小学校の思い出6 団地の子が一戸建てに遊びに行く!
小学校の頃、5丁目と呼ばれる地域は一戸建てだった。
私を含めて団地の子が5丁目で遊ぶことはほぼなく、またその逆もしかり。
立地的にも小学校を挟んで反対側なので遠い印象があってなかなか遊びに行かなかった。
ある日5丁目の女の子が団他の子を何人か誘ってくれた。
家に遊びに来ていいと言う。
私たちは驚いた。
まず家で遊ぶということじたいが異例。
当時はみんな普通外で遊んでいたし、そもそも団地は狭いので家の中ではなかなか遊べない。
しかも一戸建てのおうちに入れるなんてかなりレアなことだった。
しかも「今日」ではなく、「来週」だ。かなり事前のアポだ!
「大きなお家はトイレのことを御不浄(ごふじょう)って言うらしいよ〜」
なんてことをどこかから聞いてくる子まで出てきた。
普通の生活の中では滅多にそんな言葉を聞くことはないと今ならわかるのだが、小学生なのでなんでも信じた。
みんなでその初めて聞く言葉に感心して、口で「ごふじょう」と繰り返してみた。
それくらい私たちにとっては大事件だった。
いざ当日、みんなかなり緊張して行った。
きちんと「おじゃまします」と挨拶をして2階へ案内された。家の中の階段に心がはずんだ。
5人入っても部屋は狭くなかったし、おもちゃにあぶれることなくみんなでままごとができた。
人生ゲームもした。
5丁目は遠いという思い込みと、遅くまではいてはいけないだろうなという思いから5時前にはきちんと挨拶をして帰った。
いつもとは違ってちょっと上品に遊んだ気分だった。
私は人生ゲームが初めてで、なんだかよくわからなかったくせに難しいゲームができるようになったぞと思ったりした。
後にも先にも5丁目で遊ぶのはその一回きりだった。
それでも今でも覚えてるのはそこへ行くまでの勝手な想像と思い込みでわくわく感が楽しかったからだろう。
行ってすぐ、
「トイレはそこね」
と言われたことについては誰も何もつっこまなかったことも覚えている。