【名盤伝説】 ”Wishbone Ash / New England” 限りなき不安を払拭した原点回帰の快作
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。UKツインギターの大御所バンドWishbone Ashの8作目『New England』(1976)です。
[2023.09.05 大幅改訂しました]
Wishbone Ashといえば3作目『Argus (邦題:百眼の巨人アーガス)』(1972)が人気
です。収録曲ほぼ全てが彼らの代表作と言われるほどで、当時高校生だった私も、初めて組んだバンドで「King Will Come」「戦士」「剣を棄てろ」にチャレンジしました。
1976年に彼らの来日公演があると知り、チケット購入のためにプレイガイドに前日から徹夜で並び、ワクワクの初の外タレコンサートに行くことになりました。
ところが来日を前にリリースされた新作『Locked in (邦題: 限りなき束縛)』(1976)が全く趣味に合いません。当時彼らはUS進出を前に音楽性を方向展開しようと目論んでいたとのことです。その前作『There’s The Rub (邦題: 永遠の不安)』(1974)では、オリジナルのギタリストの片割れが脱退したものの、新加入のローリー・ワイズフィールドのフレーズは新鮮で、新たな可能性を感じていただけに、新作の「あらら」の出来に不安は募ります。
そして迎えたコンサート当日、初めて入る中野サンプラザとホール内の機材が並ぶステージにドキドキは止まりません。とはいえあの新作から演奏されてもなと・・・。
開演時間になり蒸気機関のようなSEが客席に流れ出します。何これ?と思っていると唐突に客電が落ちてジャジャン!オープニングはなんと、その時点ではリリース前のアルバムから「Runnawy」でした。重厚感のあるサウンドとツインギターが絡み合うリフ、ぐいぐいと押してくるボーカルなど、まさに私たちが求めていた彼らのサウンド。観客全員が未聴の新曲だったにもかかわらず、その曲が終わると客席全体が万雷の拍手に包まれました。素直に「かっこいい」と。
続いて始まるハイポジションのギターカッティングに再び観客全員ウォー!定番曲「King Will Come」です・・・こうして私の外タレコンサート初体験(笑)は感動のうちに幕を開けます。セットリストは過去作品からのベスト選曲で大満足。新曲も納得の出来で、私にとっては、この『New England』は新たなウィッシュボーン体験として思い出の1枚となりました。
そしてこの『New England』を中心に、名盤『 Argus』や『There's the Rub』などからのベスト・セレクションのようなコンサートの様子を紹介した動画がありました。収録曲はこちら。
収録が76年の12月ということで来日公演の僅か3ヶ月後。記憶では感動のステージとほぼ同様のアレンジだと思います。
オールドファンにとってお好みのアルバムと同様に、この時期のアルバムも大切に聴き続けたいと思います。
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