中飛車VSへなちょこ急戦
①後手が避けるべき変化
早めの△5五歩
5筋の位を伸ばす変化は慎重になる必要があります。常に▲4五桂が見えている展開は先手が指し慣れている乱戦に引きずり込まれる危険がありとても危険です。
△3二金
ノーマル中飛車自体は急戦に対して有力なのですが、へな急が早すぎて囲いが間に合いません。後手は中途半端な陣形で急戦を受けとめることになります。
具体的な筋としては後に△5五歩に対して▲6五角や、▲4四歩△同銀▲2四歩~▲3四飛狙いが考えられます。
②後手の有力策
△5五歩に▲4五歩△4三銀
先手は▲6八玉~▲5八金を入れれば▲5六歩と突く手もありそうですが、それに代えて▲4四歩△同銀▲4五歩△5三銀(下図)と形を乱しておく手は考えられます。
先手からはこれ以上すぐの攻めはないので結局は▲6八玉~▲5八金右で駒組みに入ります。こうなればひとまず後手は攻めを受け止めることができたと言えるでしょう。
逆に言えば後手は①単に▲6八玉~▲5六歩②▲4五歩と乱してから▲6八玉~▲5六歩、の2つを対策しなければいけません。順に見ていきます。
単に▲6八玉~▲5六歩
上図は初めて見た時には愕然とした仕掛け筋でした。上図以下△同歩▲4五歩に△4三銀が自然な対応ですが、▲4四歩△同銀▲4五歩△5五銀(下図)と進んだ局面をどう見るかです。
5筋の位が活きそうな展開で、形勢としては後手良しでしょう。ただ5五の銀がいなくなればすぐに飛車先を突破されそうな形で、やや不安定な印象も受けます。具体的には▲2六飛など手を渡された時にどういった方針で指すかですが、△4六銀から決戦に行くよりは、△6四歩~△6五歩と突いていく方がわかりやすいと思います。
形を乱して▲6八玉~▲5六歩
先手からは▲4三角に△5五角▲7七桂△4五桂の反撃があるので▲2四飛と走るのはこの一手。後手が一直線に美濃へ組むとこの局面になります。
この局面、形勢は互角ながら個人的には先手を持ってみたいです。やはり飛車先が突破できるというのは指しやすいものです。従って指しやすさを考慮すれば、この局面は既に先手が良くなっていると見ます。
改良点として後手が△8二玉に代えて△5四銀と上がり、▲5五歩△同銀とできるようにすることが挙げられます。
▲5五歩△同銀と取ったのが上図。先手から攻めを継続するなら▲5六歩△同銀▲3三角成△同桂▲2四飛ですが、今度は△4七歩が激痛です。これは明確に後手が勝てるでしょう。
形を乱して▲6八玉~▲4七銀
5筋の歩が狙われているので後手からは△5六歩と突く一手。▲同歩△同飛▲4七金△5二飛と引いてどうでしょうか。
△5二飛と引けば▲2二歩は無いので先手も▲5六歩として△5五銀を防ぎます。こうなれば互角だとは思いますが、後手から△7二銀が間に合うかはギリギリ。後手から△7二銀や△4五歩として捌いてどうかという勝負になります。
こういった4四銀+3三角の形は
・▲4五歩に△5五銀▲同銀△同角から捌く
・△5五銀が出られない時は△4五歩から無理やり捌く
という使い分けを意識しておきたいところです。