人に自分の本心を曝け出すことの大切さ
始めに
前回の記事でも紹介した通り、私は十三年間社交不安障害に悩まされてきました。
そんな社交不安障害に対して、私は恥の感情を強く持っていたため、人に悩みを相談できない状況がずっと続いていました。
それまでにも、カウンセリングを何回も受けていましたが、自分の本心を曝け出してまで話せていませんでした。
具体的にいうと、“多汗症で困っているんですけど、どうすれば良いですか”と相談してしまいましたが、“汗を人前でかくことが、怖いです。不安でたまらなくなります”とは言えませんでした。
親友や家族には、自分が社交不安障害で悩まされていることすらも隠していました。
要するに、自分の弱みを他人に晒すことを避けていました。
自分の中だけで、不安や焦りや悲しみを抱え込み続けてきました。自分だけで抱えていると、問題がどんどん大きくなっていくように感じました。
自分があまりにも正直に他人に自分の悩みを話せないため、一時期は自分が人に心を開けないパーソナリティー障害を患っているのかと本気で疑っていたこともありました。
しかし、ACTに数ヶ月前に出会い、練習に練習を重ねてマインドフルネスと脱フュージョンの向上に努めることで、徐々に自分の中で変化が起こり始めました。
“相談したら、人になんでこんなことでうだうだ悩んでいるの、って思われるかな”
“ダサいって思われるかな”
“なんでずっと人に頼ることができないのだろう。”
こんな考えをぐるぐる自分の中で繰り返していましたが、自分の不安や恐怖に冷静に対処することが可能になり、相談してみても良いかなという状態にまで変わりました。
そして、そこからはとんとん拍子で、カウンセラー、友達、親、さらには初めて会った人にまで自分の状況を曝け出すことができるようになりました。
自分の弱みを見せたことが暴露療法の原点となり、自分の恐怖にも徐々に立ち向かうことができるようになりました。
今思えば、人に正直に自分自身を晒していなかったら、暴露療法も何も始められなかったと思います。
どんな変化が自分の中で起きたのか
私が初めて、自分の悩みを告白したのは、親友とのチャットでした。
確か、“ずっと言っていなかったけど、社交不安障害を抱えて困っている。人の目や汗をかいてしまうことや就活が怖い。”と言う趣旨の内容を送ったと思います。
他人に自分の弱みを赤裸々に曝け出したことで、初めて自分の気持ちに正直になれた気がしました。
そして気持ちがグッと楽になりました。
この十三年間背負い続けた重荷をついに下ろすことが出来たような感覚でした。
弱みを曝け出すことがなぜ難しいのか
現代社会は、人に自分の弱みを曝け出すことが難しくなっていると感じます。
ソーシャルメディアでは、色々な人たちが、他人が羨むようなことをアピールします。
高級車、名前の売れている会社、最高のビーチ、可愛い人、かっこいい人、こんなものを延々と見せ続けられ、彼らには何も悩みや怖いものや弱みがないかのように振る舞います。
ソーシャルメディアだけではなく、映画のアクション映画でも、弱みや恐れをほとんど感じないヒーローが、次々と困難に立ち向かっていきます。
また、大人の男性にとっては、“大の男が泣くのはダサいこと” “男らしさ(常にタフであること)”などが求められることもあり、より自分の弱みを言い出しにくい状況にあると思います。
このように、“怖いものが無い=クールなこと、自分の弱みを曝け出すこと=カッコ良くないこと、恥ずべきこと”が公式のように社会に染み付いている気がします。
特に、社交不安障害の人は、名前の通り社交することに不安を感じている人なので、より人に自分の本音を打ち明けることが難しいのかもしれません。
そんな、自分の弱みを正直に曝け出すことが難しい世の中だからこそ、みなさんにはACTを使って自分の思考や感情に正直になれるようになって欲しいです。
最後に
余談になりますが、Kevin Hines と言う男性が映画の中で話していた印象的な言葉を送りたいと思います。
"It’s okay not to be okay. It’s not okay not to ask someone to back you up(映画:Suicide the ripple effectより)
意訳になりますが、
“心がダメになりそうでも大丈夫。でも助けてくれる人がいるのに助けを求めないのは、ダメだ”
*彼自身も若い頃に精神を病み、ゴールデンゲートブリッジから投身自殺を試みました が、奇跡的に助かり、現在は、自殺予防啓発のために各地で講演を行なっています。
この記事を通じて、一人でも多くの人(特に社交不安障害で悩まれている方)が誰か信頼のおける人に自分の気持ちを告白してみようかなと思ってもらえると嬉しいです。
もし、信頼できる人が周りにいないと言う方は、精神科のカウンセラーやオンラインカウンセリングサービスを使って第三者に告白してみるのも良いかもしれないです。
全てを曝け出すのが嫌だと言う人は、徐々に時間をじっくりかけながら言ってみるのも良いと思います。
とは言っても、人に自分の弱みを曝け出すのは怖いです。
まだ人に言うことが恥ずかしい、怖いと感じている人には、まずACT心理療法を実践してもらうのが一番良いかなと思います。
今回も記事を最後まで読んでもらいありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?