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小学生のかわいい頭の中 その2

短冊に書かれたそれぞれの願い

もうすぐ七夕。
先日、近くの駅の構内で「短冊を書きましょう!」というイベントをやっていて、学校を離れた私はこのような季節イベントが何となく懐かしくなって、自分も短冊に願いを書いてつるしてみました。
たくさんの人が参加していて、本当にさまざまな願いが書かれおり、その日は、ほっこりあたたかい気持ちになって家に帰りました。

この時季には、小学校(特に低学年)でも先生たちがどこからか竹をもらって来て、みんなで短冊を書いてぶら下げる、ということがよくあります。

その1でも書いたように、小学生、特に低学年の子どもたちはまだまだ発達途中。しかも、個々の成長の差が激しい時期です。なので、短冊に書かれた願いごとも、本当にそれぞれ。

「ゲームを買ってもらえますように」
「スイミング◯級に合格しますように」
「サッカー選手になれますように」・・・
ふむふむと微笑ましく読んでいると、いつもきちんとしていて真面目な子が
「100点をたくさんとれますように」などと書いているのを見つけ、「いやいや、もう十分がんばっているのに、大丈夫かしら」と心配になったり。

短冊には、その子らしさが出るものが多くて、子どもを知る手がかりになったりします。

あ。
これを読んで、我が子の短冊の内容が気になった保護者の方。
1つだけ付け加えておきます。「子どもはまわりを見て、まねして書くことも多い」ですよ。だから、もしかしたら、書くことがすぐに思い浮かばず、
お隣の子のものを参考にしたかもしれません(笑)

この時季になると、必ず思い出す教え子がいます。

1年生の彼を担任していた時、みんなで短冊を書きました。
彼の短冊には「プーさんになりたい」と書かれていました。
特別なプーさん好き、というわけではない彼が、プーさん、しかも、「に なりたい」とは⁉️

「プーさんになりたいんだ。どうして?」と若かった私は、あまり上手くない聞き方をしました。
「う~ん。プーさんみたいになりたいんだ」・・・
「そっか」と話を終えましたが、その後、保護者の方とその話をしても、
保護者の方も「?」。おうちでビデオは見ているそうでしたが、プーさんだけではない、と。

その後、クラスの様子を見ていてふと思ったことがあります。

彼は、成長がゆっくりな子で、お話しするのも、運動も、勉強も、
まわりのみんなと比べると、かなりのスローペースでした。

みんなにせかされて「〇〇くん!」と言われてしまうこともありました。(言わせてしまう私が悪いのですが)
それでもいつもニコニコ、ニコニコ。おだやかで、みんなにとっても優しい。まわりも彼のスローペースにつっこみを入れつつ、彼がひとりポツンとしてしまうことはありませんでした。

「〇〇くんは、すでにプーさんみたい」

スローペースだけれど、いつもおだやかで、仲間を大切にするプーさんのビデオを見ながら、彼はもしかしたら自分を重ねていたのかもしれないな、と。

彼の本当の心のはわかりませんし、もしかしたら、それほど深い意味はなかったのかもしれません。でも、そんな風に想像したら、あの短冊がたまらなく愛おしくなりました。

毎年、短冊を見かけると彼の笑顔を思い出します。きっと優しい大人になっていることでしょう。

子どもに対する決めつけになってしまってはいけないけれど、その子が伝えたい本当の気持ちは何か、表に出てきていない気持ちは何か、想像してできるだけ汲み取ろうとするのが、成長途中の子どもたちと接する大人の役目でもあり、楽しさでもあるのかな、と思います。



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