【名盤伝説】”Earth, Wind & Fire / Electric Universe”
MASTER PIECE USファンク・バンドのアース・ウィンド & ファイヤーが1983年11月にリリースしたアルバム『エレクトリック・ユニヴァース』です。
アースの代名詞だったホーンセクションがクレジットから消えた!!これは大ニュースとなりました。シンセサウンドも熟れ始めた時期で、ブラス・ストリングスの深みがあり拡がりのある合成音も耳に馴染み始めた頃とはいえ、生のブラス・セクションの迫力と魅力は決して失われていません。そんな中で、よりによってアースが・・・モーリスのサウンド・プロダクツの中ではホーン・セクションの役割を一旦横に置いてということでしょうか。
「ある晩、夜空を眺めていたら私は壮大なElectric Universeを目にしました。多くの星と惑星が広大かつ壮観なビデオスクリーンのように見えたのです。流れ星が空を横切りながらメロディーを紡ぎ、天空に広がる星座が調和して奏でる慈悲に満ちた音楽のようで、満月から伝わるヴァイヴレーションが私の魂を揺さぶります。」
「科学技術は進歩を続けます。そうした時代の流れが私たちの暮らしを平和に導くことを願って止みません。そんな進化は人の心を豊かにして、この地球に新たな光をもたらすでしょう」。
アースの守護神モーリスの思いがライナーに記されています。そんな思いを込めたコンセプト・アルバムでした。
アース以外の作者による楽曲A2。ラムゼイ・ルイスの名曲「サン・ゴッデス」の作者のジョン・リンドとUKポップシーンで新進気鋭のコンポーザーのマーチン・ペイジの共作。コーラス・ワークを活かしてくださいと言わんばかりのメロデイ・ラインは私の好みです。ミドル・テンポながら中々エモーショナルなアレンジで、つい身体が揺さぶられます。この楽曲を見出したモーリスのアンテナの広さを感じます。
アースのアルバムにはもう欠かせない存在となったディヴィッド・フォスターによるA4。静かに夜空を眺めながら聴くのに、まさにピッタリと言ったラヴ・バラードです。
アルバムのハイライトとも言えるバラードB3。まさに宇宙感タップリのアレンジです。フィリップのファルセット・ハイトーン・ヴォイスが宇宙の彼方まで響くようです。美しい曲です。
アルバムのテーマを歌うある意味でのタイトル・ナンバーのB4。電化国家って何??って感じですが、今や電脳社会ですから・・・モーリスの現状認識が限界にきていたのかなと察する曲に思えます。
ホーンセクションを排するという大きな賭けにでたアースでしたが、成果は惨敗(泣)。セールスも振るわずにバンドは活動停止に追い込まれていきます。そして長年封印されていたメンバーのソロ活動の道も開けていくという流れになります。
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