図書館でマイナンバーカードを使って図書を借りるということ
私が現在住んでいるのは、大阪市です。その大阪市の市立図書館にて利用サービスの機能向上に関する報道発表がありました。2週間ほど前に発表されていたのですが、うっかり見落としており、先ほど見つけたところです。
内容としては、図書館情報ネットワークシステム(中央図書館、および23館の地域図書館などで使用しているシステム)の現行機器のリース満了に伴い、システムの機能向上を目的とした新システムを導入するということでした。実は、一部内容については5月の時点で図書館の中の人から実装する旨教えられていたので驚きはなかったのですが、一番驚いたのは、マイナンバーカードを図書の貸し出しカードとして利用できるというものでした。
驚いた理由というのは、決して風当たりが良いとは言えないマイナカードの利用を市立の図書館でやるとは全く思っていなかったからです。
そうしたところ、早速noteでもこの件について噛みついている記事を見つけました。その中の記事に書かれていた内容を一部抜粋します。
やはり現れました。マイナンバーカードとマイナンバーをごっちゃにしている人が・・・。
本当は、記事のリンクを貼りたいのですが、以前、同様の問題(他県の図書カードの件)でリンクを貼って筆者の勘違いを指摘した記事を書いたところ、のらりくらりと自分の考えが正しいと主張した上に、全く関係のない病院システムへのハッキング事例(VPN機器の脆弱性を使用されて病院ネットワークに侵入されたというもの)を持ち出してきて、図書システムへのハッキングもあり得るんだ、だからマイナンバーカードの連携は恐ろしいんだ、と明後日の方向の反論をされてしまいましたので、今回はリンクを貼りません。
私の過去の記事でも何度もお伝えしていますし、政府も何度も口を酸っぱくして言っているにも関わらず、いまだに勘違いされているマイナンバーカードを使用することが、マイナンバーを使用することになるという誤解。この誤解が、政府の公報不足なのか、ご本人のバイアスによって情報遮断しているものによるものなのかははっきりと分かりません。
マイナンバーカードを図書館の貸し出しカードにしたからといって、マイナンバーは使用しません。というより、使用できません。マイナンバーは限られた領域にしか使用できないからです。当然、図書館周りのシステムに使用することはできません。使用したら即法律で罰せられます。
そうすると、マイナンバーカードの何をどう図書館の貸し出しカードとして使用しているのかというのを説明します。
過去に取り上げた時にも書いたのですが、方法としては大きく分けて2通りあります。
一つは、図書館貸し出しAPをICチップに入れること。図書館貸し出しAPというのは、適当に私がつけた名前です。要は、特定の図書館で使用出来るアプリケーションをICチップの中に入れるということです。勘違いしている人も多いのですが、ICチップというのは超小型のコンピュータです(決して、USBメモリのようなものではないですよ)。そこで、特定の図書館で使うためのアプリを動かして、そのアプリで貸し出しをするために必要な情報をICリーダーを通じて、職員が使用しているパソコンに渡すというものです。新しいアプリケーションを設定するメリットは、住所変更時に無効にすることができます。よって、住所変更したのに関わらず、申告しないという場合は、図書館貸し出しAP自体が自動的に無効となっているために使用できず、必ず新しい住所を申告する必要があります。
もう一つは、単純にICチップに入っている公的個人認証サービスの電子証明書を利用するというものです。おそらくこれが一般的に使われる方法でしょう。最初の登録時のみ暗証番号を入力してもらい、次回からは暗証番号なしでタッチのみで貸し出しが出来るようにするというものでしょう。
いずれの方法も、マイナンバーは使用されません。そもそも、マイナンバーを使用したからと言って、何故デジタル庁や政府が、個人の図書の履歴を見れると思うんでしょうか?図書館のネットワークシステムに侵入しない限り無理です。それとも、図書館のシステムがわざわざデジタル庁に図書データを送りつけると思ったのでしょうか?
マイナンバーカードを図書館の貸し出しカードにすると言ったら、反対派の人はなぜか個人の借りた本の履歴が国に筒抜けになるという主張をしてきます。とても不思議です。マイナンバーカードには、GPSもついていなければ、Wifiなど通信するための仕組みもついていません。勝手にどこかよくわからないところに通信することなんてないんです。
もし、マイナンバーカードを図書館の貸し出しカードとして使用しないで欲しいと叫ぶのであれば、従来の貸し出しカード自体の廃止も訴えなければなりません。誰が何を借りたか分かることが困るんであれば、従来のカードでも同じです。匿名で図書を借りて持ち帰れる仕組みなんて、自治体が運営している図書館には存在していません。
マイナ保険証も同じですが、紙のカードが安全で、ICチップの載ったマイナカードが危険、なんてどこか現実を見ていない考え方はやめて欲しいものです。よく言われていることで、マイナ保険証は個人の治療情報を抜くための仕組みだというわけのわからない反対派の意見があります。
紙の保険証であれば、国に治療情報が筒抜けにならないなんて、幻想もいいところです。紙の保険証でも、治療情報は渡ります。当たり前です。保険制度を使用しているんですから。国に治療情報を渡したくないのであれば、保険制度を使用せず自費診療を受ければ渡る事はありません。
最後は、少し脱線してしまいましたが、紙のカードが安全で、マイナカードが危険という考え方こそ危険です。どちらを使用しようが、最後の最後は同じシステムに行き着くんですから、当然どの図書を誰が借りたかなんてものがシステムに登録されるのは当然なんです。マイナンバーという言葉だけで、拒否反応し、必要な情報すらも収集しなくなること自体、危険な行為です。それこそ、マイナカードの反対派のいいカモとなり、陰謀論を吹聴してくれるいい出先機関にさせられてしまいます。
最後まで辛抱強く読んでいただいた方には、そのような出先機関になるような要素はないとは思いますが、冷静に考えて何が正しくて、何が間違っているかを判断して欲しいものです。
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