深い海に沈めていたものがポコッと出てきた
「毎年お盆は亡くなった友達のお墓参りに行ってて・・・」
その後の話は覚えていない。
その言葉を聞いた拍子に、
18才のある時期の私がポコッと現われた。
驚いたことは、現われたことよりも、
痛みがないことだった。
それは死や事故が連続した、ある10日間。
もしかして、そこが
私のコップの水が溢れた点だったのか。
自慢の父の浮気が原因で両親が離婚し、
母子家庭になっていた私は、
傷つくことを恐れていた。
荒れた高校生活を
なんとか乗り換えたばかりの私は、
その時、人の死を
受け止めることができなかった。
私が慕っていたジョニーの先輩の自殺。
3日前に電話をもらい
「また安定剤ワンコインで売ってね」と頼まれ
会う約束をしたばかりだった。
私は人と繋がることが怖くなった。
どうせ失うなら、もう誰ともつながりたくない。
ジョニーは言った「お前はもっと強くなれ」
それから私は、ただただ
強がって生きることになる。
・・・今ならわかる、
私は大好きな人が苦しむ姿を見たくないんだ。