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目的地はどこ?ルフトハンザ子会社での再スタートで揺れる日々:「フィリピンに単身移住したドイツ人パートナー&残された私たちのこれから」シリーズ Episode 3

シングルマザーとして再出発することになったアラカン女性。パートナーシップの絆から解き放たれて、自由になったのはいいけれど、日々の生活は地に足を着けて支えていかなければなりません。

生活の安定と自信を取り戻すために、フリーランスの仕事に加えて、時短で会社員として働くことになった話をします。

新しい職場での経験や感じた誇りや、逡巡する気持ちを中心に。


季節によって収入が変わるフリーランス通訳業務と独立採算制のはざまで

シングルマザーとなった私は、経済的な理由から固定給が必要だと強く感じるようになりました。

私は通常、フリーランスで英語&ドイツ語の通訳として仕事をしています。
それに加えて、ときどき異文化コミュニケーション講師としての仕事をすることもあります。
さらに、海外ビジネス支援コンサルティングも行っています。

日本とドイツの橋渡しをすることが私の職務だと考えているからです。

その中で、収入のメインの柱となっているのは、通訳としての業務です。

フリーランスの通訳として得られるギャラは、時間給にすればすごく割は良く、それは大きなメリットです。

一方でもちろんデメリットもあり、それは、いつ仕事が入るのかわからない、年間の見通しが立たず、不定期&不安定な職業であるということです。

もちろん、私がこれまでメインの戦場としてきた見本市、日本では展示会と呼ばれることが多いですが、英語ではトレードフェア、ドイツ語ではメッセと呼ばれる、その見本市は、年に一度、隔年に一度、3年に一度、あるいは4年に一度と繰り返し開催されるものがほとんどなので、その開催時期と言うのは事前にわかります。

しかし、その見本市に確実に仕事が入るかどうかはわからない、というのが悩みのタネなのです。
いわば、季節労働者のしての悩みです。収入が季節によって異なります。

日本でも昔から「二八(にっぱち)」と言って、2月と8月は商売が低調で売上げが下がる、ということが言われていましたが、実際に現代でも、2月と8月は衣料品関係の売上の「谷間」となるそうです。

ドイツの通訳業界も、8月は特にホリデーシーズンということもあり、通訳が必要となるような仕事は全くといっていいほどありません。また、1月~2月の冬季も寒さのせいか、通訳業務的には低調な時期です。

そのような低調な時期、つまり収入が減る時期でも、住居費、食費、保険料、通信費、水道光熱費、交際費、などなどまるで家計簿の項目名のようですが、そんな日々の生活に必要なお金の額は変わりません。

私の収入が低い月は、ローンや食費も半分ぐらいになればいいのですが、そうはいきません。

生活費の中でも大きな部分を占めるのは住居費ですね。
今、二人の子供たちと一緒に住んでいるマンションは、20年前にシュテファン(フィリピンに移住した元パートナー)と共同で購入したものです。

とはいえ、私の収入は彼に比べて少なく、これまでのローンの支払いや固定資産税、さらには光熱費や電話料金の支払いも、シュテファンが主に負担してくれていました。
あ、ちなみに、うちは家計は、お財布は別々、銀行口座も別々、という独立採算制でした。

その独立採算制の中で私が主に担当していたのは、住居費以外の、子供二人を含めた食料品の買い出しや、子どものお稽古事の費用など。

週末に食料をドーンと二人でまとめ買いし、生鮮食料品などは私が平日にちょこちょこ買い足す、という役割分担でした。

しかし、シュテファンがフィリピンに移住した今、状況は変わりました。
生活費のほとんどが、わたしの肩にかかってきます。

幸いにも、マンションのローンやその他の引き落としは、引き続き彼の口座から支払われているため、その部分では大きな助けになっています。
しかし、それ以外の家族三人の生活費は私が賄う必要があります。

そこで、私は安定した収入を得るために、2023年の年末に、ルフトハンザの子会社である空港ショップアソシエイト(というとなんだかカッコいいですが、平たく言えばショップ販売員です)の職に応募しました。
そして、無事に雇用されたのです。

ルフトハンザ子会社での新たなスタート:過去、現在、そして未来

ルフトハンザは、ドイツを代表する航空会社で、日本で言うJALのような存在です。そして、大企業の例にもれず、ルフトハンザには数多くの子会社やグループ会社がありますが、その中にリテール事業の子会社も持っています。

皆さんも、飛行機に乗って、機内販売などを利用したことがあると思いますが、あれがリテール事業となります。
子会社とはいえ、空港業務を支えるドイツ企業の一員として働くことは、誇りや責任を感じる日々でもあります。
 

過去:大企業の応募プロセスにチャレンジ


正式採用に至るまでの、昨年末からの応募プロセスは、私にとっても大きなチャレンジでした。

まず企業のリクルートサイトのオンラインアカウントを作成しての書類応募、ビデオ面接、そしてリアルの面接を経て、2月に採用が決定した時は、アラカンで、時短とはいえ正社員採用って、日本だとなかなかないよね、と、ドイツの労働条件を頼もしく思うとともに、心からの喜びを感じました。
しかし、そこからがまた新たなスタートでした。

ドイツ国内の空港勤務者には、一人一人、その人物の安全性を確認する国家的な審査があり、このプロセスは約2ヶ月続きました。
審査が終わり、無事にわたしの安全性が確認されたので、ついに私は2024年4月から晴れて勤務を開始することになりました。

現在:インターナショナルな同僚たちとの学びの日々

子会社とはいえ、ルフトハンザという名の下で働くことは、私にとって大きな誇りです。ドイツ社会において、外国人でありながらこの企業の一員であるという事実が、私の心をさらに引き締めてくれます。今は、背筋を伸ばして新たなスタートを切る時です。

外国人と言えば、勤務地ミュンヘンのスタッフは、かなりインターナショナルなのです。

マネージャークラス(4名全員ドイツ人)以外は、ドイツ人ももちろんいますが、他にもチェコ、ポーランド、ルーマニア、ギリシャ、などからの欧州勢と、さらに遠くからはアルゼンチン出身のスタッフが。
今回そこに日本人のわたしも加わり、さらに国際色が豊かになりました。

こんなところからも、企業の国際性を象徴できて、ウィンウィンではないか、と思います。

未来:ワークライフバランスを取りつつ前進

さて今後はどうなるのか?

未来に向けて、私は自分のキャリアと家庭のバランスをしっかりと取りながら、前に進んでいくつもりです。

この固定給があることで、経済的な安心感が得られ、私自身のフリーランスの仕事にも一層集中できるようになるでしょう。
そして、この経験が私にとって新たな成長の一歩となり、家族にとっても大きな力になると信じています。

独立して生きる

これからの人生、私は自分自身の力でしっかりと歩んでいきます。

フリーランスで日本とドイツをつなぐ役割を自覚しつつ、またルフトハンザでは国を代表する企業の一員としての誇りを胸に、アラカンシングルマザーとして、また一人の女性として、自分の道を切り拓いていく覚悟です。

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神谷ちよ@あなたの情熱で世界を変える!グローバルプレゼンマスター|異文化コミュニケーション専門家
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