【名盤伝説】”Earth, Wind & Fire / Powerlight”
MASTER PIECE USファンク・バンドのアース・ウィンド & ファイヤーが1983年1月にリリースしたアルバム『パワーライト (創世記)』です。
前作『ライズ』(1981)からの「レッツ・グルーヴ」のメガヒットを受けて復活したと思われていたアースでしたが、単なるダンスミュージックではなく、もともと指向していたスピリチャルで宇宙的なテーマを深化させようと模索する中で、迷宮の扉を叩いてしまったような作品に思えます。
イラストはアースのアルバム・ジャケットとしては定番の長岡秀星氏です。
この時期のメンバーはモーリス・ホワイト(vo)、フィリップ・ベイリー(Vo)のお馴染みボーカル・ツートップと共に、ヴーダイン・ホワイト(Bs)、フレッド・ホワイト(Perc)、ラリー・ダン(Key)、ラルフ・ジョンソン(Perc)、アンドリュー・ウールフォーク(Sax)、そしてメンバーに堂々とクレジットされているローランド・バティスタ(G)という布陣です。
アルバムトップA1は、アルバムのコンセプトでもある宇宙的な世界感を全面に表現したPVが笑えます(^^;;。PVではカットされていますが、多分ローランドによる長尺ギター・ソロを楽しめます。
ホーンバリバリのいかにもアースらしいA2。時代の音でしょうかシンセ・ベースがボトムを支えています。サックス・ソロがイカしてます。小曲ですがクオリティは高いと思います。
デヴィッド・フォスターを思わせるようなスロー・バラードA4。フィリップのファルセット・ヴォイスは最高です。
アルバムラストのコンセプチュアルなB5。この不思議な世界感は新たなアースの魅力だと個人的には強く感じます。
しかし、このB5で漂う世界感は世間では評価が低かったようです。「レッツ・グルーヴ」で聞かせてくれたディスコ・サウンドを当時は求められていたのでしょうか。いやいやアースの魅力はそんな表層的なテイストではないと思うのですが…。このアルバムには派手でキャッチーなシングル向けの曲はありませんが、良い作品に仕上がっていると思うのです。
残念ながらアース低迷期の始まりとなってしまいます。
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