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【名盤伝説】 “CHAR” いつまでも輝く永遠のギターヒーロー。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。Charのデビューアルバム『CHAR』(1976)と『USJ Char』(1981)です。

私が高校時代、日本のギターヒーローの先駆けはCharでした。例えば同時代のギタリストとして名前は知っていたものの、高中正義サディスティック・ミカ・バンドのメンバーという位置付けでしたし、竹田和夫クリエイションのメンバー、森園勝敏にしても四人囃子のメンバーとしての認識で、ギタリスト(&ボーカリスト)としてピンで意識していたのはCharだけだったように思います。

若くしてスタジオや様々のバンドでセッション活動していたCharは、1976年にソロデビューアルバム『CHAR』をリリースします。収録されていたのはインスト物だけでなく、日本語や日本語のような英語で歌うロックチューンは、間違いなく異彩を放っていました。同じ歌物をフューチャーしていたクリエイションのデビュー盤では、歌詞は全て英語でしたし、その発音はCharと正直50歩100歩(汗)。その点Charはミカ・バンド同様に日本語で堂々とロックを歌い上げる曲もあり好感が持てました。

このアルバムの収録曲では何といっても彼の代表曲「Shine You Shine Day」と「Smoky」が良いですね。そして歌もので「空模様のかげんが悪くなる前に」が、当時同じくらい好きだった吉田拓郎っぽくて好きです。

さてその後のCharですが、活動の内容が一気に「芸能人」のようになっていきます。本人曰く「俺がやったのは歌謡曲とロックの中間だったよね。俺はロックの音楽家だけど、シングル盤は歌謡曲でいいと思ったわけさ。ロックやっていてメジャーの世界に出るにはそれしかなかったよね」だそうです。そんな発言があったことなどつゆ知らず、Charへの関心はデビューアルバムで止まってしまいました。

このCharの姿勢は、ある意味正しいのかなと感じます。自身の音楽性にこだわり、セールスが伴わないことを理由に予算が付かず、活動を制限されて悩んでいた山下達郎とは一線を画します。一方で多少の迎合を受け入れつつも、活動を広げて売れ線 (受け線) を受け入れることによって知名度を上げていく・・・

時を経て振り返ってみると、通ってきた道は違っていても、最後は自分の求めていた姿になれればそれで良しということなのかもしれません。一番大切なのは継続することなのかなと思います。

そんなCharに再び目が向いたのは1981年の『USJ CHAR』です。CharがLA録音でTOTOスティーブ・ルカサーとアルバムを作ったとの話が伝わった時、確かに海外録音は流行りだけどとは思いましたが、参加メンバーを見て驚きました。

まずはCharとルークが共同プロデュースだということに驚きました。そしてドラムはTOTOのジェフ・ポーカロ、ベースはニール・スチューベンハウス、ギターはCharにルークにジェイ・グレイドン、キーボードはデビッド・フォスター、パーカッションはポーリニョ・ダ・コスタ、そしてコーラスにはリチャード・ペイジトム・ケリーって、ほとんどエアプレイです。こんなのありですかって感じ。

そして届いた音は、まさにChar + エアプレイ(というかTOTO)でしたし、ルークとの掛け合いの迫力がある分、想像を超えていました。そして何といってもジェフのドラムが心地よく、これは1982年にリリースされるグレッグ・マティソンとの『Baked Potato Super Live』に通じる名演だと思います。

聞きどころはデビューアルバムからのセルフ・カバー名曲「Smoky」。

そしてほとんどTOTOのような新曲「You Can’t Have Me」です。

さすが我らのギター・ヒーロー、Good Jobです。

ちなみにアルバムタイトルの「U.S.J」とは、United Stats + Japanではなく、超多忙なメンツを揃えたために超短期間で制作しなければならず、Ultra Speed Jobの略だとか。ルークがCharのフレーズをコピーしたとか、そのフレーズを聞いて「俺ってこんなスケールで弾いているのか」と気付いたとか、そんな逸話だらけのアルバムです。

長髪に汗だく上半身裸が似合うような、激しい作品が定番だったこの頃のCharにしては、かなりコンテンポラリーな仕上がりとなっていて、Char本人はあまり評価していないようです。とはいえ時代のAORブームでリスナーからは大好評のアルバムになりました。

そんな私も時代の流れに乗り、激しいブルース&ロックなテイストからは嗜好が離れていきます。

そして時は過ぎて2016年。なんだかんだと言いながらCharのライブを見たことが無かったのに気づき、地元の区民ホールでコンサートがあるのを知って、遅ればせながら生Charを見てきました。

今でもスリーピースで巡業しているのですが、気心知れたメンバーと実にリラックスしつつもロック魂は失っていない、白髪のロック青年は実に格好良かったです。
そういう私も還暦すぎているし他人のことはいえませんが、永遠のギター・ヒーローには、いつまでも輝いていてほしいものです。


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