど時間があったので、その間も昼夜問わず(何なら職場の昼休み中に職場のパソコンでも)検索魔をせっせとこなしていました。特に心室中隔欠損は心疾患の中でも一番発生率の高い、心疾患界隈では割とポピュラーな病気で、ゆえに多くの情報が出てきました。そこで出会ったのが、病気云々ではなく「この病気の子にはこういう福祉が存在しますよ」という情報で、その中に「小慢」のことが書いてありました。
そこからは「こんな素敵な制度がこの世に存在したとは・・・!」と、小慢の神に感謝の気持ちを祈るように小慢について調べました。ネットやYouTube、国や県のHPで制度について見て、私が役立ったと感じたのは以下のページです。
この情報センターの概要によると、私の胎児の場合は2、3あたりに該当するのかなあとぼんやり思っていました。医療費の助成は親の所得やこどもの重症度によって異なりますが、自分の収入が当時ざっくり分かっていたので、調べ始めたあたりで大体の月あたりの自己負担も何となくイメージすることができました。
この時点で「こどもの医療費で○百万円!(欧米か)」みたいになることは無いんだな・・・!と分かり、金銭面での不安がグッと減ったのを覚えています。
また、産まれてから医師の診断書(意見書)などを含めて、10枚程度の書類を用意する必要があることも分かりました。
てか本当に申請すべき?
さて、小慢のおかげでお金の面での心配は無くなりましたが、ふと思いました。
「てか自治体のこども医療費助成制度でええんちゃう?」です。大体の自治体にありますよね。自治体独自のこども医療費助成制度。自己負担額が全く無料の所もあれば、月に数百円で済む所、所得制限で一定の年収からは助成がなくなってしまう所・・・さまざま自治体によって異なるそうですが、当時私の住んでいた自治体は「18歳の3月末まで自己負担なし」の最強自治体でした。
そうなったら、こどもが産まれて出生届の提出やら、保険組合への申請やらと忙しい時期に、さらにたくさんの書類を用意してこの小慢を追加で申し込む必要ってある・・・?と気がついてしまいました。小慢素人の私にはこの辺の判断がつかず、「まあ申請が必要になった時に焦らなくて良いように、申請の仕方調べておこ〜」と、産休にも入り時間もあったので、情報センターのHPを見て申請の仕方を確認しておきました。
2、制度の申請
いざ申請!
そうです。結局申請しました。というのも、私の産まれたこどもの場合、この小慢に申請しないと窓口負担額がかかってきてしまうことが分かりました。「てか自治体のこども医療費助成制度でええんちゃう?」と産まれる直前まで思っていたのですが、子が産まれた後、こども病院のクラークさんに「小児慢性に申請してもらわないと、貴方様の場合県外からの受診になるので、毎月総額の2割から高額療養費を適用した金額をお支払い頂く事になります」と教えてもらったのです。自治体独自のこども医療費助成が適用になるのは、あくまで県内の病院を受診した時のみ。我々はわざわざ県外の病院を受診しているため、市の助成制度は病院窓口では適用外でした。(もちろん後から償還払いの手続きは可能です!)しかも、当時子を入れる予定だった健康保険の場合、高額療養費の適用のために「高額療養費制度適用届」を請求しなければいけませんでした。今はマイナンバーカードで「適用します!」と病院の窓口で申し出れば、それだけで済むようになっていました!
「今度手術もする予定があるから、そしたら窓口負担額がいくらになるか分からないじゃん・・・?!」と襲ってくる金銭面での不安2回目。さらにクラークさんに「これは病気の追跡研究の面も合わせておりますので、当院では小慢に当てはまる病気があるお子さんには、基本的に申請をお願いしています」と念押しをされました。職業柄「研究」とか「今度の子どもたちのために」という言葉にすこぶる弱い私。すぐに申請することにしました。
前例のない「仮申請」
早速病院の窓口で「小慢の手続きをお願いします!」と申し出たら、「まずは電話で市の保健所や役所に仮申請の申し出をして下さい」と言われました。というのも、我々の場合産まれて3日後にこどもの手術があり、小慢のこの話をクラークさんとしたのがその生後3日の手術日だったからです。手術日から小慢の適用にしてもらわないと、どんな金額を請求されるか分かりません。襲ってくる金銭面の不安3回目。ちなみに、産後3日目でお金の計算をしている余裕はマジでなかったです。
とにかく申請を急ぐ必要がありました。急いで市の保健所に電話で問い合わせたところ、「小慢のカリシンセイ?」「当県ではそういった前例がないので、普通に申請書書いて申請して下さい・・・」と言われました。前例が!?ないだと!???しかし!何としても今日!手術日の今日から適用にしてもらいたかったので、産後メンタルも相まり涙声で情に訴えかけ、もちろん事情も詳細に説明をして、本県で初の「電話での小慢の仮申請」に成功しました。病院の窓口では、医師の診断書(意見書)を書いてもらう申請だけ行いました。
申請が完了するまで
こどもの手術も無事に終わり、上のメモに書いてある全ての書類が揃ったのが、仮申請をしてから1ヶ月半くらい経ってからでした。子どもの保険証が手元に届くまでが約1ヶ月と一番時間がかかりました。医師の意見書は2週間くらいで病院の窓口で受け取れました。てっきり最初に見つけてもらった心室中隔欠損で書いてくれたのかと思いきや、「より治療の優先度が高い」という理由で、その後こども病院で見つけてもらった「総肺静脈還流異常症」が書かれていました。その他の書類は、我々の自治体の場合、全て市役所で用意できました。
申請する日は至って簡単で、全ての書類を持って保健所(自治体によっては役所で申請できる所もあります)に出向くだけでした。ただ、提出する書類がとても多いので、保健所の担当の方もチェックリスト使っていました。全ての書類をしっかりと確認して下さったので、待っている時間が少し長かった印象です。
その後、小慢を管轄している担当の保健師さんと「どういった病気でどのような治療をしているのか」「今度の治療の見込みはどうか」「受給者証が届くまでに約2〜3ヶ月かかる」などの面談を行いました。今もこの時面談を行ってくれた方が、我々の小慢についての窓口になってくれています。私の担当者がいる安心感!!ここで無事に申請は終了!申請までも何だか長い道のりだったように感じます。
次回、受給者証が手元に届いて、実際に制度を窓口で利用してみるまでを書けたらと思います。
今回これを書いていて、いまだに小慢には毎月お世話になっているのですが、不思議とより小慢の神に感謝の気持ちを伝えたくなりました。ありがとうございます!小慢を司る神様・・・!!!(おそらく厚生労働省)