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読書感想文:松本ひで吉「十月十日も毎日楽しい」

「犬と猫どっちも飼ってると毎日楽しい」の松本ひで吉さんによる妊婦日記。私も高齢出産だったので共感の嵐でした。うちの母の名言に「高齢出産の母は体力ないけど精神的腕力が強い」というものがあります。ひで吉さんの精神的腕力すごいよ、その力はどこからくるのかといえば、「犬と猫」で存分に発揮されていた「笑わせ力」じゃないでしょうか。

犬くん猫様に代わり、「十月十日」では「じぶんネタ」で笑いをとる松本ひで吉(唐突に敬称略)。これは破水か尿漏れなのか?病院行ってみたけど尿漏れだった。「勝訴」ではなく「尿」と書かれた紙を持って走る漫画に日本中が大爆笑しましたよね?

余談ですが、「勝訴」の紙を持って走るやつ、一生に一度でいいからやってみたいと思っている人とは、私は間違いなくお友達になれる。今年のコスプレランでは「勝訴」を持って走ろうかと思っているんだけど。

私、実はカナダの大学院で文芸評論を学んだことがあります。そのエラソーな過去の知識をひけらかしますが、自虐ネタは英語でself-mockeryといい、高度な知性を持つ人にしかできない芸(art)であるそうです。self-mockery はさじ加減をひとつ間違うとイヤミになる。絶妙なバランスで笑いを取る松本ひで吉の自虐ネタは、実は高度な知性に裏打ちされている(唐突に文芸評論風)。

十月十日を経て生まれてきた「ぱるたん」のシリーズもインスタで読んでいます。高齢出産夫婦の赤子に対するダダ漏れの愛がもう、猫様の頭の模様の中に住みたいっていうアレに通じるものがあり、非常にわかりみが深い。


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