同じ目線で物事を見る
はじめに
今回は野田直人さんの「開発フィールドワーカー改訂版 途上国の役にたつ自分になる」を参考に記事を書きました。
この本は、ある一つの物事に対して多角的視野で筆者の経験を含めて書かれているので、国際協力に関心のある人、現地で活動している人には欠かせない1冊となっています。
モラルとエコノミクス
途上国で暮らしていると、現地の人の態度を不愉快に感じることも多い。
例えば他人の物を無断で使うこと。
筆者がタンザニアで暮らしていた頃、お手伝いさんとして雇っていたフェリシタおばさんは、筆者の冷蔵庫で勝手に自分用の氷を作っていた。
「ひとこと言えよな」とは思うが、まあ怒るほどのことではない。
ところが他の人だと、下宿先の人に自分の服を勝手に着られたというケースもある。
中にはバスに乗って新聞を読んでいたら、隣の人がいきなり手を伸ばして新聞の中を抜いて読みだした、という話まである。
ここまでくると聞く方にとっては笑い話だが、やられた人たちが驚き、腹を立てるのも理解はできる。
筆者は当初、人のものを勝手に使うのはモラルの問題だと思っていた。日本に比べれば経済も教育も発展が遅れている途上国。
「もう少し発展しないとモラルは向上しないのかな」と、本気で思っていた。
タンザニアでのある日のこと。
筆者の家の水道から水が出なくなった。大家さんに相談すると、「すると、「この地区の本管から家まで水平に水道管が引いてあるから、水圧が低いと出なくなる。
では、もう少し上のほうから傾斜をつけて水道管を引っ張ってこよう」ということになった。
とは言っても、工事費を払ったのは筆者なのだが。
さて工事が始まって驚いた。いきなり隣の家の庭を掘り始めたのだ。
それどころか、さらにその先の家と、他人の庭を掘って水道管を埋めていったのである。
水道管を埋められた土地の持ち主たちは怒るどころか、土地の使用料の請求すらしない。
このしばらく後で地区全体が断水したことがあったが、なんと公共の水道管が個人の土地を通っており、それを忘れていた土地の持ち主がうっかり穴を掘って水道管を壊したのが原因だった。
公共のものすら勝手に個人の土地に埋め込まれていたのである。この水道管事件で筆者は気が付いた。
この人たちは、所有権と利用権を分けて考えている、と。
フェリシタおばさんは冷蔵庫を自分のものにしようとしているわけではない。
一人暮らしの筆者は大きな冷蔵庫のスペース全部を使うこと、ことはできない。
一方家に冷蔵庫のないフェリシタおばさんには、その空いたスペースを使うニーズがある。
だから筆者の冷蔵庫で自分のものを冷やす。
お隣さんは庭の地面の下を使っていない。
一方我が家には水道管を埋めるというニーズがある。
水道管を埋められたからと言って、土地の所有権が変わるわけではない。
だから我が家の水道管を隣の庭に埋めても良い。
つまり、所有権の如何にかかわらず、使われていないものは使うニーズがある人が使ってよいのである。
今日あなたが着ない服は、それを着たい私が着る。
途上国は、長期間にわたりものが不足している世界であった。
そんな所で、所有者本人が使う予定がないものを、使いたい他人が使って何が悪い?
だって冷凍室は使わないでしょ?
だってこの服、着ないでしょ?
だって新聞の中のほうまで読めないでしょ?
物がない世界では非常に合理的な考え方である。
低いモラルと思っていたのは、実際には経済的に合理的な行動であった。
日本人は勝手に使われる側になりがちだから、気付けなかったのだ。
先進国でも昨今「シェア」がキーワードになってきたが、何のことはない。
途上国の人たちは長年実践していたのである。
歩み寄る姿勢が大切
今回でカンボジアは5回目ですが、今までの私はホテルに泊まり、カンボジアに来てまで日本食を食べ、マッサージを受けるというような生活をしていました。
これでは現地目線で物事を見ることはできませんよね。
というよりも現地の方は心を開いてくれないと思います。
私はカンボジアへ来て4か月が経とうとしています。
カンボジアで生活をしていて、物事の考え方や価値観が異なると感じる時が多々有ります。
それは当たり前ですよね。
生まれた国、育った環境が違うから当たり前だと思っています。
そういった中で、現地の人に歩み寄る姿勢が大切です。
現地の人と同じ「ご飯」を食べること。
現地の人と同じ「床」で寝ること。
現地の人と同じ「生活」をすること。
そうしているうちに、今までは話してくれなかった心の声を話してくれるということがあります。
偽りの関係ではなく、本気で腹を割って話せる人がカンボジアにもいるって本当に幸せなことだと感じています。
当たり前なことなんて何一つありません。
1つ1つの幸せを感じながら、残りのインターン生活を送っていきます。
最後に
「カンボジア経済成長率7%」「平均年齢24歳」と聞くと、カンボジアはものすごい勢いで発展しているから、カンボジアに支援は必要ないという人がいますが、農村部に行くと学校に行きたくても、行けない中高生がたくさんいるのが現状です。
彼らの家を訪問し学校を辞めた理由を聞くと、多くの場合は「学校に行きたいけど、働き手がいないから辞めざるを得なかった」と言います。
そんな状況を変えたいと強く思い、中退した中高生の溢れる可能性を広げるための「復学支援プロジェクト」の立ち上げを行っています。
子どもたちが復学するにあたって必要な費用を集めるべく、9/2からクラウドファンディングに挑戦します。
国際協力と聞くと難しくて専門性がないとできないと思っている方も多いようですが、私は誰にでもできることがあると思っています。
自分のできることを、できる範囲でお力貸していただけると嬉しいです。
「寄付」はできなくても、SNSで「拡散すること」は誰でもできます。
SNSで「拡散すること」はできなくても、「家族や友達に聞いた話を伝えること」はできます。
最後まで全力で駆け抜けますので、みなさんのできる形で、応援・協力の程よろしくお願い致します!!
自己紹介
1997年生まれ。大阪府出身の22歳。立命館大学4年次休学中。
2017年8月カンボジア農村部の小学校を訪問し、学校に行けない子供達がいて大きな衝撃を受ける。
2018年1月クラウドファンディングで42万5000円の資金調達をし、日本語ボランティアスクールを建設。約30人の子どもに日本語教育の機会を提供。
しかし思わぬトラブルが続き、運営できていない現状が続いております。
カンボジア人によるカンボジアの支援のあり方を学ぶべく、2019年6月から半年間「NGO CBB」にてインターンしています。
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