いいお酒 いい時間
「ここどこですかな?」
「え!?…〇〇です。」
電車に乗った途端に、座っていたおじいさんが立ち上がって聞いてきた。
普段は利用しない駅だったので私もすぐには駅名が出なかった。
「あ、まだ違うなあ。すんませんなあ。酔っ払ってますねん。」
「笑」
「△△はまだですなあ?」
「まだですね。」
さて、いよいよ△△駅のアナウンス。
起きてるかなと横を見ると目が開いているのかどうかよくわからない。
じっと横顔を見ていると、静かに目が開いた。
私の視線を感じたのかこちらを向いた。
「△△ですよ。」
「ありがとう。降りますわ。酔っ払ってますねん。」
「お気をつけて」
フラフラでもなく、ただゆっくりと降りて行かれた。
夕方まだ明るい時間にすでに酔っ払っていたのか。
いい時間を過ごされたのかな。いいねえ。
実は私も酔ってました。
駅名はわかる程度。