祈る気持ち

何かを作る時のことを、とても意識した2日間。

友人の書いた優しさのこもった記事や、
作家の友人の、安定しながらも慈しみを持った一挙手一投足に。

そう思って、もう8年ぐらい前に、テレビ局の時に作った特集を見直してみた。
「若年性認知症の妻と歩む」。
観たら何か、もっとこうすればという言い訳も生まれてくるけれど、
若年性認知症の中でも、失っていく中でも、
その人に残るものや愛情みたいな
不変な(普遍な)ものを現場で感じ、それを伝えたかったんだと思う。

今は、クラフトビールを通して、何を表現しているかというと
ふるさとのアイデンティティを、表現して?模索している。

モザイクタイル のラベル、方言風のタイトル、窯焚物語。

今挑んでいるのは、カマドや東濃地方の「アイデンティティ」を表現して伝えること。
だけど、この2日間で、
そこにさらに、人として普遍なものを見出してもいいのかなって思った。

ニューヨークの短期映画学校で最後に「花子 Carpe Diem」という短編映画を作った。
20歳ぐらいの多国籍なクラスメイトたちがすっごい作品を作る中で、
劣等感も大きくて、自分には何ができるかをずいぶん探して、
岐阜には「花子」がいたことを見つけて作った作品。

世界の人が「ハナコ」「ハラキリ」という言葉を知っているのは、
花子がニューヨークやヨーロッパの興行で見せた切腹のシーンがセンセーショナルだったから、とも言われる。

負けたくないという気持ちで表現するのも、
アイデンティティの表現も、それはそれで個性的だったのだけれど。

今日気づいたのは、そこにさらに
「祈り」を込めること。
手に取った方に、未来の地域に、廃れゆく故郷を見守るあなたにも。
私たちは、クラフトビールを通してこの地から表現することで、
「祈る」ことができる。

誰かのために、未来のために、明日のために。
祈りの気持ちを持つと、また新たな表現ができるような気がしてきた。

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