昔のパソコン環境構築①「PC-98」
現代のパソコンはとても高性能で、4Kディスプレイを2台繋ぎ、6,000万画素の画像をいっぺんに10枚以上開いてもびくともしない。OSの安定感も抜群で、フリーズすることもほとんど無い。
だが30年くらい前のパソコン環境を思い出すと、なぜか昔のパソコンのほうが万能感が強かった。それはなぜだろうか。
それはやはり、不便なバージョンからのステップアップした時の感動がその時代に集中しているからだと思う。
例えばVGA画面(640×480ドット)からSVGA(800×600ドット)になった時は、その広大な画面に驚いた。
また256色の画像から1600万色のフルカラー画像が扱えるようになった時は、2つの画像が同時に見られることに驚いた。
(※256色の画像はそれぞれにパレットを持っているので、2枚同時に表示させると片方の画像の色が化けてしまう)
そこで今回、盆休みを利用して、今更ながらに過去のパソコン環境を復活させてみたいと考えた。
なお、当時のパソコンは手元に無いが、当時のソフトはたくさんある。一時は処分も考えることもあったが、残しておいて良かった。
まず考えたのは、現代のパソコンの中にソフトウェア的に昔の環境を再現させるエミュレータ(仮想PC)の利用であった。
しかしエミュレータは100パーセントの再現性は無いようで、実機でもトラブルや相性の問題がよくあるというのに、エミュレータで問題があればどう解決すれば良いか分からない。そもそも、手持ちのソフトの多くはフロッピーディスクに入っているのだから、どのみち昔のハードウェアは必要なのだ。
というわけで、ネットオークションで「NEC PC-9821Xa13」を入手した。SXGAの古い液晶ディスプレイとのセットで16,000円という出物があった。IDE接続のハードディスクはコンパクトフラッシュカードに換装されており、Windows98がインストールされていた。
実を言うと、その前にノートパソコンの「NEC PC-9821La10/S8」を入手したのだが、画面が狭すぎて当時の感動が蘇ってこなかったこともあり、早々に手放していた。フロッピーディスクとCD-ROMが使えないのも致命的。
なお下の写真は、画面の明るさとそれ以外の明るさのレベルを合わせるため、暗黒中で1/6秒にてストロボ撮影した。
今回入手したのはデスクトップ型なので、「ウィンドウアクセラレータ」と呼ばれるグラフィックボードを増設すれば解像度を上げることができる。別途ネットオークションで購入しなければならないが、今はもう出物が少ないのでなかなか自由に選べない。
購入にあたってのポイントは、「PC-98用であること」・「ビデオメモリが4MBあること」・「ドライバソフトがあること」・「接続ケーブルがあること」の4点。予算は10,000円前後。
まず「PC-98用」としては、PC-9821Xa13はCバスとPCIバスの両方使えるが、CバスはPC-98特有なので良いとして、PCIバスはDOS/V機でも接続できるがPC-98用と明記されたものを選ばないと使えない。
それから「ビデオメモリ4MB」については、PC-9821Xaに標準で搭載されているビデオメモリは2MBであるから、せっかくなら4MBに増やしたいと思った。
「ドライバソフト」については、今回Windows3.1のインストールも考えているので、Windows3.1のドライバソフトは必須。メーカーサイトからダウンロードできるかと思ったが、Windows3.1対応の製品であってもWindows3.1用ドライバがダウンロードできるものが少ない。できれば製品にドライバソフトが同梱されていると良いのだが、そういう出物はほとんど見付からない。
「接続ケーブル」については、ネットオークションではなぜかほとんどの出物にケーブルが付属していない。別途ケーブルだけ手に入れるのも難しいのでこれが一番困る。
PC-98の画面出力というのは、Winodwosが起動するまでの低解像度時は本体側端子から出力され、高解像度になると回路がビデオボードに切り替わってボード側端子から出力されるようになっている。そのたびにディスプレイの接続をいちいち刺し直すのも大変なので、本体とボードを繋ぐケーブルが必要なのだ。
結局のところ、ケーブル付きの出物に行き当たらなかったので、ケーブルは自分で何とかすることにして、「Cバス接続」、「ビデオメモリ4MB」、「Windows3.1対応」の「BUFFALO WGN-V4」を10,000円で購入した。
ちなみに下の写真は、ティルトレンズを使ってピント面の角度をボード面に合わせて撮影しているので、ボード全面にピントがくっきり合っている。
さて早速、接続ケーブルについてだが、ビデオボード側の入力端子は丸形のミニDIN-8端子だったので、同じ端子の一番安いプリンタケーブルを買ってD-SUBケーブルと繋いで作ることにした。
結線はビデオボードのメーカーによってそれぞれ違うらしく、参考サイトを色々見て決定し、テスターで見ながらはんだ付けした。たくさん線があるが、「R・G・Bの3ピン」・「水平・垂直同期の2ピン」・「アース」が繋がっていれば他は要らない。
下の写真では結線部が剥き出しだが、あとでレジンで絶縁封入しておいた。
以上でハードウェア環境は揃った。
なお、購入当初から入っていたWindows98は利用しない。どうせなら1995年当時に社会現象にもなったWindows95を入れてみたい。何しろ当時、秋葉原でWindows95発売フィーバーが起こってニュースでも取り上げられ、行列に並んだ人の中にはWindows95がパソコンソフトであることすら知らない者もいたくらいだった(誰かに購入を頼まれただけ?)
というわけで、次からはOSのインストールをしていきたい。