PENTAX17 フィルム3本目 大菩薩峠 苔を撮らねば!?
2024年8月15日
夏季休業最終日
再びPENTAX17を持って山に向かった。
山梨の大菩薩峠。
標高約2,000m
涼と絶景の富士山など眺望を求めて!
今回は大学時代の友人Nさんと共に車で向行ってきました!
午前5時ごろ出発して6時45分ごろ登山口の駐車場に到着。
山行出発。
天候は曇。
と言うより低めの雲の中のような感じだ。
PENTAX17に今回使った3本目のフィルムは、日本のスタンダードカラーフィルムである…フジカラー100 (36exp.)を選びました。
昔からあるベーシックなカラーフィルムですが安定した写りとラチチュードの広さで使いやすく価格もリーズナブルでお勧めです。
PENTAX17はハーフ判なのでこれ一本で72枚撮れます。
ネガカラーフィルムは一般に感度が低いほど粒状が細かい傾向にあります。フジカラー100は、感度iso100。カラーネガフィルムの中では比較的粒状が細かいフィルムです。他粒状の細かいネガカラーフィルムには2008年にデジタル化を念頭に発売されたKODAK EKTAR100(iso100)なんてのもあります。こちらも発色良く細かい粒状を求める場合には有効です。
粒状が細かいということは、デジタルカメラに代えれば画素数が高いのと同じ効果になります。
PENTAX17は35ミリフルサイズの半分のハーフサイズなのでフィルムの粒状の細かいものを使うことでこのカメラに付いているHD-PENTAX25mm F3.5という最新のレンズの性能を活かすこともできるかもしれません。
そんな期待を込めてフィルムを装填しました。
1枚目になるまで5,6コマくらい巻き上げて空シャッターを切ります。
後で判ったことですが、フィルム装填時にフィルムの引き出し量を短くすればフィルムカウンター1の前のコマが最大3コマほど写せるようです。
前回の白駒池での苔などを接写したときは、Pモードのシャッター速度下限が1/30だと知らず、ファインダー横の警告LED点滅もあまり理解しないまま撮っていて、ほとんど絞り開放で接写していたので被写界深度が浅くピントを外すことが多かったので今回はシャッター速度が1/30以下で絞りが動く低速シャッターモードを使ってみました。
結果、いくら手ブレに強いレンズシャッターと軽いシャッターレリーズだとしても三脚を使わないスローシャッターではブレる…
特に倍率高めで大きく写す接写撮影は望遠レンズ撮影に近い感じでブレやすいです。
デジタルカメラの手ブレ防止機構に慣れきったユーザーなら更に注意していところですね(汗)。
ちょっと離しましたが、このくらいピントが出てブレてないといいですね。
被写界深度もちょうどいい感じです。
ただ、「写真」として面白みがない…という部分が不満であります💦
レンズの発色が良いためか、こうして緑の中で地味に咲いている花も目立って写ります。発色があまりよくないと後で何を撮ったのかわからなくなることもありますから…。
目測の距離を合わすというのが正確にピントを当てようと思うとなかなか難しく挑戦的なカメラです。
PENTAX17はステップフォーカスなので設定した距離と距離の中間に合わせるという昔のカメラのような調整はできません。
距離表記の中間の距離は被写界深度でカバーしなければなりません。
しかしプログラム露出なのでユーザーが絞りを選ぶモードがないので、露出のプログラムと装填したフィルムの感度と撮影環境の明るさによって被写界深度を予測しながら撮影します。
明るい場所でのスナップ撮影なら何も気にすることなく軽快に撮影できます(本来そういう撮影目的で設計されたカメラ)。
しかし、「これをこのように撮りたい」と明確な撮影意思を持った中上級者の撮影者には前述のハードルが課されます。
それが嫌ならこのカメラを使わずに一眼レフを使ってマクロ撮影をした方が思ったイメージに効率よく近づくことができるでしょう。
フィルムフォーマットが35ミリハーフ判だし、明るい場所なら絞りが絞られるのでちょっとピントの設定が甘くても被写界深度でカバーされると思います。しかし、薄暗い現場での撮影やたまたま入っていたフィルムの感度が低かったとか。そういうシチュエーションで撮ると自動露出の絞りが開いて手ブレしないようにシャッター速度稼ぐので、結果被写界深度が薄くなりピントが甘くなりがちです。そんなとき距離感が正確に読めるように鍛えておけば、ちょっとピンボケ?という写真から一段レベルが高い仕上がりになると思います。
特にマクロ撮影では顕著に結果に出ますが、手が届く距離0.25mや0.5mは標準ストラップや感覚で測れますから慣れればかなり撮りやすいと思います。逆に通常撮影の場合の見た目と実際の距離感は慣れないと意外に外しやすいです。PENTAX17のフォーカスステップの1.2mなのか1.7mなのか3mなのか5m以上なのか?体感で慣れたいと思います。
このHD-PENTAX25mm F3.5レンズって撮った写真を拡大してみると意外にピントがシビアなレンズじゃないかな?という印象があるので。
逆にピントぴったりならかなり引き伸ばしても耐えられそうです。
このように背景ボケもうるさくなく綺麗の表現できるレンズであることがわかります。
目測ピント設定で撮って、現像してピントがピッタリ出てると気持ちがいいですね!
そのうち絞り手動設定できる改造する人が出てきそうな気がする(笑)。
ちょっと前ピンですがこのくらいの距離だとボケの繋がりがよくていい感じです。
といっても距離感ばかり意識していても疲れるので、取りたい雰囲気を適当に切り取って写してみるというのが本来旅行写真の愉しみです。
今回の大菩薩峠ハイキングは、曇っていてそれほど天気がよくなかったのですが、山の天気は気まぐれなのでそういう霞んだ景色や瑞々しい緑などを楽しみました。
今回下山途中に激しい雨が降ってしばらく雨宿りしてから雨合羽着て下山。
相変わらず接写のバランスは難しい。
位置を決めたらまずは手ブレしないようにカメラをホールド。
今回の撮影で一番のお気に入り⇩
前回、白駒池でうまく撮れなかった苔に生える小さなキノコ。
今回は、ほぼピントも出ていていい感じに撮れたので満足。
A4にプリントしてお店に展示してあります。
最近、筆者にとってのうまく撮れた写真とは、プリントして飾りたい写真なんですね。フィルムでしか写真が撮れなかった時代は、フィルム1本全部プリントしたからそれをアルバムに貼って終わりということが多かったし、大伸ばしにして飾るような写真はほとんど撮れた記憶がありません。
写真がデジタル時代に入って、どんどん枚数撮れるようになり、実際にメモをするように毎日何らかの写真を撮っています。フィルム撮影もお店の商品のカメラやレンズを使って撮った作例なども撮ります。しかしいくら枚数を撮るようになったとしてもプリントして飾りたい写真はほとんどありません。そのへんがこれだけ多くの人が毎日写真を撮っていても街の写真屋さんに行く機会がないことの理由かと思います。
新しいカメラを手にいれることは嬉しいことです。
このカメラを使って何を撮ろう、どういう写真にしよう、と色々想像しながらカメラをいじってみたり撮影の計画を立てたりしてワクワクします。
撮ってみてカメラの特性や癖などを覚えて、次に活かす。
ちょっと面倒くさいそういった「説明書だけではわからない特性」を自由に使えるようになって思ったような写真が撮れるようになるのは楽しいし達成感に繋がります。
PENTAX17は、ビギナーがスナップ撮影に使うにはとても使いやすくできていて、デジタルカメラのように発色もよく写りもいいです。
しかし逆にプログラム自動露出など簡単に撮れることは撮影者が手動で自由に設定できない制約にもなります。でもその癖を掴めば、秀逸なレンズを生かした写真が撮れる可能性があるカメラです。
つまり初心者には優しく、中上級者になるほど厳しく技術が求められるなるという面白いカメラです(笑)。
でもビギナーから使い込めれば、いずれ自然にカメラの癖を理解して自然に思ったような写真が撮れるようになるかも知れません。
2024/09/02
カメラのヤマヤ 店主:浅野 毅