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【名盤伝説】”Phil Collins / Hello, I Must Be Going! ”

MASTER PIECE UK出身のドラマー / シンガーソングライターフィル・コリンズの2作目のソロ・アルバム『心の扉(邦題)』(1982)です。

フィルはUKを代表するプログレ・バンドジェネシスの2代目ドラマーとして1970年に加入しています。彼の独特のドラミングとともにコンポーザーとしてのセンスはジェネシスの音楽性を革命的に変性させます。功罪というよりも好き嫌いの問題かと思うので、その辺りについてはコメントを控えます。

ジェネシスが1981年12月にアルバム『アバカブ』のツアーを終えると8ヶ月の活動休止に入ります。その間にフィルは81年にリリースした『Face Value (夜の囁き)』に続くソロアルバムの制作を始めます。

前作では一人ジェネシス的なサウンドとともに、当時ファンク・バンドとして全盛だったアース・ウィンド & ファイヤーのホーン・セクション(フェニックス・ホーンズ)を起用するなど、ジェネシスでは決して表現できない、ソウル系への憧憬たっぷりのサウンドを聞かせてくれました。そして続く本作では、より一層そうした傾向を深化させていきます。

アルバムは1982年11月にリリースされます。UKチャートでは2位を獲得、USチャートでも8位になるなど大ヒットとなりました。全米RIAAでは3xプラチナ・ディスク(300万枚)を記録します。

収録曲
A1 I Don't Care Anymore
A2 I Cannot Believe It's True
A3 Like China
A4 Do You Know, Do You Care?
A5 You Can't Hurry Love
B1 It Don't Matter To Me
B2 Thru These Walls
B3 Don't Let Him Steal Your Heart Away
B4 The West Side
B5 Why Can't It Wait 'til Morning

アルバム・トップのA1。彼の乾いたドラミングがたっぷりと楽しめます。グラミー賞の最優秀ロックボーカルパフォーマンスにもノミネートされています。ギターは盟友ダリル・スチューマーです。この曲はアルバムからの3枚目のシングルカットとしてUSチャート最高位3位を記録するヒットとなっています。こんな地味な曲がシングルって・・・。


フェニックス・ホーンズのキレキレのプレイが楽しいA2。フィルのポップス・センスも全開です。この曲も5枚目のシングルとしてリリースされます。USチャート79位…シングル・カットし過ぎです。でも凄い。


シュープリームスのヒット曲のカバーA5。正直、私が初めてフィルの存在を知ったのはこのPVをMTVで見てからです。ジェネシスも名前しか知りませんでしたし、ましてやそのメンバーなど知る由もなく、なんか陽気おおっさんが歌っているなという程度の感想でした。ただ曲は秀逸だしオリジナルは聞いていたので、小粋にカバーしてるので「フィルって誰??」と。モータウン愛に溢れるナンバーです。


そしてホーンが楽しい曲をもう1曲B1。コンサートでも人気のナンバーです。アルバムでベースをプレイしているのはモー・フォスターでした。モーはセッション・ベーシストとして活動しつつも、マイケル・シェンカー・グループからギル・エヴァンスまでジャンル幅広過ぎなミュージシャンです。ソロ活動もしていてアルバムも何枚かリリースしています。渋いプレイで私も好きでしたが2023年に79歳で亡くなられています。この曲で聴けるボトムをきちっと抑えながら跳ねまくるプレイは百戦錬磨のプロの技ですね。


この後は、フィルのソロとジェネシスの曲が交互にヒットチャートを席巻する日々が続きます。フィルのヒット・メイカーとしての全盛期という感じです。




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