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「ファンの要望=ビジネスでのベスト」とは限らない

本日の新日本プロレスは名古屋開催である。今日は新日本プロレスワールドの中継はない。
土曜は仙台で興行が行われたがやはりこれも中継はなかった。
※新日本プロレスワールド:月額料金で新日本プロレスの中継や過去の試合映像、イベント映像などが見られるサイトである

ファンとしてはやはり中継があって欲しいとは思う。
ファンの中には「実況や解説も無しで固定カメラでよいから中継して欲しい!」という人もいる様子。

でも、果たしてそれをして見ている人全員がその「固定中継」を受け入れてくれるだろうか。

これまでの「今まで中継していなかった地方興行にもカメラが入るようになった」という経緯を知っている人にとっては、プラスアルファの対応をしてくれたから「ありがたい!」という感想になるであろう。

しかし、普段もそれほどワールドの中継を見ず、見たのが偶然その『固定中継』だった人は「なんだ、このクオリティの低い中継は」と思うであろう。

あれだけ大きな会社であれば、やはり下手なものは世に出せない。ある程度のクオリティが維持できてやっと「新日本プロレスの〇〇」と名乗れるものになるのではないか。
「これ、本当に新日本プロレスの〇〇なの...?」と思わせないプライドがあるのではないかと思う。

もちろん、それだけの話ではなく、固定中継にしても機材はもっていかなくてはいけないし、その為の人も必要だし、興行中もカメラを放置しておくわけにもいかない(固定中継で機材トラブルで映像が映らなくなったら、それはそれで文句は出るだろうし、、、)。

やはりビジネスにおいてひとつのモノ、事が動くには、多くの『ヒト、モノ、カネ』が動くことを忘れてはいけないと思う。
そしてその落としどころに至るまでには、大きな組織であればあるほど、関係者間での色々な検討や判断があってのことであることを、想像していきたいものである。

私は中継が無い興行があっていいと思う。
話に聞いたところによると、中継が無いから起きることもあるという。
やはり映像に残るということは、そこに様々なリスクも潜むので、選手がそういうリスクを気にせずに思う存分のびのびと自由に動いている興行も良いと思う。

そして現地観戦した人しか味わえなかった楽しみがあるというのがまた良い。特に、たまにしか興行がこない地方の方にとっては、「この会場にいた人しか知らないんだよ」という箔がつくとっておきの思い出になる。
「今日来れた人はラッキーだった」ってなんか特別感があっていいよね。

だから私は中継無し興行は大アリだと思っている。


新日本プロレスの2019年の売上高は54億円だった。親会社のブシロードの2021年6月期の発表によると、新日本プロレスでは、2020年コロナで中断されていた後、興行再開後の興行数は例年より増やしたが、収容人数を限定したことで利益率は低下したとのこと。
(そうか、やっぱり興行数は増やしていたのね。。)

厳しい中でも、あの手この手で策を打ち出し、攻めるところは攻めて、抑えるところは抑えてここまでこられたのではないかと推察される。
選手の闘いやタイトルマッチはもちろん気になるが、ビジネス的な視点でみてもとても興味深い企業だと思う。

ファンの要望も大事ではあると思うが、新日本プロレスが新日本プロレスとして継続されていくことがファンにとっての一番望みなのではないか。

中継はないかもしれないけど、このコロナ禍で選手やスタッフの方の長時間バス移動をも受け入れて、感染対策の為にお金をかけて人も物も増やしながら、地方大会も徐々に増やしてくれている。
そんな新日本プロレスが、何よりも誰よりも、全国、全世界にいる老若男女ファンの気持ちや要望を考えていると私は思う。

(なお、私は新日本プロレスの関係者では一切ない。ただのイチファンである)

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