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【小説】同窓会

久しぶりに会うと人は変わるものだと思う。
たった数年でも人は変わる。成人を迎えた今年、高校の同級生と集まった。100人ほど集まって知り合いを探す。

会場に入るとやはり女子と男子は分かれて立っていた。知り合いの女の子に話しかける。
「久しぶりー!」
「え、葵じゃん久しぶり。そこ服めっちゃ可愛い!!」
女子特有の話をしながらその時を待つ。気がつくと全員にシャンパンが配られていた。
「皆さん前をご覧下さい」
同窓会が始まった。

みんなが思い思いに歩きだす。友達に話しかける子、料理を取りに行く子、お酒を貰いに行く子。私も友達と共に歩き出す。
「料理取りに行こう!色々あるよ!」
「了解!」
手を引かれ、皿を持つ。美味しそうな料理が並んでいる。バイキング形式だから自分の好きなものを取れるようになっているのだ。
「これ食べたらまた来ようね」
「うん」
そう言ってから席に戻った。そして料理を食べながら会話を楽しむ。
「ねぇあの人カッコよくない?」
「本当だ!!誰か知ってる??」
「うぅん知らない」
そんな話をして盛り上がる。すると突然司会をしていた人がマイクを持ち出した。
「えぇ皆さんこんにちは。今日は楽しんでいますか?」
「はい!!!」
元気な返事が響く。
「それではここでサプライズです!これから歌を歌う方がいらっしゃいました!どうぞ拍手で迎えてください!」
パチパチと大きな音が鳴る。それからその人の紹介があった。
「初めまして、この度歌うことになりました、神木風太と言います。よろしくお願いします」
彼はペコリとお辞儀をした。顔を上げるとニコッとした笑顔を見せる。それがとても印象的だった。声はとても透き通っていて綺麗だった。
「……素敵」
「そうだよね!?すごくいい感じだよね!?」
隣にいた子に同意を求めるように言う。
「うん!なんか大人っぽいし!」
その子の声が大きかったのか周りの人に聞こえていたらしい。周りからも同じような言葉が出てくる。それから数分後曲が流された。聞いたことの無い曲だったが不思議と耳に残るような曲だった。歌い終わったあとは大きな拍手に包まれた。

その後の時間、私は余韻に包まれていた。あぁこれが恋なんだって思った。あんな素敵な人初めて見た。もっと知りたい。一緒にいたい。私の心の中で何かが芽生え始めていた。

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