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【句集紹介】朱 野見山朱鳥句集を読んで
・紹介
「茅舎を失い今は朱鳥を得た」と俳句界の巨人、高浜虚子に激賞され、彗星の如く俳句界に現れた朱鳥。茅舎とは、川端茅舎という俳人のことで、比喩の名人であったが、若くして死んでしまった。これからの俳句界の担い手として茅舎に期待していた、虚子はそのことを深く嘆いた。そんな、茅舎に見劣りしない朱鳥を発見した、虚子の喜びはいかばかりであっただろうか。
句集のタイトルにも、俳号にもある通り、朱鳥のシンボルは「朱」である。朱鳥は火をモチーフにした句を多く読み、また、先の川端茅舎の如く、比喩を使うことを得意とした。そして、病気がちだったためか、どこか達観した、澄み切ったような句柄も特徴である。仏教やキリスト教に関する句も多いのはそのためだろう。
昭和45年永眠。享年52。人生の1/3程を病床で過ごしたといわれる朱鳥。しかしその句は今もなお、確かな熱を帯びて、人々の胸に迫ってくる。
句集、レアです。小生もやっと見つけました。どうしても読みたいという方は、お声がけください。お貸しします。
・厳選10句
火を投げし如くに雲や朴の花
鶏頭の大頭蓋骨枯れにけり
春雷や伽藍を蹴つて舞ひ上り
火の独楽を廻して椿瀬を流れ
神々のみ代の如くに菜殻燃ゆ
夕桜この世に残すものもなし
夏山に魂を置き忘れけり
いのち短し泉のそばにいこひけり
雪渓に山鳥花の如く死す
蟹赤く死にをり海は遠からず
・作者略歴
大正6年福岡県直方市生。中学在学時より、文学や絵画に親しむ。卒業後、入院中に俳句を開始。虚子に師事。昭和24年ホトトギス同人。また、菜殻火を主宰。「生命諷詠」を提唱。昭和45年死去。享年52。
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