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過去から現代までのデジタルカメラの印象変化
●デジタルカメラはPC関連機器
写真に関わる者の中で、初期のデジタルカメラ(1990年代初め頃の製品)を知る者は多くないだろう。なぜならば、初期のデジタルカメラというのは画質を語るレベルではなく、当時のカメラマンが撮影機材として意識するような製品ではなかったからだ。要するに、眼中に無かったのだ。
何しろ初期のデジタルカメラはVGAビデオカメラのCCDを流用して作られており、当然ながら画質もビデオカメラの静止画を超えることはなかった。
だからボクはデジタルカメラには価値を見出せず、「ビデオカメラで動画を撮ってから、後でちょうど良いところをキャプチャすればいいじゃん」と考えていた。ちょうどビデオカメラもデジタル化されて小型になり、初期の大柄なデジタルカメラと比べても大きな違いは無い。デジタルカメラでなければならない理由が見付からないのだ。
いやむしろ、ビデオカメラのほうが3CCDや高倍率ズームレンズ搭載、MPEGメモリカード記録と高機能で、しかも造りが良い。
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しかしこれは仕方ないことであった。初期のデジタルカメラは明確にパソコン周辺機器として発売されており、メーカーもAppleやCASIO、SANYOなどと、カメラメーカー製のものは無かった。だからこの時代、「ハンディスキャナーを買うか、それともデジタルカメラを買うか」という文脈が正しいのである。
●写真撮影にも使えるかも?
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(グリップのゴムが加水分解して剥がれている)
1997年、衝撃のニュースが走った。なんと、デジタルカメラの画素数が100万画素を越えたというのだ。これまでビデオ扱いしていたのでこれは想定外のニュースで、早速そのカメラ「OLYMPUS CAMEDIA C-1400L」を入手してPC画面で見てみると、画面をはみ出るほどの大サイズに圧倒された(当時のPCモニタ解像度はSVGA800x600が主流だった)。
また交換式のメモリカードを採用した点も画期的で、それまでのデジタルカメラは内蔵メモリーが主流で、PCにデータを移すにはUSBやシリアルなどのケーブルで送るしかなかったのだが、本機はスマートメディアという薄いカードが使えた。つまり、フィルムを交換するかのごとく、メモリカードを交換さえすれば何枚でも撮れてしまうのだ。フラッシュパスというアダプタを使えば、簡単にフロッピードライブから読み込める。フロッピーならばどのPCからでも使えるのでアイデア物である。
その上、一眼レフ形式のファインダーであることも大きな衝撃で、これまでは別光軸のファインダーだったものが一眼レフファインダーとなりパララックスが無いのである。
以上のことから、ボクはデジタルカメラが写真撮影として使えるのではないかと思い始めた。
ただそうは言っても、この「C-1400L」はマニュアル操作が何一つ不可能であるし、レンズ交換もできないし、何と言っても外部ストロボが使えないのが撮影機材としては致命的であった。
●デジタルカメラで外部ストロボが使える
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「C-1400L」の後に何機種か買ったのだが、小型化するだけで特別な変化はもたらさなかった。
ところがこの「OLYMPUS CAMEDIA C-2020Z」は違った。というのも、このカメラにはシンクロ接点があり、外部ストロボが使えるのである。つまりライティングを駆使した撮影が可能で、このカメラに出会ってようやくカメラらしい使い方ができるようになったと言える。
ただし、この時代までのデジタルカメラについてはまだまだPC分野の色が濃く、カメラマンと呼ばれる者はここまでのカメラは知らないはず。この時代にPCを使っていたカメラマンでない限り。
(当時、PCを使っていたカメラマンは稀で、使っているのは新しモノ好きだった。そういうカメラマンは"ガジェット系"とか"サイバー系"とか、あるいは"オタク系"のカメラマンと呼ばれたものだ)
●35mmカメラと同じシステムが使える
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2000年あたりに、ついに既存のレンズシステムが流用できるデジタル一眼レフカメラ「Canon EOS D30」を購入した。中古ではあったが20万円以上もしたのだが、それまでのデジタル一眼レフカメラは業務用の100万円オーバーが多く、20万円代でも安いと言えた。
当時はコンパクトデジタルカメラでも500万画素を越えていたので、D30の300万画素は少々少なく思えたのだが、それでも既存のCanon EFレンズが使えるというのは非常に画期的であり、それまで35mm版のメインカメラであったEOS630と併用できるのが嬉しい。
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ただしAPS-Cサイズのイメージセンサーだったため広角撮影ができないのが難点であり、もっぱらブツ撮り限定といった感じだった。しかしブツ撮りもデジタルならばライティング確認も容易でコストもかからない。これは素晴らしい。
●超広角が活きるフルサイズカメラ
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2010年当時、1,000万画素の「Nikon D200」や2,000万画素の「Canon EOS 5D Mark2」を使っていたのだが、なかなか良いレンズに恵まれずにいた。
メインカメラはフィルムなので、デジタルカメラはそこまで画質を追求しなくても良いはずではあるものの、やはり気持ちはスッキリしない。
そんなある日、Web掲示板でニコンの14-24mmレンズの作例を見た。隅々までシャープに写った描写に驚き、そのレンズを使ってフルサイズで撮りたいと思うようになった。
そこで思い切って「Canon EOS 5D Mark2」を売却し、その金でNikkor14-24mmレンズを入手し、しばらくはAPS-Cの「D200」で使いつつ、いつかフルサイズのデジタル一眼レフの入手を目論んだ。
最終的に、値段の下がってきた中古の「Nikon D700」を入手することに成功。2,000万画素の「EOS 5D Mark2」を手放して1,000万画素の「D700」に乗り換えても満足度は高かった。「やはりレンズは隅々までシャープに写ることが重要だ」と改めて感じた次第。
●異次元の手ブレ補正
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「D700」で超広角画質をしばらく堪能していた2012年のある日、衝撃的なYouTube動画を目にした。それはOLYMPUSの新製品ミラーレスカメラのイメージセンサーの動きを写したものだったのだが、その動きが常識外れだったのだ。
「おいおい、精度が重要なイメージセンサーがなんでここまで激しく動くんだ?!」としばらく呆然としていたが、やがて、「これならどんな手ブレでも打ち消せるに違いない」と確信し、生まれて初めて発売前予約を入れてしまった。そもそも新品のカメラを買うこと自体が久しぶりである。このことは、ボクの受けた衝撃の大きさ物語る。
フルサイズカメラで手ブレ写真を撮るよりも、マイクロフォーサーズで手ブレ無しで撮るほうが良い。そもそもボクはデジタルカメラをフィルムカメラを補完するために使っているのだから、結局はISO100でしか使わない。だったらマイクロフォーサーズで十分だろう。
ボクはNikkor14-24mmと完全に同じ画角のマイクロフォーサーズ用7-14mmレンズも入手し、念のためにD700とNikkor14-24mmの組み合わせの画質を慎重に比べてみた。その結果、両者に違いは無いと確認できたので、D700とNikkor14-24mmは手放した。
その後しばらく、何機種かのOM-DシリーズやPENシリーズ、そしてLUMIXを購入していった。
●フィルムを諦めさせたカメラ
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それからしばらくして、PC環境も徐々に4Kディスプレイが普及していき、ボクも4Kディスプレイをデュアルで使うことになった。そうなると1,600万画素のマイクロフォーサーズでは少々物足らない。
そこで試しに3,000画素の「SONY α7R」を中古で買ってみたところ、これで撮った写真がまた4Kディスプレイで映えること映えること。しかしカメラとして使いづらいところもあったので、あらためて4,000万画素を超える「SONY α7RII」を導入。計算上、このカメラの情報量は645中判フィルムに匹敵する。
そしてボクは結論を出した。「フィルム撮影はもう打ちりだな」と。
この決断の日を境に、ボクは完全にフィルムを使うことは無くなり、その時までに所有していた未使用の120フィルム50本以上が今でも期限切れで手元にある。35mm判のフィルムもモノクロの100フィート長尺がローダーに入ったまま10年以上も放置されている。
●これまでの主なカメラの画面解像度
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ここで改めて、主要なカメラの解像度を比較してみた。100万画素の一番小さな「C-1400L」が高画質だと思っていたことが信じられない気分。逆に、6,000万画素がそれほど大きく感じないのは、やはり4Kディスプレイによるものか。