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詩とそれにまつわる話(井之川)

場を作り 人を繋ぎ
いつしかできる 輪の真ん中

少し離れた土地の子も
歳の離れた兄さんも

いつでも忘れずポケットの中

安堵の声は泣き声であり
強さと言える弱さがあり
それら全てをさらけ出せるよう
いつまでも響く波の音

私の居場所と
あなたの居場所
繋がり続ける 時を越えて


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奄美大島に半年間行っている最中に、徳之島の井之川というところにお邪魔する機会がありました。
お世話をしてくれたのは、「みらい創りラボー井之川」を運営されている方。数年前に徳之島の地域おこし協力隊として活動を行い、そのまま島に移住することを決められたそうです。

徳之島は、子宝の島と言われています。2018-2022年の市区町村別合計特殊出生率が、2.25とダントツでした。それには市町村による多数の支援、子供を預かる保育園や幼稚園、子育てをする母たちの会など、様々な活動をされている方々がいるおかげだと思います。
子宝の島だからか、母は強し。島の中では、あるお母さんが始めた子育て支援の団体での活動に参加させていただきました。
また、徳之島はかの有名な徳洲会病院やPeach航空会社を設立した方々の出身地でもあります。とても意志が強い方が多いのです。
闘牛も有名で、闘牛場に人が集まって、ワイワイと騒ぎ、終わると「ワイド節」と言う島の踊りを唄い踊るのだと言います。

私がお世話になったお母さんは、『NPO法人がじゅまるの家』という、子育てをしているお母さんを支えるための活動をしている方でした。保育園の運営だったり、助産師さんからのお母さんサポートだったり、みんなの食堂だったりをしています。私が参加させてもらったのは、『子どもの居場所 コランネ』という活動でした。学校に通えていない子供たちが、その場所に来て、勉強やお話や課外活動をして帰っていくものです。授業内に時間割もあり、その時間通り(ではないかもしれないけど?)に物事が進んでいきます。
まずは朝のラジオ体操から。元気よく体を動かして、その後に勉強をします。勉強と言っても、学校で習うほどの勉強ではなく、調べ学習だったり、数字や漢字のゲームだったりします。そして、課外学習では畑をしたり少し遠出をして牛を見に行ったりしました。
体を動かすこと・脳みそを動かすこと・IT系の何かを取り入れた時間割が組まれており、スタッフさんが優しく見守る中、子供たちは自由に過ごしているようにみられました。
私も、滅多に島にいない「大学生」として、子供たちと遊んだり、スタッフさんと話したりを繰り返していました。
がじゅまるの家のお母さんは、スタッフさんとしてコランネに関わっているのですが、私のことを「運動会とかも、違いがあって面白いんじゃない?」とか言いながら、自分の子供の運動会に連れ出してくれました。大きなガジュマルの木がある校庭で、場所取りしたところに私を迎え入れてくれて、一緒に観戦をしていました。子供たちの人数は少なくなっていて、幼稚園・小学校・中学校を合わせた運動会を開催しているという話だったり、島だから子育てをしながら働いているお母さんが沢山いて、頼れるところもないと困ってしまう、という話をしてくださいました。

何をしに来たのかよく分からない大学生を、快く迎え入れてくれた方々にとても感謝しています。地域・教育、という、はっきりとしないテーマを掲げながら、色んな人の話を聞けたことは、貴重な時間でした。


「みらい創りラボー井之川」は、「子どもの居場所 コランネ」に対して場所の提供を行なっています。その他には、個人に対してワーケーションスペースとして場所を提供していたり、プログラミングスクールを開催したりしています。
この離島でプログラミング教育?!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、生徒数はとても多く、一つの教室が埋まるほどです。皆がそれぞれタブレットを持って、プログラミングソフトを使って勉強しています。それも、ゲームを作ったりするソフトなので、楽しんでやっていることが伝わってきます。ソフトを使っているので、個別の対応を必要とせず、分からないところをラボの方が教えると言う、ワンオペレーションの形で進んでいました。私は大学に入ってから、プログラミングの授業を受けたのですが、全くもって身に付かず、向き不向きがあるのだと思いました。しかし、子供たちはほぼ小学生にも関わらず、自分達で重い思いのままにゲームを作っていきます。離島だからできないなんてことは全くありません。離島からプログラミング教育を発信する、とても素敵なスクールでした。
また、ラボの方は元地域おこし協力隊であるため、地域の方とのコミュニケーションも欠かさずに行われています。私はラボのすぐ近くにある一軒家に泊まらせて頂いたのですが、そこもリノベーションされたようで、家の周りのおじいちゃんおばあちゃんは、「〇〇さんのところに来たのね」と言ってとてもよくしてくださり、私のことを全く知らないのに、家に上げてティータイムを開催してくれたりしました。それも、ラボの方が積み上げられてきたものがあるからだと思っています。自分自身が体を動かして、面倒臭がらず、朝早くから草刈りをしたり、挨拶をしたり、人との繋がりと自分自身のできることをされる、とても素敵な方だと感じました。


島の中には、「オンラインの仕事をしたいけど場所がない」だったり、「子育てをしたいけど、仕事との両立が大変」だったり、「子どもが学校へ行きたがらない」だったり、都会と同じように、けれど都会よりも人口が少ない密な関係の中で、そのような課題を抱えている人たちがいます。
その人たちを繋ぎ、寛容な心で迎え入れ、羽ばたくまでみている環境、それを作り出したラボの方々やNPO法人の方々の姿を、
忘れずに生きていきたいです。



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