【本紹介】循環で完成する地球と経済の未来
おはようございます。
カナリアコミュニケーションズです。
本日は、会宝産業株式会社取締役会長である近藤典彦氏著 『儲けるから儲かるへ ~循環で完成する地球と経済の未来』をご紹介します。
1.感想
特に印象的だったのは、後始末側の観点からものづくりを考えるという点です。
環境保全と経済成長の二者択一のような議論が交わされる中で、本書で述べられる考えは、非常にシンプルかつ理に適っており、「なぜ今まで誰も気づかなかったのだろう?」というぐらい自然と腑に落ちる内容でした。
一方で近藤会長が志向する取り組みは一朝一夕で実を結ぶものではないこともまた本書でも述べられている通り事実かと思います。
私自身もまずは本書での学びを咀嚼し、自分自身の活動の中に少しずつでも落とし込んで行ければと考えています。
他にも各章に、自分がこれから仕事をする上で胸に刻むべき事柄が詰まっているように感じました。
一度だけでなく節目ごとに繰り返し読みたいと感じる書籍でした。
2.おすすめポイント
本書のおすすめポイントは、「環成経」について述べられる第3章です。
「環成経」とは持続可能な「環境」を第一に考え、それでも皆が利益を生み「成長」することができる「経済」を指します。
この章では、なぜ今「環成経」を目指す必要があるのか、
そして、著者である近藤会長が創業した会宝産業における環成経の取り組みについて紹介されています。
その中の一つである「中古車部品オークションシステム」について簡単に触れたいと思います。
この取り組みは、中東UAEのシャルジャという場所で始まりました。
この地区は元来、中古自動車の解体や販売が盛んで、品質の良い日本車は人気が高かったそうです。しかしながら品質や値段もめちゃくちゃな状態で、社会問題にすらなっていました。
そんな中で、近藤会長は真の日本製部品を品質に見合った適正価格で流通させる必要があると判断し、地元に利益になる方法であることを踏まえ、オークションという取り組みを始めます。
このオークションシステムを構築する過程に非常に知恵が詰まっており読み応えがありました。
「儲ける」から「儲かる」へシフトするためには、何が必要なのか。
是非本書を手に取って、ご自身の目でご確認いただければと思います。
3.概要
目次
第一章 二十世紀型経営の後始末
第二章 自動車リサイクルにみる循環産業の「完成形」
第三章 これからのビジネスは「環成経」
第四章 宝に出逢える組織づくり
第五章 人を生かす経営が「儲けるから儲かる」経営へ
第一章では、会宝産業の創業から、近藤会長が現在の活動の礎となる考え方に至るまでの軌跡が語られています。
第二章では、静脈産業の必要性、そして「静脈産業の旗手たらん」と試行錯誤を繰り返して、自動車リサイクルの仕組みを展開させる挑戦の変遷が記されています。
第三章では、先ほどもご紹介させていただいた通り、「環成経」について、そして、それにまつわる会宝産業さんの取り組みについて紹介しています。
第四章では、近藤会長が会宝産業という組織で大切にされている理念や考え方について詳しく述べられています。
第五章では、教育、ステークホルダーとの関係性、利他の精神など、人との関わりを中心に近藤会長の考えが記されています。
本書には、これからの経済のあり方、経営のあり方を見つめなおすヒントがたくさん詰まっています。
ビジネスパーソン、経営者の方だけでなく、環境やSDGsに関心がある方も必読の内容になっています。
ぜひ、ご一読ください!