人の運動システムの理解の仕方(その1)-2つの視点
人の運動システムの理解の仕方は、現在主に二つあります。
それは学校で習う「要素還元論」の視点と「システム論」の視点です。
「要素還元論」というとなんだか難しそうですが、これは「ロボットがどう動くか?」を理解するときと同じ理解の仕方です。たとえばロボットがどう動くかを理解するには、ロボットの構造と各部品の機能(働き)を理解しますよね。
歩くオモチャのロボットを例として考えてみましょう。
電池をエネルギー源として、モーターが力を発生します。発生した回転の力はギアなどの伝達装置を通して直線上を行ったりきたりの運動などに変換され、それによって両脚を交互に動かして歩行します。ロボットの躯体は硬い外殻で、支持と姿勢を作り出します。電池ケースやモーター、伝達装置はその硬い躯体の適切な部位に取り付けられます。ネジは各部品を固定します。センサーは周りの状況、たとえば障害物などを発見します。コンピュータは、センサーの刺激を受けて、歩く方向を変える装置に命令して障害物を避けることができます・・・といった具合に構造と各部品の役割からロボットが歩く動きを理解することができます。
つまり要素還元論とは全体の動きを、それを構成する各要素の振る舞いに還元して(戻して)説明する立場です。ロボットの歩くという運動は、各部品に割り当てられた役割の総合として説明されるわけです。
「人を機械として見るなんて、とんでもない!」と思われるかもしれませんが、実はこれはこれでとても有効な見方ではあるのです。(その2に続く)