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【名盤伝説】"Camel / The Snow Goose"
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。UKプログレ・バンドのキャメル『スノー・グース』(1975)です。
1973年にアルバム・デビューしたキャメル。1974年にセカンド・アルバム『ミラージュ』をリリースして、バンドのサウンドの方向性が固まったように思えました。
翌年リリースされたこのサード・アルバムは、大方の期待を良い方向に裏切る、何とも意欲的な大作となりました。大胆にオーケストラを取り入れて、LPのA・B面を通して1曲!壮大な組曲を世に問いました。
メンバーは前作同様、ギターとフルートのアンディ・ラティマー、キーボードのピーター・バーデンス、ベースのダグ・ファーガソン、ドラムのアンディ・ワードの4人です。プロデュースも前作同様にデヴィッド・ヒッチコックが担いました。
前作に収録された「ホワイト・ライダー」は、実はトルーキンの小説「ロード・オブ・ザ・リング」を原作として想起した曲ということで、何やら後から批判があったそうです。このような小説をモチーフして作りたいということで、選ばれたのはポール・ギャリコの「The Snow Goose: A Story of Dunkirk」(1941)という作品でした。後から何か言われては面倒だとアルバムジャケットには予め「Music Inspired by」の文言を追記したそうです。また小説の文章を引用した歌詞による歌入りの曲もあったのですが、原作者の意向により取り止めたとか・・・色々面倒なことがあるものですね。ま、原作者の思いが第一ですから仕方の無いことではありますが…。
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アルバムはUKチャートでは13週チャートインして最高位22位を記録。USでは162位と振るわなかったものの日本では評価が高かったとのことです。当時私はリアルタイムでは聞いていませんでした。何せプログレの世界は奥が深すぎて迂闊に入り込むとハマりそうで怖かったというのが本音です。
収録曲
A1 The Great Marsh(グレート・マーシュ)
A2 Rhayader(醜い画家ラヤダー)
A3 Rhayader Goes To Town(ラヤダー街に行く)
A4 Sanctuary(聖域)
A5 Frithe(少女フリーザ)
A6 The Snow Goose(白雁)
A7 Friendship(友情)
A8 Migration(渡り鳥)
A9 Rhayader Alone(孤独のラヤダー)
B1 Flight Of The Snow Goose(白雁の飛翔)
B2 Preparation(プレパレーション)
B3 Dunkirk(ダンケルク)
B4 Epitaph(碑銘)
B5 Fritha Alone(ひとりぼっちのフリーザ)
B6 La Princesse Perdue(迷子の王女さま)
B7 The Great Marsh(グレート・マーシュ)
A1 壮大な抒情詩の幕開けに相応しいナンバーです。
A2-A3 テンポの良いテーマをフルートとキーボードの掛け合いで進行します。組曲の中でも印象的なナンバーです。
A6 意を決して飛び立とうとする勇気を象徴するような、感動的なメロディです。
ほんの触りだけ紹介してみました。ロック・バンドとオーケストラの融合、叙情派プログレとしてのキャメルの地位が決まった瞬間ですね。
曲の内容について熱く語っていらっしゃる方のブログがありました。
LP全曲でトータル…なんてしておきながら、何とA6「The Snow Goose」などがシングル・カットされていました。
このA6のシングル盤では前作『ミラージュ』から「Freefall」がカップリングされ、B1のシングル盤ではA9がカップリングされました。これらのシングルエディションは2013年リマスター盤のボーナス・トラックとして収められています。
後にリリースされるライヴ盤『A Live Record』(1978)では、このスノー・グース全曲をライヴで演奏するという、イエスの名曲「危機」のライヴ演奏をはるかに超える偉業が記録されています。実は私が「スノー・グース」を初めて聴いたのは、このライヴ盤でした。その後に聴くスタジオ盤は、迫力には乏しいものの音の広がりとかミックスの細かなバランスとか、スタジオ盤ならではの良さがあり、優劣付けるものでは無いなと思いました。
沼の縁からおそるおそる覗き込む・・・そんなプログレとの付き合いは続きます。