【名盤伝説】 “Ned Doheny / Life After Romance” AOR四天王。カリフォルニアの蒼い風が似合うロマンティックサウンド。
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。LA出身のSSWネッド・ドヒニーの4thアルバム『ライフ・アフター・ロマンス』(1988)です。
70年前半からソングライターとして活動し、1976年リリースの2ndアルバム『Hard Candy』で、幻想的でスローなナンバー「Get It Up For Love」が日本のAORファンの心を掴みにしてブレイクします。以降、定期的にアルバムをリリースしますが、本国での人気は今ひとつで、この『ライフ・アフター…』も日本発のアルバムです。
このアルバムはセルフ・プロデュースで、共作はあるものの全て自身の作品です。どこか頼りなさ気な声質は、スローテンポの曲は情緒的で良いのですが、そんな曲が続くとマッタリしすぎてしまいます。この『ライフ・アフター…』ではリズム隊やコーラスワークのメリハリが上手く効いて、曲によってはかなりタイトな印象に仕上がっています。
そんなバックを支えるミュージシャンは、ロック、ファンク、フュージョンと多彩な陣容。ベースにはフュージョン界のスーパーバンドのイエロージャケッツからジミー・ハスリップ、そして実はファンキーな実力派エイブラハム・ラボリエルと凄腕ツートップ。ドラムにはファンキーユニットルーファスからジョン・ロビンソンが参加。コーラスにはイーグルスのハーモニストのティモシー B シュミット、こちらもファンキーグループのクラッキンからレスリー・スミス、ソロワークでも多彩な歌声を聞かせてくれるマリリン・スコットと、どちらかといえばファンク系のボーカル陣をコーラスとして起用していますね。
収録曲
いきなりハイライトM1「Whatcha Gonna Do For Me?」。ファンクの女王チャカ・カーンに提供した曲のセルフカバーです。思いっきりテンポを落としたアレンジは、まさにネッドの世界。プロデューサーとしての力量を見せてくれます。
M2「Love’s A Heartache」 物憂げなボーカルの魅力溢れるスローバラード。ルイス・コンテの小刻みなパーカッションが、曲に見事なまでにグルーブ感を加えています。
M4「Follow Your Hear」 テンポの良いミディアム・チューン。この曲の世界感が私は好きです。珍しく歌いあげるネッドの危うさ加減が堪りません。
M6「Heartbreak In The Making」 レスリーとマリリンのコーラス最高です。
M8「Life After Romance」 アルバム最後もマッタリとしたスローバラード。サビのティモシーとのコーラスの掛け合いはビューティフルの一言。ラストに相応しい本当に美しい曲だと思います。
YouTubeにはフル音源しかなかったので、こちらでお楽しみください。
このアルバムリリース直後の1989年の来日公演の音源がありました。メンバーが物凄いことになっています。見たかった・・・
Vocals, Guitar: Ned Doheny、Keyboard: Jay Winding、Electric Bass: Mike Porcaro、Drums: Carlos Vega、Guitar: James Harrah、Background Vocals: Marilyn Scott, Leslie Smith
ほとんどレコーデイングメンバーです。正直リアルタイムではネッドはそれほど追いかけていなかったので、後で悔しがるリアルタイム派の悲劇ですね。音質は今ひとつ (おそらくサウンドボードの流出音源。PAバランスなので会場で聞くには良くても、この音源だけを聴くと辛い) ですけれど、貴重な音源として心して聞きましょう。
ネッドはジェイ・グレイドン・バンドの2度目の来日(多分1996年)の際に、ジェイとツインのギタリストとしてステージに立っていました。この時は私も見に行きましたが、ネッドってそんなにギター上手かったの??と不安でしたが、そういうジェイもスタジオワークとは裏腹にライブでは怪しさ満載で、あまり遜色なく渡り合っていたという印象でした。
そういえばネッドはかなりのお金持ちのお坊ちゃんという噂があって、自宅のそばには御一家の名前を冠した通りがあるとか無いとか(笑)。確かに育ちの良さそうなお顔だちしていますものね^^;ゞ。
同じくAOR四天王として称されるマイケル・フランクスも、物憂げな歌声が癖になるのですが、このネッドのボーカルも高速ドライブのBGMというよりも、夕焼けに映える海辺でゆったりと聴くって感じでしょうか。わぁ〜書いていて恥ずかしくなっちゃいました・・・でもAORって、そういうテイストですよね。