会えなかった子へ想いをよせるとき
友達に誘われてお出かけした行き帰りの電車のなかで知らされたこと。
友達とはお互いの娘たちのことで話がはずんでいた。
私より若くに結婚したけど、なかなか子どもができなったことなどいろいろ話してくれた。
趣味が合って、一緒に話すと楽しくなる。明るい彼女の違う一面を知った。
普段の何気ない会話でわざわざ流産したなんて、人に言う人はいないだろう。顔を見たってそんなのわかるはずもない。
望んでいた双子ちゃんが流れてしまったとき、どんなにつらかったろうね。
その悲しみを想像すると、私も心が痛くなった。
そんなとき、私も会えなかった子への想いが膨らむ。
あれは大雪(関東の基準で)の降った翌朝。
関東ではちょっと雪が降るだけで、車を出すのも難儀になってしまう。
雪が固まって氷ついてしまう前に少しでも雪をどかそうと思って、シャベルを出した。
雪を道路にかきだしていると、お腹や背中が痛くなってきた。
今月はやけに生理痛が重いと思った。
でも、そのまま頑張って雪かきを続けた。
翌日、すごくお腹が痛くてトイレに行ったら、なにか塊が出てきた。
え、どうしたの? この塊は……。
私は自分がまさか妊娠していることに気づかなかったのだ。
今月は生理が遅れていると思っていただけ。
本当に母親失格である。
望んでいた子ではなかったけど……。
その上には2人の娘が生まれている。
あのとき、雪かきを無理にやらなければ、生まれてきたのかな。
あの腹痛は雪かきが原因?
思わず流れてしまった子へ、申し訳ない想い。
生まれてきたら、どんな子だったんだろう。
あまり考えないようにしているが、この悲しみはあまり家族には言えない。
夫も驚いていたけれど、私がときどき思い出すことは知らない。私が口には出さないから。
子どもを流産してしまった話は彼女だけでなく、他の人からも聞いたことがある、私の母からも。
人には言わずに胸にしまっている人もいる。みんな、悲しみを表に出さずに暮らしているんだ。
悲しみに暮れるときりがないけど、ときどき思い出すのは辞められない。
娘たちが無事に成人してくれたことに感謝して、この世に生まれた人生、この命を大切に全うしようと思う。
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