帰りたい町、帰れる場所
祖母の家に、わたしは頻繁に帰省をする。
20年間、私が過ごしていた町
この町に訪れると、ひんやりとしている風が頬を撫でて
今、住んでいる街の喧騒がきわだつくらい、落ち着いている。
変わらない、生まれ育った場所
それでも、些細なところにに目を向けると
私が子供時代を過ごした時よりは自然は減って
木々は家々に代わっていた。
よく100円玉を握りしめて、通っていた駄菓子屋さん。
ガムやチョコを100円に収まる範囲で選んでいる時間が楽しかった。
それだけで放課後の時間はわくわくしていたっけ。
よく、おまけでチューイングガムをくれる駄菓子屋をきりもりしていたおじさんは、他界していた。
お店はもう、取り壊されていた。
両親が共働きで、友達も多くなかった私は、近所のレンタルビデオ屋で同じ物語を何度も何度も借りて、飽きるまで魅入っていた。
そのビデオ屋も、今はもう取り壊されていた。
この町は変わらないなぁと思っていても、確かに細かいところは細々と変わっていて
その変化に物悲しくなった。
でも、なくなったものばかり数えているのも、やるせないので
今、あるモノを見つめて、それがなくなる日が来ることを噛みしめて。そのありがたさを感じながら過ごしていたい。
そんな風に思った、春の帰省でした。
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