厄介な人をどうにかする方法
●厄介な人
どんな職場にも1人はいそうな厄介な人。
私は、ハラスメントの社外相談窓口の仕事をしていて、私の目標は
「ハラスメントのない職場で、だれもが明るく楽しく仕事をして、最高のパフォーマンスができるようになる事」
そのためには、パワハラをしている厄介な人をどうにかすることが先決なのですが、そういう人に、「パワハラセミナー」をしても、全然響かない。
自分の事だとは思わないから。
そんな厄介な人をどうにかできないか、と思っていた時に出会った本が
「いま、目の前にいる人が大切な人」坪崎 美佐緒 著
でした。とても愛にあるれた、とても大切な人から紹介された本です。
●「いま、目の前にいる人が大切な人」
この本は、北の菩薩と呼ばれる、坪崎美佐緒さんが、ご自身のお仕事であるコーチングを通して知り合った方々、美佐緒さん自身の周りの方々との、信じられないような、ドラマのような、小説のようなエピソードが満載の本です。
なにが、信じられないようなエピソードなのか。
それは、美佐緒さんと巡り合った方々がみなさん、美佐緒さんと出会ったことで、これまでの人生が、がらっと変わったからです。美佐緒さんと話すだけで、美佐緒さんと接するだけで、です。
不登校のお子さんが学校へ行き始める。
話すことが苦手だった若者が自分から話せるようになる。
みなさん、人生を好転させていました。
なかでも、私がとくに興味も持ったエピソードが、
ある会社の研修の時、受講者の中の一人が、美佐緒さんに悪態ついたエピソードです。
「帰りたいよな。なんで休みにこんなことしなきゃならないんだよ」
その方は、研修のワークにも参加せず、ずっと目を閉じていたそうです。
私なら「厄介な人だ」と、その方を見て見ぬふりをしたことでしょう。
でも、美佐緒さんは、違いました。
これほど嫌なのに、よく来てくれたものだと浅田さんに感謝の気持ちが湧き、心の中でありがとうと呟きました。
その方に、感謝の気持ちを持たれたのです。
そして、次に、その方が、もしかしたら体調が悪いのかと心配になり、声を掛けました。
「具合が悪くてつらいのではないですか?」
すると、相手は美佐緒さんの目を見て、返事をしてくれました。
そこから、その方は積極的に研修に参加してくださったそうなのです。
そして、研修が終わった後、この方は、会社に
「この研修は続けた方がいい」と伝えたそうです。
●厄介な人が変わった原因
このエピソードが教えてくれたもの
それは「感謝」と「承認」です。
人はだれしも、認められたい、という承認欲求があります。
一説では、この承認欲求はほかのどんな欲求よりも一番強いと言われています。
人は、その承認欲求が満たされないとき、死にたくなるそうです。
自殺を考えている人はたいてい
「自分など居なくなってもだれも困らない」
「自分には価値がない」
「自分はだれにも必要とされてない」
といったことを思っています。
つまり、承認欲求が満たされるということは、自分を受け入れてもらえているという喜びを感じることなのです。
上記のエピソードの方も、悪態をついて、嫌われて当然な自分を受け入れてくれた美佐緒さんを、受け入れる気持ちになったのでしょう。
そして、言葉にして相手に伝えることはしなかったけれど、「このセミナーに参加してくださってありがとう」と思ったことが、きっと相手に伝わったからだと思います。
●承認
厄介な人の心理を考えてみました。
人に受け入れてもらえない自分
そんな悲しい、つらい自分を受け止めきれない
だったら、相手のことなど考えず、好き勝手に振舞ってしまえ
相手が自分を受け入れてくれなくても
受け入れられないような態度をとっているのだから
あたりまえ
あたりまえだから、傷つかない
つまり、イソップ物語の「すっぱいブドウ」の理論
「すっぱいブドウ」の話とは
キツネがおいしそうブドウを見つけました。そして、そのブドウを取ろうと何度もジャンプをしましたが、取れませんでした。食べたかったブドウ、おいしそうなブドウがどんなに頑張っても取れなかった時、キツネは、「あのブドウはすっぱいブドウだ、あんなものは欲しくない」と、負け惜しみを言う話です。
自分の心が傷つかないように、守るために、あえて、最初から望んでいなかった、と自分に言い聞かせるのです。
心理学的には「合理化」と言われるものです。
合理化とは、合理的な説明を与えて自分を納得させること。
厄介な人の心理は、
自分が傷つかないために、あらかじめ、嫌わるように仕向ける。
といったものだと思うのです。
だから、あえて嫌われるような態度を取ってしまう。それは、本人が意識していない潜在意識の中での話です。
人間がだれしも、認められたい、受け入れられたいという欲求をもっている以上、認められないと、つらく苦しいと感じてしまうという事実があるからだと思います。
●弱い犬ほどよく吠える
弱い犬ほどよく吠える、ということわざがあります。
自分を守るために、一生懸命に吠える。
それは、人間も同じ。
傷つきたくないから、傷つけられる前に相手を攻撃する。
本当に強い人は、自分が傷つくことを恐れない。
美佐緒さんのように。
自分を拒絶する人にさえ、
「いま、目の前にいる人が大切な人」として接する。
とても、心が強く、心の器の広い方だと思います。
●人を変えるのは、理屈ではなく感動
どんなに正論を言っても、理論、理屈を並べても、人は動きません。
感動、という言葉があるように、
人は、心で感じて、初めて行動に移せます。
理論、理屈を知って、そこで、感動、心で感じて初めて、行動が変わるということです。
私がいくら「パワハラセミナー」で理屈を説いても、感動がなければ、心に響かなければ、厄介な人は変えられない、ということです。
●心の器
美佐緒さんのように、生まれながらにして心の器の広い人、菩薩のような人ではなく、普通の私が、少しでも、心の器を広くする方法。
それは、まず自分を受容する、自分を受け入れる事だと思います。
自分を知って、ダメな所も含めて、ありのままの自分を受け入れる事ができるよういなれば、少しは、心の器も広くなるはずです。
自分の事を好きになれない人は、相手もことも好きになれない。
そんなことも聞いたことがあります。
相手を変えようとする前に、いや、そもそも、相手を変えるなんてことは、できはしないのです。
なぜなら、自分がコントロールできるものは
「今」
「ここ」
「自分」
だけなのですから。
美佐緒さんも、一度たりとも、相手を変えようとしたことなどありません。
ただ、「大切な人」として接することで、自然と相手が変わっていった、ということだったと思います。
●厄介な人をどうにかする方法
厄介な人をどうにかする方法があるとするならば、
自分の心の器を広くして、相手を承認し、感謝すること
それしかないのかもしれません。
私の目指す、理想の職場
「だれもが明るく楽しい職場で、最大限のパフォーマンスができるように」
を実現するためには、まず、私自身の心の器を広くすること
それが必要なことだと、美佐緒さんの本から学ばせていただきました。
これが、私の「最近の学び」です。
末尾になりましたが、この本をプロデュースして下さった大久保寛司さんにも感謝いたします。大久保さんが美佐緒さんに、出版を奨めてくださらなければ、この本が世に出る事はなかったでしょう。これほどの奇跡を知る事が出来た幸運に心から感謝し、嬉しく思います。ありがとうございます。
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