【名盤伝説】”Chicago / 17”
MASTER PIECE USブラス・ロックの大御所シカゴの1984年5月リリースのオリジナル・アルバム『シカゴ 17』です。
前作『16』で大胆なサウンド・チェンジに成功したシカゴが、その勢いのままにリリースしたアルバムです。プロデュースは引き続きデヴィッド・フォスターが担当します。時代の流れでシンセ・ベースやシンセ・ドラムが多用されています。個人的にはあまり好きなテイストではないのですが、仕方ないですね。
一方で前作よりも甘めのテイストの曲が増えているような気がします。そのせいでしょうか、曲調が単調にならないように今作ではドラマーのゲストが多く参加しています。カルロス・ヴェガ(B2)、ジェフ・ポーカロ(A1)、ジョン・ロビンソン(B3)。リズムの変化は曲調に大いに影響します。プロデュースしているフォスターも試行錯誤していたってことでしょうか。
アルバムはUSチャートで4位を記録するヒットとなりました。
バラード作のA3。中間部にブラス・パートが大袈裟に展開されるのがいかにもシカゴらしいです。曲はスティーブ・キプナーが提供していました。
バラード2作目A5。ピータ・セテラとビル・チャンプリンの共作です。惚れ惚れするほど美しいメロディです。
ようやく少し派手目な曲の登場ですB1。この曲は純粋シカゴ人脈によるナンバーです。PVがあるということはシングル・カットされていたのですね。「インディ・ジョーンズ」と「地獄の黙示録」を足して割ったようなストリーが私には正直理解不能ですw。
極め付けのバラードB2。もしかしたらPVなど見ないでイメージに任せていた方が良いのかもと・・・
そして実はB3がアルバムの中で問題作でした。如何にもビルらしいソウルフルなナンバーです。リアルタイムではLPレコードを購入して、その後にCD化して聞き直していたら「あれれ??」ということで、そう、この曲はテイク違いがあるのです。それもよりによって曲のサビが違うって、どういうことでしょうかね。
先ずはLPバージョンがこちら。後のRemaster盤CDでは差し替えられてこのテイクが収録されています。一番1:30と二番2:54辺りのサビの部分が、当たり前ですがメロディが同じです。
そして当初リリースされていたCD盤のテイクがこちら。CDで買い直して聞き直していたら、あら~って驚いたのなんのって。LPバージョンの一番のサビのメロディが違います。サビが違うって・・・二番は元のメロディに戻っているあたりが微妙かなと思います。
こうした事情はミュージシャン本人は知らないことが多いようですね。いくつかテイクを録っていたことは覚えていても、それが盤になる頃にはミュージシャンの手を完全に離れていますからね。ま、ビートルズくらいの大物になればメンバー本人から大騒ぎするでしょうけど・・・
さて『16』での衝撃が大き過ぎたのか、『17』ではそれほどの話題にはならなかったように思います。それ以上にアルバム・リリース後にバンドの看板のピータが脱退するというニュースの方が衝撃が大きかったです。
その後のシカゴの行方は如何に・・・。