★”夜総会Band (a-min) / 私の青い鳥” (1998)
【SONGS】1998 私のnoteでは1970〜80年代の思い出の曲を中心に紹介していますが、年代問わずに出会った魅力的な曲についてもノンジャンルで記事にしたいと思います。
元爆風スランプのドラマーFunky末吉らにより結成された夜総会bandの唯一のオリジナル・アルバム『First』に収録されている「私の青い鳥」です。
バンドメンバーは末吉に、上海出身のアイドル歌手だったアミン(実の姉は二胡奏者のウェイウェイ・ウー)、爆風のベーシストのバーベQ和佐田の他、ポップス系のホーン・セクションで売れっ子のミュージシャンが多数メンバーとして参加し、4リズムの他に4管の計11名というまさにビッグなバンドでした。
バンドは1997年に結成。1998年にアルバム・デビューします。香港映画「香港大夜総会」の主題歌を歌ったアミンと、バック・ミュージシャンとして参加した末吉らが共演したのがきっかけで、たまたまメンバーに関西人が多かったため「中国人が関西弁で歌ったらおもろいんと違う??」というノリで作られたとか。その割には皆んな本気です。
元々上海でアイドル歌手として活動していたアミンは92年に来日する中でバンドに参加。アルバム・リリース前にも関わらず97年11月に上海で5日間のコンサートを敢行するなど、単なるユニットではない本格的なバンドを目指していたと思われます。
大ヒット曲「Runner」(1988)で人気となった爆風スランプは、ご承知の通りフロントのサンプラザ中野のキャラクターが強すぎて、中野のソロでの活動が増える中でメンバーも個々の活動に少しずつ移行していた頃で、リズム隊は別バンドを結成して参加したということでしょうかね。ちなみに爆風は98年4月にアルバムをリリースした後に99年4月には活動を休止しています。
アルバムの中で特にこの曲が私は好きです。強力ホーン隊の迫力とアミンのか弱いボーカルのミスマッチが素敵です。この発声法に馴染むと、線は細いけど音程は正確だし盛り上げるところはチカラ強く歌い上げるなど、表現力もたっぷりです。
シングルカットされた「私の青い鳥」のカップリング「Tokyo Heaven’s Bar」。ビッグバンドの魅力を活かしたオールド・スタイルのジャズアレンジが素敵です。ジャケットはワイルドなイメージですが素顔の彼女は・・・
ホーン好きな方には魅力たっぷりのファンキーなアルバムです。こちらfull 動画でお楽しみください。
アミンは、私が2000年前後にボランティアで参加していた某音楽イベント出演の常連でした。性格の良さと辿々しい日本語で精一杯コミュニケーションとる彼女は、出演者やスタッフの間でも人気者でした。イベント当日は私達スタッフにも気さくに声をかけてくれるので、当時は上海のアイドル歌手だったという素性など全く知らなかったこともあり、特に親近感を抱いた出演者の一人でした。
そんなアミンとオフ・ステージに勇気を出してお願いした思い出のツーショット。
本業の都合でスタッフとして参加できなくなってからも、その時に親しくしてくれた何人かのミュージシャンの方々との交流は、イベント現場を離れた後でもライブを見に行くなど今でも交流が続いていますが、アミンの活動については情報も乏しかったこともあり、再会を果たすことなく月日は過ぎていきます。
そして2005年、名古屋で開催された「愛・地球博」のフェアウェル・コンサートにユーミンが参加するとのニュースにテレビの中継番組を見ていたら、何とそこにはユーミンと同じステージに立つ、すっかり成長したアミンの姿がありました。
その後もCMソングなどで彼女の歌声を聞くことができましたし、さらに地道にリリースされるアルバムも常にチェックはしていましたが・・・
実は長らく闘病生活を送っていたアミン。そして突然の訃報が届きます。2021年7月29日、まだ48歳という若さでこの世を去ってしまいました。
ずっとお会いすることなく亡くなられてしまったためか、私の中のアミンの存在はあの時のままで止まっています。亡くなられた実感が全くありません。
その某音楽イベントの大阪開催でのリハーサルの最中、たまたま彼女の後ろに控えていた私に「烏龍茶もらえますか」と言われ、初めての会場で勝手が分からず、時間もなかったことから楽屋口の自販機で買って渡した時の笑顔・・・。
終演後の打ち上げの鉄板焼き屋で、酔った勢いでT-SQUAREの宮崎さんと二人で「一気します!!」と立ち上がり、同じくT-SQUAREの須藤さんに「こんな所で一気しても、何の得にもならんぞー」と冷やかされ一堂爆笑したシーンなども懐かしい思い出です。
2008年の中国・四川大地震の際のチャリティコンサートでは、まだ元気な彼女の姿が見られます。
そして亡くなられた後も彼女の公式HPは未だ残っています。お姉さんのMCによる1回忌の追悼ライブの様子もアーカイブされています。思い出のイベントでも当時は常連だった安部潤さんが制作されたライブの模様は、今見直しても涙が出てしまいます。
いつまでも私達の心の中で歌い続けてくださいね。R.I.P.